僕は山深い山林のキャンプ場にある大きなロッジにいた。外は
雪が降り積もり時折木の枝に積もる雪が落ち”ドサッ”と音が聞
こえる。ロッジはかなり痛んでおり屋根の亀裂からは白い光を
放ちまるで氷の中にいるようだ。木の床は朽ち歩くだけで軋む
音がするそんな30畳はありそうな広いロッジに僕はシュラフに
くるまって寝ていた。夜も更け外からは吹雪く風の音が耳の鼓膜
を揺らす。そんな中、寒い雪ふる冬に場違いとも思える音がした。
それは横笛の甲高い音、それは積雪によって音響効果をあげ
響いて聞こえた。
横笛の奏者が誰なのか、気になるが見てはいけないものと理解
はしている。だが僕はその音に導かれるかのようにロッジから出
た。冷たい雪の中、足首まで沈んでいく積雪、僕は冷たいと感じ
ながらも歩いて行くと積雪のせいで深夜だというのに明るい。
横笛の音は次第に大きくなり僕はそこに腰の曲がった老婆を
見た。老婆は雪が降り続ける凍るような寒い夜にも関わらずに
黒い横笛を持ち指を器用に動かして吹いている。もう少しで老婆
に声を掛けられる距離まで近づいたと思った瞬間、老婆は消えた
老婆が居た場所の先には木造の古びた便所というより厠(かわや
)といえる建築物が見えたのでこれ幸いと感じ拉げた板のドアを
開けた。中には便器はなく板の間の中心がポッカリと穴を開けた
ものでその穴をまたぎ用を足した。溜まっていたものを出し気分
は晴れ外に出るため先程の今にも壊れそうな板のドアを開けると
そこに影があるのを感じた、それは先程みた腰の曲がった老婆
がこちらに背を向けていた。白髪頭の顔がゆっくりとこちらを見る
ためにゆっくりと振り返ると、長い白髪で隠された顔の口元が上
がり真黒で歪に並ぶ歯を見せ嗤った。
「うわぁあああ」
僕は寝室で目覚めた、そうとても目覚めの悪い夢だった。
トイレに行きベージュ色の木製ドアを開け便器の蓋をあげて座った
大便を便器の中に落としロールペーパーで尻を拭いて便器に落と
してから流すと便器の底には水が渦を巻いて吸いこまれていく。
ただ汚物が吸いこまれてあらたな水が溜まるの通常であるが汚物
吸いこまれた瞬間、下が何かが上がってくるのか水の逆流が確認
できた、その刹那赤黒い細い指が底から這いあがり赤く溶けた爪
で便器を掴かむ、皮と骨ばかりの痩せた赤黒い手が見えたのだ。
僕は急いでトイレのドアを開けるのだがトイレの照明は点滅する。
トイレの照明が消え真っ暗な闇の中でドアの向こうに気配を感じ
た。
そこには縮れた白い髪で隠れた顔、カスリの着物を着る夢で現れ
たあの老婆がこちらを向いて笑い、黒い歯並びを見せて笑った。
老婆が顔を上るとそこにはある筈のものがなく眼の部分は黒く
窪んでいるのみた瞬間に僕は倒れ失神した。
この物語はフィクションであり実在の
人物団体には一切関係ありません
おわり