[短編小説] とある家族の風景 | 妄想小説日記 わしの作文

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わたしの妄想日記内にある”カゲロウの恋”の紹介するために作った
ブログです

未婚の女性なら必ず持っている結婚生活、姑との付き合い

新婚時には”お母様”と呼ぶが経年と共にそれは変化して

”ばあさん”となっていく。これはある 最果ての地に住むと

ある同居する家族の物語である。

 

瑞穂(みずほ)はパート勤務が終わり自宅である一軒家へ

戻っていた、服をラフな部屋着に着替え夕食の準備をする

為にエプロンをつけていると外で人の声が聞こえた。玄関へ

行くと新聞配達のお兄さん、新聞料金の徴収だとすぐ気がつ

き食器棚の引き出しを開けた。いつものように新聞のお金は

封筒に入れてあるのだ。各領収書が束ねられるいつも風景

そう瑞穂からしたら変わる事のないいつもの風景の筈だった

しかし・・・いつもと違う物が目に入った、見慣れぬ鍵である。

「なにこれ?誰の鍵」

車や自転車の鍵ならすぐにわかる、しかし南京錠の鍵や玄関

ドアの鍵は独特の形状でどこに使うものかわからない。

しかも鍵穴には針金を介し電話番号が書かれたプレートつきだ

無論自宅の電話番号とは違う物だった。

「ばあさん、この鍵なにか知っている」

「ああ、それ先日道端で拾ったんだよ」

瑞穂は自分の中で込み上げてくる感情を抑え込んで冷静を心掛

けようとするが眉毛は”ぴくっ”とした。

「なんで警察に届けずうちにあるの?」

「なんかさ、面倒になってね。届けようと思ったんだけどいろいろ

 考えていたうちに煩わしい事聞かれるだろ」

”考えるなよ”瑞穂は心中で叫んだ。

姑は良い事したので褒めて欲しいと言わぬばかりに胸を張る。

しかしこれは拾得物横領という犯罪に成りかねない。

「だったらなんで拾ってくるの?もとあった場所に戻せばいいじゃ

 ない。」

「拾った場所が遠いんだ、面倒臭い」

年をとると何事も面倒になるもの、瑞穂もそれは理解できる。

だったらなぜ自らが面倒になる事を起こすのか?

 

「あのう、すいませんまだ時間かかりますか」

「あ・・すいません今払います」

新聞配達員に料金を渡し再び瑞穂は居間へ戻った。

 

「どうして電話かけてあげないの?」

「気味がわるいじゃないか、もし犯罪者だったらどうするんだい」

”ばばぁ、おまえが犯罪者だろ”

今にも爆発しそうな瑞穂は叫びたかった。そんな瑞穂を見ていた

夫が自分の携帯電話を取り電話をかけてくれるようだ。電話番号

押すと瑞穂は携帯電話を手渡された。

「え!なんで」

「見知らぬ人に電話かけるのは怖い、面倒だからおまえ話して」

納得できぬままに瑞穂は電話に出る、やっぱりこいつら親子だ

嫌なところばかりそっくりだと瑞穂は痛感した。瑞穂は常日頃から

面倒ごとは適当ないい訳され押し付けられていたのである。

 

翌日、瑞穂はスーパーで贈答品を購入し落とし主を訪問した。

普通落としたほうが感謝の気持ちを現し贈るのが定番ではある

それを拾った方が贈るのは理由があった、拾ってから自宅にあ

った期間実に3週間。泥棒と言われても申し開きができない。

しかし落とした主婦は良い人でとても感謝され贈り物はなんとか

貰って頂いた。更に瑞穂はお礼にと商品券5000円分頂いた。

”これはわたしが使おう”

正直に姑に言ってしまうとあの姑の事だ、取り上げられる。

「わたしが拾ったんだからわたしが貰うのが当然」だと。

 

この物語はある家族の実話である。決して嫁姑、犬猿の仲では

ない・・・らしいが幸福な一家かもしれない。