パンツに穴が開いたことはないだろうか。
食物を消化するため胃酸が分泌されるわけだがそれが糞と一緒
に排出されパンツの繊維を溶かすのだがその胃酸には個人差が
あるのだ。だが最近はウォシュレットが普及したおかげでその胃
酸を洗い流すことが出来てパンツに穴をあけずに済ませられる。
ここで紹介する一人の男は消化が優れ過ぎて消化不良になった
ことが齢35にして現在までまったくない。これをみた高齢者の方
はなんとも羨ましいと思うだろうが本人にしかわからない苦悩とい
うものがあるのだ。そのひとつが消化機能が良すぎて体内に栄養
を吸収するまえに糞として排出されてしまい結果、脂肪はおろか
筋肉さえつかない脆弱な体形なのだ。デメリットはこれだけではな
い。
「ありゃ、またパンツに穴があいちまった」
男が下を覗いてみるとパンツには大きな穴があいていた、穴とい
うよりは融解した土で出来たクレーターとでもいうかのようにパン
ツの穴があいた端は明らかにパンツの繊維が溶けていた。
快便は毎日、そして毎日パンツをダメにしている。一般男性でも
月に2,3枚買うのは清潔好きのほうだと思うが男の場合は月30
枚買うのが普通である。しかも毎月同じ枚数を買う。
だがここまでは自分一人の問題であり他人に迷惑をかけることは
ない。仕事はできるし思いやりも備え困った人がいたら助ける素晴
らしい人間であるが何故か結婚することは出来ない、それには理
由があった。
昔のこと、男が公衆トイレで糞をした。その時一緒に屁もこいた。
そのトイレは掃除があまりされていない汚いトイレ、ゴキブリもいた
だが男が屁をしたおかげかそこにいたゴキブリは頭が溶けて死ん
だ。男が生物を溶かしたのはこれが最初だった。
当然これだけならば自分のせいではないと思うかもしれないが男
の住む部屋にはネズミが一匹もいない。駆除したわけではない。
男の放出した屁のせいでネズミは溶けて液体となったのだ。
自分でも危険な屁だと自覚はしている、コンビニや店舗のトイレを
借りたとしても今まではこかないよに我慢して過ごした。だがこの日
ばかりは・・・。我慢しているが辛く、額から脂汗がすすり落ちて行く
なにか違うことを考えるようにしてもエネルギーが溜まり膨らむ腹は
放出される刻(とき)をひたすら待つ。我慢が限界まで達した時、男
は下半身から爆発音に似た音を周囲に響かせ屁を放出した。
”ボォン”
男はトイレにいたがそのドアの傍にいた若い女性は悲劇だった。
ネックレスと指輪を床に落とし全身が溶け液体となってしまった。
「祐美子、その指どうしたの?」
「え、何が」
友人らしき女性に訊ねられそのモデルらしき風貌の女性が自分の
小指を見てみるとパールの粉末が入った赤色の爪の姿はなく小指
の第一関節から先がなく血さえ溶けて固まっていた。
”キャァーー”
コンビニのあちこちで絶叫する声があがり店内は騒然となっている。
男は便器に座っていたおかげかズボンもパンツも被害はなくトイレ
から出た男は涼しい顔で混乱に乗じ店を後にした。
男がやったという証拠は何も残っていないから原因不明の惨事が
起きたとしかテレビニュースでは流れなかった。
この日新たな都市伝説が生まれた、これは単なる幕開けにしか過
ぎない。
おわり
この物語はフィクションであり登場する人物、団体とは一切関係
ありません、まして作者自身とはまったく関係ありません。