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妄想小説日記 わしの作文

わたしの妄想日記内にある”カゲロウの恋”の紹介するために作った
ブログです

死んだらどうやって霊界へいくのか

魂故に先祖の霊に案内されて空中へ飛ぶと思われている。

日向源吾もそう考えるうちの一人だった。

 

脳梗塞で寝ている最中に死んで苦しまず安楽死だったのは不幸中の幸いであった。この場合には結局死んでしまったため使い方が変かもしれないが。

 

死後一週間ではいつもと変わらぬ日々、朝が来るとカーテンを閉めて布団をたたみ朝食をつくる。眠れないというか眠くはならないから布団を敷く必要はないし空腹にならないので何も食べる必要はないし寒くもないので何も着る必要はない。着る必要はないが服を着るのは日課でふとん畳むのも食事をつくるのもそう、必要はないがやらなければ何もすることがないのだ。

 

会社勤めが長かったせいで家での仕事は考えつくことは限られる。

そこで思い立ったのが散歩で考えるだけで思いの場所へ瞬時に移動できる、これは便利この上ないが不便なところもある。まずお金がないし手にお金を持てない、布団や食材は持てるのにお金は持てないとは不条理なことだ。銀行やコンビニでキャッシュカードを使ってみるがカードは普通に使えるがお金が持てないからATMにお金が置いたまま放置される。他の人間から自分を認識してもらえないので人がいないのにATMが動いたと大騒ぎになったり道を尋ねたり時間を尋ねても自分の声が聞こえないからスルーされてしまう。

 

日向源吾は独り住まいでいたため死んでも誰にも死体を見つけて貰えず死体は朽ち果てていく。

死後14日になり源吾が眠れない布団で寝ていると轟音が聞こえてきた。それはどんどん大きく聞こえまるで飛行機が墜落してくるようだった。

 

”ごぉーー”

窓を開けてみると大きな飛行機が自分の家の真上に浮かんでいた。

数年前に飛行機として引退されたYS11だった。

近年の航空機はジュラルミンの銀で輝く機体だがYS11は白、青、グレーに塗られた3色で塗ったばかりと思える塗装が新品に見える。

ヘリコプターやハリアーなどのV-STOLならば空中で静止できるが旅客機が空中浮遊しているのは目視していても信じがたい光景でUFOかと思えてしまう。

 

YS11から誰も降りてくる気配はないし乗っていいものかもわからない乗員との連絡手段もないまま時が過ぎて行った。

呆然と飛行機を見ていると轟音を捲くし立てYS11は急上昇し空の彼方へと消えていった。上昇力はジェットの767を彷彿させプロペラ機とは思えないものだった。

 

日向源吾の住む地は山梨と埼玉の秩父の境にあり山深い場所だが集落はありこんな場所なので人口は少ない。源吾はその集落から10キロ、林道を蛇が這うような道を進むので人がくることはない。

だから死後14日経つが誰にも見つけられず寝たままの死体は布団が掛かったままで17日が過ぎようとしていた。

 

21日を迎えようとしていた時山形に住んで何年も音沙汰がなかった妹親子が十数年ぶりに源吾を訪ねてやってきた。

ところが元気に生きてると思っていた妹の美智は布団の中で息絶えていた源吾を見て愕然となった。

 

死因がはっきりしない場合警察に運ばれ検死することになる。

診察台に載せられた源吾はどういうわけか魂が死体に乗り移り検死官に切り刻まれようとしていた。

”やめろ”

源吾の声が聞こえるわけがなく検死官はメスを源吾の身体を切り裂くと源吾は悲鳴をあげた。

”ぎゃああ”

肉体的には痛みはないが精神的には肉体が切られ血が出ると卒倒しそうになる。精肉店で生きたまま自分の身体が切り裂かれていくような感覚に捕らわれる。

 

精神的な痛みは肉体的な痛みと違い考え方ひとつ、思い込みで変えることができる、発想の転換をしてみると皮膚を切った訳ではないのに痛い実際は皮膚が赤くなった程度なのに痛いこれと同じなのだ

源吾は考え方を変えなければ痛みは続く。

 

死者は刻(とき)の流れが生者より早く告別式は死後35日にやってきた。

 

「なんだここはこの狭い空間はなんだ?」

 

次に源吾がっ気がつくと箱の中で寝そべっている。顔の真上には両開きする扉があるので棺桶の中と源吾は想像した。どうやら移動しているようだ、ローラーが回る音がして源吾はここがどこか理解した。

 

”ギイー、ガちゃん”

鉄の扉が閉まる音

 

”だれか開けろ”

”機械を止めてくれ”

 

火葬設備に送られ扉を閉められてはどんなに暴れようと止めることは出来ない、棺桶は灰となり肉は塵となり残るのは骨だけになる。

意識があるのに火葬されるのは生き地獄ではないだろうか?

ひとつめは切り裂き地獄ふたつめは火炎地獄、これで終わりだろうかそれとも苦痛はまだあるのだろうか。

 

告別式、火葬は終わり肉体は焼かれ残ったのは骨だけとなって鉄のトレーに載せられ係員が運んでくる。骨壺が用意され焼かれた骨ひとつひとつ丁寧に箸で係員が骨壺に入れていく。

 

源吾の魂は骨から離れ参列者の背後から成り行きを見つめていた。

 

”しかし熱かった”

”これが僕の骨か、小さくなったものだ”

”ちょっと、もうちょっと丁寧に持ってよ”

 

係員が細かい骨をゴミを集めるように履くと源吾にとっては不満が募る。骨が小さく砕かれのもあり係員が何十回も箸で運んでいるのを見て大変な仕事と思う反面、自分の骨はすべて丁密に扱って欲しいと思うのが本心ではあるまいか。

 

死後49日になり今日は納骨する日。

戒名代に石材店に渡す墓代それとお布施、妹美智には出費が嵩んだ。

”すまない美智、戒名なんていらないのに。骨は海でバラまいてくれりゃいいものを”

 

墓石業者が桐の箱から骨壺を出すと丁寧に骨壺を出す。墓下にある骨壺を置く場所は墓石の真下で外からは覗かないと骨壺は見えない

骨壺を収納すると分厚い石板(拝石)で蓋をし元あった通り線香を供える香炉を置く。

 

昔はどうしたかはわからないが最近では線香に火を点火するのに纏めた線香にガスバーナーで一気に着火する。線香をまとめて点火すると火が燃え移り熱くなるものだが墓石業者が持ってきた線香は燃え移ることないので市販品と違い特殊な線香のようだ。

 

”暗い”

”なんだここ?狭いうえに入り口が見えない”

”なんか線香の匂いだけする”

 

源吾の魂は骨壺がある場所へ飛んだのだ。

暗闇にいると昼なのか夜になったのかさっぱりわからないし孤独だ

どんなに移動を試みてどこかを思い浮かべてみても暗闇から抜け出せることはなかった。

第3の生き地獄 暗闇地獄である。

 

源吾は小さく光るものを見つけた。

蛍と思い近寄ると光は大きくなりある程度の大きさになると近づけず月光のように近づけず近づこうとすると離れる。真っ暗だった景観は変わり薄暗くなると素掘りのトンネルの中のように岩肌が見える。さらに歩くとトンネルの出口が見えトンネルの中を歩いていたと理解した。

 

次に源吾の視界には光溢れる眩しい景色で目を覆った。

 

こはどこの駅なんだ」

どこかの駅のようだが来たことがない駅でホームはアスファルトやコンクリートでは出来ておらず路面はレンガで敷き詰められていた

照明もLEDや蛍光灯ではなく大正や昭和初期とも思える油を使ったランプだった。

ホームに入ってきた電車はディーゼル機関車のDD511貨物列車がコンテナを引っ張ってやってきた。コンテナ車の大きな扉が開くと座席などないところに人々は座り込んでいく。源吾は人々に遅れないように1段高いコンテナに乗り込もうとした。

 

「乗るのはやめなさい」

 

源吾の耳元で脳を揺さぶる声で足の歩みを止めた。聞き覚えがある

懐かしい声に心が震えた。

 

「乗るんだったら次に来る列車にしなさい」

 

”がッチャン”

 

金属の扉が喧しい音を立てコンテナが閉じると貨物列車は動き出す

貨物列車は加速して後尾のコンテナ車がホームを通過するときは風圧で待つ人が吹き飛ばされそうになる。貨物列車が去ると同時に漆黒の一つ目小僧が入駅してきた、足元から水蒸気を噴出させるSL C63型蒸気機関車だった。

 

「あの機関車に乗りなさい」

 

20年前母が死んでから1日も忘れたことがない懐かしい声。

忘れなかったのは母の死後40日過ぎた日の晩から毎夜母の夢を見るようになったからであった。

 

16号車の昇降口から誰かが源吾を呼ぶ、自分の名前を呼ばれたので16号車の方を見ると死んだ母がそこにはいた。55歳で死んだ母だったが40代半ばの頃に戻り、元気いっぱいだった母がそこにはいた。

 

「さっきは危なかったよ、あの貨物に乗ると地獄へ送られるんだ」

「この蒸気機関車は極楽へ行けるのかい」

「当たり前じゃないかい、みんなで暮らすんだよ」

 

母がそこまで言うと57歳だった源吾は母が生きたいた18歳の頃に戻り母に手を繋がれると蒸気機関車の汽笛が発車の合図を示すように響き渡る。

 

この物語はフィクションであり実在の人物

団体とは一切関係ありません