「佐々木さんとこの歩未(あゆみ)ちゃん、最近みないけどどうしたのかしらね」
「家に閉じこもり部屋の外に出ないらしいわよ、ニートって奴よ」
「ご両親も心配ね」
「うちも息子がそうならないように気をつけなくちゃね」
数年前までは男がニートの代名詞というくらい男の方が多かったニートであるが近年は若い女性が増える傾向にある。アニメでネットの世界を題材とするゲームや転生ものが流行するのもそのような背景があるからにならない。22才で会社を退社した歩美は社内での人間関係に嫌気が差しゲームの世界に嵌ってしまった。ネットでゲームを通じて友人になった人達は会社の本音を隠す付き合うのとは違い本音で向き合うのがネットの友人だ。相手に本心をぶつけるネットが歩美には心地よかった。リアルで付き合う訳ではないのでプロフィールは知らないが平日の日中からゲームで楽しんでいるところをみると歩美のようなニートかもしれない。
”弁作さん、次のクエストはやるの?”
”やるよ、ピンクハワイアンの衣装欲しいしな”
”黒の堕天使さんも是非欲しいと言ってたよ”
”みんなピンクが好きなのね”
弁作のゲームキャラはニヒルな筋肉ムキムキマンだったので歩美が男だと思っていたのにも仕方ないが中身は実は・・・
死神や妖怪を倒し骨を奪取し組み立て恐竜を組み上げるゲーム、だから骨が一つでも足りないと恐竜は組み上がらない。組みあがる恐竜によってレベルは上がりレベルがあがれば強力な武器を持つことが出来るので初期には短剣だったが歩美も今はバルカン砲を持っていた。このゲームにはリアルでは逃げるばかりしか出来ない悪霊を撃退できる武器が存在し恐竜の骨の種類でランダムに出現する。歩美のキャラはエリザベス、レベルは中級でプテラノドンやラプトル程度しか組み上げておらずいつかはティラノサウルスまで到達したいと思っていた、ゲーム仲間に黒の堕天使というキャラがいるが彼の持つ破邪の剣はティラノを倒さないとゲットは出来ない必殺アイテムであるが黒の堕天使はここ数か月で課金を重ねたと思える程短期間で多くの武器を持つようになった。
エリザベスと弁作は森の中を走った、今日の敵は死神よりも強敵と名高い廃ホテルの怨霊と渓谷に留まる遊女衆だ。皮膚の色や形相だけで恐怖を現すだけなら特に怖くはないが哀しみを滲みだし表情の中に憎悪を感じさせる女の怨念が現実世界の女性に近くリアルな幽霊に思え恐怖をゲームプレーヤーに感じさせる。いくら走っても追跡する悪霊は瞬間移動もできるために逃げる事が出来ず距離は縮まるばかり。姿を見るだけでも怖いのにマグロを解体に使う大型の出刃や錆ついた剪定ばさみを両手で持つから恐怖は膨れ上がる。今まで歩美は窮地に立った時などとなく弁作に助けて貰ってきたが今度ばかりは弁作にも打つ手がなく今は走って逃げるしか道はなかった。
「あの崩れかけた洋館みえるだろ、中に入ろう」
「追いかけてきたらどうするの、今も絶体絶命なのに」
「わからないけど入ってこれない可能性に賭ける」
「いざとなったら君だけは僕が守る」
「こんな時に黒の堕天使がいれば・・・」
「所用があるんだってさ」
弁作を動かしている人物は部屋で震えていた。恐怖ではない、陶酔していた、自分のチャットで話した言葉に自分自身で陶酔しキーボードを叩くスイートピンクの爪先が震えた。
”こんちくしょ~、言われてみてぇ”とゲームをやりながら思ったようだ。歩美のほうはといえば顔を火照らしたというよりは酒を飲みながらゲームをするので酒が回ったのか、言葉に感動したのか判別はむずかしい状態だ。
ゲームというと所詮遊びだと思う人が多いがキャラは自分を映す鏡、苦難を共にする相手がいれば情が沸く、現代ではコミュニケーションツールとなっているのがネットゲームだ。
崩れかけている洋館、太く幹の様な蔓は廃墟の壁に根を張り伸びて枝ともいえる細い蔓を伸ばし壁のコンクリートも生気を吸われたように変色しシミの様に色を変える洋館で地面から数えートルコケが覆われる。弁作が入ろうと思ったのは2階の窓に人影を見つけ手招きしていたからだった。両開きの重いドアを手で押し開くと錆びたドアを開くときに発生する音がする。しかし不気味な外観とは異なり内部はホテルかと思うくらい整理されており大理石のテーブルは天然石特有の輝きを放っていた。
「ニートの森へようこそ」
タキシードを来た老紳士が2階からカーブを作る木製階段を降りてきた。ドアを叩く音が聞こえる、悪霊達が入ってこようとしているようだ。
だが老紳士は顔色変えず微笑んでいる、どうやら絶対の自信を持っているようだ。
「何も心配する必要はありません、何者も侵入できません」
「ここは一体?」
「避難場所でありゲームバックアップする場所で喫茶できるのがニートの森なのですよ」
「黒の堕天使様はちょくちょく御贔屓にされてます、黒の堕天使様はご存知でこざいますね」
「勿論、親しい友人ですから」
「黒の堕天使様には仕事を手伝って貰ってます」
「仕事というのはリアルでもニートの森は営業されてるのでしょうか」
エリザベスも弁作もニートの森は喫茶店か軽食のできるレストラン程度にしか思っていなかった。だが喫茶店のウェイトレスの時給では高が知れているので最近の黒の堕天使の金回りの良さは見当が付かない。ニートには収入がなくそこで弁天は仕事に興味を示した。
「わたしにもその、仕事の詳細を聞かせて貰えないだろうか」
「丁度欠員が出まして2名ほど補充しなければいけなかったのです」
「では奥の部屋で説明しますからわたしについてきてくだい、エリザベス様も如何ですか」
「わたしもですか?接客業の経験がないので勤まるかしら」
「場所は山梨県、宿泊施設もありますから住み込みでお願い致します
時給は5千円で特別手当が5千円つく場合もあります」
「その特別手当はどのような理由でつくのですか」
「ネットで話せるのはここまで、あとは実際に会ってからにして頂きたいものです」
「やはり面接という形になりますか?」
「堅苦しく考えることはありません、オフ会をすると考えれば宜しいかと存じますので履歴書など不要」
山梨の山深い場所に確かにニートの森なる喫茶店は存在した。その店ではじめて会った弁作はニートだというにはあまりにも勿体ない女性で歩美は同性ながら見惚れる程の美麗、弁作は男性とばかり思っていたエリザベスの歩美には衝撃だったようだ。
「はじめまして、ようこそニートの森へ」
「はじめましてよろしくお願いしますわ」
「支配人は女性だったのですね」
「多くの方がわたくしが男性だと勘違いなされます」
ネットでは老紳士のキャラだったがリアルでは30代の知性ある女性に弁作こと香織と歩美は以外だったことに驚いた。経営者の倉敷智美は何でも好きな物を注文しても構わないと勧められコーヒーとミックスピザを食べていると汗まみれの若い女性が歩美の横を通り過ぎる
「今後ろを歩いていたのが黒の堕天使様、八城優香さまです」
「女だったのですか?知らなかった」
「あらわたしは知っておりましたわ」
コーヒーを飲んだ歩美は意識を失った。再び意識を取り戻した歩美は
なぜか頭痛がひどいし身体が妙に熱く燃え上がるような感覚を覚えた。横を見ると透明のアクリル板の衝立(ついたて)の向こうには自我を失い夢の中にいるような顔した香織がいる、四つん這いにされた香織を見て自分も四つん這いにされていると知った。いつの間にかゴム製の良く伸びるパンツを穿かされていることも歩美は気づいた、燃える股間にゴムの冷たさが気持ちよい。気のせいかもしれないが下には何も履いていないノーパンに近い気がする。背後はカーテンで仕切られて背後は何も見えないが腰を後ろに突きだす態勢を無防備だと思ったが手首を何かで固定されている為にされるがままではないか。それにしても不思議なことに胸の中心が痛い、膨らみ過ぎて破裂するかの痛みで神経が露わになっているような感覚皮の猿ぐつわをしているせいで何も話す事が出来ないのも妙なことだ。床が動き始めると腰の上にカーテンの布地がかかる感覚を感じた。横を見ると香織が何かに堪えている表情をみせると思ったら自分のお尻も誰かに触られている指の感覚があるもののゴム製のパンツを穿いていることに安堵した。だが嫌な感覚ではなくもっと触れて欲しいと考えてしまい身を捩る。香織は痛みで苦しんでいると思ったがそうではないようで苦悶の表情を見せた。硬いピストンが潤滑油によってシリンダーの中を動く時に油によって摩擦を軽減するような音が聞こえた。
”クチュ、グチュ、クチュ”
背後を見る事ができない為にどこから音がきこえるかわからないし何の音なのかもわからないが快楽の気分を盛り上げるものだ。失神した後に意識をとりもどした歩美は素敵な夢をみたと思った。なぜなら歩美はベッドで寝ていたからである。部屋のドアを叩く音が聞こえやってきたのは香織であった。
「歩美ちゃん、今日1日だけで3万円も頂きました」
「わたしは貰ってませんよ」
「ベッドの脇にあるサイドボードの引き出しあけて御覧なさいな」
茶色の封筒が入っていて中には一万円が3枚入っていてビックリした
熱かった身体も熱が引き気分晴れやかだった歩美。支配人である智美がやってきて続けられそうなのか訊ねると歩美も香織も承諾する。
「どう続けていけるかしら」
「やります」
「健康保険料などの社会保険はどうなりますか」
「うちは非合法なので自分達で払って頂戴、うちは強制はしない辞めたくなったら辞めればいい。」
「ネットはやりたい放題、パソコンはゲーム重視のハイスペックを無料貸与、衣食住は完備で自炊した場合は別に食事代を出すわ」
何もしないニートの女性に憂いを感じニートの森を立ちあげた支配人の智美。智美は知っていた、女性にも性欲があり性欲で利益に繋げられないものかと考えた。しかし非合法の仕事では広告出す事も出来ず顧客は紹介制としたのには摘発されるリスクをすこしでも減らしたいと考えたからだ。智美に野望はなく金銭もそこそこでいいと考え
利益よりも顧客やニート女性の自由を優先し彼女たちには自分の好きな事をして生きて欲しいと望んだから今の摘発率0を成し遂げた。また顧客もゲーマーが大半である為ニートの気持ちが理解できる。
お互い顔を見せない故に恋愛トラブルも起きないし指名することも不可能なのでトラブルは起きていない。
おわり
この物語はフィクションであり実在の
人物団体には一切関係ありません