[短編小説] 病院行き路線バス | 妄想小説日記 わしの作文

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わたしの妄想日記内にある”カゲロウの恋”の紹介するために作った
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入浴してたまに今日はやけに肌が色白に見えた時、電気の使用量が少ないから蛍光灯が明るいのだと無理やり自分を納得させたことはないだろうか?物事にはすべて理由があり偶然はないのだ。

 

都市伝説のひとつ、河西病院ゆきに乗ると霊界へ連れて行かれ命を奪われるという若者達が語り継ぐ伝説が国枝市にはある。道路を普通に走り回っている路線バスと見た目は変わらないから違和感なくバスに乗り込んでしまうが夜9時を過ぎると運転していた筈の運転手が消え突如として停車スイッチが点滅をはじめる。点滅を見たものはいないので確証を持っている人はいなかった、だから都市伝説なのだ。

 

幽霊など信じない、呪いなど実際にはない、伝説のバスなど走っておらず人の恐怖が作った幻と考える能天気なお気楽主義が身近に一人はいる、進学校として名高い有名高校の2階2-Bにも一人いた。成績優秀だがなんでも冗談にし笑いをとる、韓流スターばりの容姿をする長身の学生なので彼の周りには女子生徒が集まるのも道理というもの。

「河西病院て本当にあるのかな」

「河北病院を読み間違えただけだよ、多分見たやつは老眼だったんじゃないか」

「高校生に老眼はないでしょ」

「じゃ失恋のショックで傷心だったんじゃないの」

「木下、おまえ何人振った?おまえが原因かもしれないぜ」

「♪片手でも余るう~両手 でも足りない♪」

「あはは、何それ」

「昔のポピュラーな歌だよ」

昼休みが近づいてくると長い茶髪を翻す高木佳乃のもとへ毎回来るのが

佐伯悠花という2-Dの生徒である。

「今日はカレーパンにミックスピザを食べたいわ」

「下の売店でミックスピザなんか売ってませんよ」

「だったら校外にあるパン屋さんに行けば?」

「校則で昼休みの外出は禁止されてます、先生に見つかると謹慎処分になってしまいます」

「見つからなければいいじゃない、木下君や祐介君も頼んだらいいよ」

「百合子はどうする?」

「わたしお弁当持ってるからいいよ」

「ふ~ん、そう。」

「佳乃さんお金をください」

「財布忘れちゃったから出しといてよ」

「ぼくも後で払うよ」

 

木下と祐介は眼を見つめ合い目線で合図を送ると微笑みあった。佳乃に習うように木下と祐介に後で支払う気は持っていなかった。佐伯悠花が教室から出て行くと教室に居た筈の木下達は戸惑いをみせる、それというのも数分前まで教室の椅子に座っていたのが今はバスのベンチシートに腰かけているのだ。

「まもなく七色キャンプ場、お降りになる方は丸いスイッチを押してください」

バスにいるバス会社の制服を着る若い女性がマイクを持ち車内アナウンスをすると木下達4人以外には乗っていないのに降車ブザーが車内に鳴り響いた。

 

バスの行き先を公示する表示が”カタカタ”と音を立てて回りだし”42河西病院行き”となったところで止まる。4人はバスから降りるしかなかった

このキャンプ場で降りなければ河西病院まで乗せて行かれると危機感を

感じたからだ。ワンマンバスしか走らない現代社会で車掌が同乗なのも不気味に思えたが走って来た砂利道の道路は街灯が一本もなく暗闇の

道のなか他に車も見なかったから恐ろしかったのである。バスを降りると

方向転換しなければ帰れないであろう細い道をバスはガードレースを突き破り空中に浮かんで走っていく。

「こんなところにキャンプ場なんてあった?」

「数十年前に廃キャンプ場になった場所ならあるよ、確か学生が集団自殺してから利用者がなくなり廃業に追い込まれたそうだ。」

「バカバカしい、違うキャンプ場だろう。新しく開業したんだろ」

照明がない素掘りのトンネルを手探りで歩き水たまりに足を取られ転倒する佳乃や百合子はそのたびに悲鳴を叫んだ。出口から吹きつける生暖かい風が頬を撫でるのはまるで誰かに頬を触れられているように錯覚し心臓が高鳴るのを4人は覚えた。

 

「もう帰ろうよ」

「どうやって帰る?どっちへ行けば帰れるんだよ」

「そうだ、俺達はキャンプ場へ行くしかないのさ。」

「そうだよ佳乃、キャンプ場なら食材を売っている筈とりあえずご飯を食べよう」

 

トンネルからやっと抜け曲がりくねった山道を登る、静寂な山の中で清流の流れる音だけが聞こえたが暗い山道ではどこに河が流れているのか見当がつかない為堰堤で川の流れる音が音量をあげ大っきくなっても傍によることができない。山道を歩き始め30分、身体は水分を欲して喉が渇いているが水場がないので崖を下るしか水を得る事はできないだろう

一人犠牲的精神で水を汲んでこようにも水を溜める容器がない、仮にポットのようなものを持っていたとしても木下は誰かの為に何かをしよう、そんな奇特な人物ではなく他の3人も自分だけが良ければいいとする自己中心的な思考をしていた。幼いときより人に頼ってばかり何をするにも他人任せで成長した者は大人になっても変わらず自分で行動を起こす事ははない。キャンプ場に着き最初に炊事場で調理する人影を見つけたのは佳乃だった。薪の燃える炎、魚の油が燃え薪木の煙と融合し魚の焼けた匂いを拡散させる。炊事場にある流しの蛇口からは勢いよく水を出しシンクには無駄と思えるような水を溜めている。

 

水も飲みたかったが佳乃は喉の渇きより空腹を満たすのを選び焼かれていた清流に棲む魚を少女より奪うと貪り喰った。そこではじめて魚を焼いていた人物がパンを買いに行かせた佐伯悠花と知り驚愕した。木下と

祐介は炊き上がったばかり白米を飯盒よりだし手づかみで食べると生まれて初めて感じる、こんなうまい米あったのだろうかと感激した。

「ちょっと木下君、何食べてるの?吐きなさいよ」

百合子の言葉に何が変だと不思議に思うと口の中で何かが動いた気がし少し地面に吐き出してみるとそれは米ではなく濁った色した虫の幼虫

一般的にいう蛆というものだった。

”うげぇ~”

木下も祐介も食べたものを胃液と共にすべて吐き出した。そして魚だと思って食っていた佳乃の持つ手には猿の腕があった。佳乃は口を真っ赤に染め血だらけで猿の腕を噛みついたのに気づき水でうがいを何度もすると口からは血染めの赤い水を吐き出した。

 

佐伯悠花だと思っていたが人物は豹変し直角に腰が曲がった老婆、ボサボサの長い白髪頭をし赤い瞳でこちらを向くと不気味な嗤いを嘆ける

「いずれ迎えに行かせるからそれまで元気でいることじゃ」

老婆がそう呟くとキャンプ場の炊事場は煙のように消え4人はそこで倒れた。4人が意識を取り戻すと校内の教室で昼休みに入っていたのかクラスメートは机を寄せて弁当を食べているのが見えた。佐伯悠花が戻ってくるのを待っていると遠くで聞こえる救急車のサイレン音、しばらくしてから教師が血相変えて教室に入って同級生の不幸を告げた。

 

「D組の佐伯悠花さんが大型ダンプに轢かれ死亡したそうだ」

急いで2車線の道路を渡り右車線を走るダンプに気づかなかったため

に轢かれてしまった事故で少女の右手にピザの箱を持っていたそうだ。

佐伯悠花が他界した日の夕方から翌日まで木下ら4人の行動が不明と

なり行方不明として警察に届けたが姿をみかけなくなった日から数年経過したが今なお行方知れずとなっている。

 

この物語はフィクションであり実在の

人物団体には一切関係ありません