沖縄には、うちなータイムと言う言葉があるのを、県外の方でも沖縄好きだったりすると多分ご存知でしょう。

ざっくりいえば、「時間にルーズ」「約束の時間に大概遅れる」という直接的な解釈があり、

その後「約束の時間に間に合わない人がいても、大目にみてあげる心の優しさを指す」などと、高尚な域に達した見解まで含む言葉です。

 

もちろん、後者の精神はそれはそれで素晴らしいと思うし、ある意味、沖縄の県民性は争いごとを好まず、狭い島嶼県に、仕事であっても県外へ行きたがらないという特徴もあり、とにかく家族・親戚・友人が常に身近にいる環境。人との間に波風を立てるのも避けるという特徴も強い。

 

一方で、南国特有のゆるい(穏やかな、ゆったりとした・・・ともいう)時間感覚から、とにかく約束の時間には間に合わないし、急がないというのんびりした素地がある。

これも、よくいえば、あくせくしない・・・という良い面もあるにはある。しかし・・・今のように物質・金銭面で、効率よく詰めて生きていかないと社会のコストについていけない時代には、会議や面会、はたまた飲み会のスタートがすべて予定の時間に絶対始まらないというのは、とんでもない非効率である。

 

まして相手に次の予定があったり、あるいは労働単価の高い身分の人だったりしたら、無駄に1時間待たせることの経済的・精神的なダメージは大きい。それが日常なので、チリツモとなれば、沖縄の経済生産性の低さもさもありなん・・・という話につながる。

 

南国は時間がゆっくり流れている・・・ってよくいいますが、これも沖縄に引っ越してきてからそういう場面の中で暮らすようになったので、よく考えた。そして比較的早く結論に至った。それが・・・

 

「南国は、冬でも凍死する心配がない」「だから、冬を越すという先の心配から遡って夏の間に嫌なことも我慢して働き備える」という忍耐力や計画性が要らない社会だということ。

 

更に・・・沖縄の県民性から「常に親や家族・親戚が近くにいる。家族に見捨てられても最悪友人・知人の家を頼れるし、最悪ホームレスになっても凍死しない」「親も仕事がないならしばらく家にいてくれたらいいさ~」と、よくいえば社会全体が究極のセーフティネットとして構成されている。

 

こうした社会・文化的背景があるからこその、スロータイム、うちなータイムが維持されたまま現代に至っている。

 

さて、下の写真、沖縄県内の吉野家です。まぁファストフードの代表格で、時間帯は昼時をちょっと超えたあたり。

 

吉野家どんくさ店内Jweb.jpg


 

非常に、空いていますね。こんなの都市圏の吉野家だったら、空きすぎていて「この吉野家つぶれないのか」と心配になるレベル。

ところが・・・ここで何の変哲もない注文、「牛丼並み」を一つ食べようと入店。店内にスタッフは厨房に2人、フロアに2人はいる。それがカウンターに座った僕に対して、まずこっちを見ない。(沖縄の人は人見知りで、口下手とよくいうが)

 

待つこと2分ほどしてフロアスタッフの1人が「ただいま店内混み合っており、少しお待ち下さい」だと。

店内に入った時点でまずそう言えよ・・・

てか、それ以前に、全然混んでないんだよ。

 

それから更に2分弱してやっと水をもってきて、注文をとってくれた。しかもたかが牛丼並み一つに、「ご注文をくりかえします、牛丼の並をおひとつでよろしかったでしょうか」だと。

こんなシンプルな注文ひとつくらい、繰り返しいらないよ。とまず思う。まぁ、それはマニュアルで決められているんだろうからまだ仕方ないとして・・・精神的には「こんだけ待たせておいて、おまたせして申し訳ありませんの一言よりも、注文の繰り返す時間が無駄」とイライラする。

 

更にさらに・・・「○○でよろしかったでしょうか?」ってバイト敬語が大嫌いなんだよ。「○○でよろしいでしょうか?」ならまだわかる。なんだよ、何もアタマ使ってない。

 

これ、実は沖縄で普通です。もともとバイト教育水準の高かった、マクドナルドも、沖縄の店はひどいもんです。

大概のマックではレジが3つあるんだけど、ランチタイムでレジを一つしか使わない。

もちろん、ランチアワーなので、スタッフは大勢いるのに。

 

動きを見ていると、とにかく無駄が多く、周りを見ないし、先を読んで動かないから、とにかくひとつの事をするのにいちいち時間が長い。

 

同じことがクルマの運転でも顕著にでる。

 

沖縄は県全体でも140万人しかいない小さな県なのに、とにかくクルマの流れが遅い。

これは特に反応が遅いことに由来している遅さ。

バイトと同じく、周りや先を見ないし、そもそもそういう発想が完全に欠落して、ただただ慣れで運転している。だから交差点の通過でも単位時間あたりの通過台数が他県の三分の二か、ヘタすると半分しか通過できない。

 

沖縄渋滞どんくさ日本一Jweb.jpg


 

クルマはけして多くないが、ちょっとした交通量の増加でも、平均速度の低下が著しく、無駄な減速も多いのですぐに流れが止まり、小規模な渋滞が多発する。

 

で、速度が遅い割には、これまた不思議なことに事故率はかなり高い。なれると不思議でなく当たり前なこともわかるんだけどね。

 

事故率が高いのは、周りにむとんちゃくで慣れだけで運転している上に、反応するのが遅いから。それで特に多いのが追突と右直。どちらも反応が遅い、というか見てないんだよね、先も読まないし。だから、しょっちゅうぶつかる。

 

そして全国に名高い飲酒運転率の高さ。これも事故の多さに直結している。

 

陸続きでない上に、仕事で県内外との交流も限定的な地域性もあって、酒は毎日飲むのは当たり前でしょ。電車ないんだからクルマもあたりまだし・・・という、みんなそうだからという「甘えの構造」も、お互いにあって日常化している。

 

遠くはなれた島嶼県だから、こういう地域性が強く残るんだよね。

それが、スローライフや、穏やかな性格という良い面が出ていることも多いので、自分も好きで沖縄に暮らしているんだけど、これと表裏一体を成すリスクとして、お互い自分に甘く、他を知らない、見ない、知り合い同士だけの社会という面が、実は沖縄の貧困の基にある・・・というのば別の機会に書こうかな。