[短編小説] 意外な趣味にも程がある | 妄想小説日記 わしの作文

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わたしの妄想日記内にある”カゲロウの恋”の紹介するために作った
ブログです

人は生まれ、性別、国籍、生活環境で様々な趣味を持っている。

人が何に興味を持ち心を惹かれてしまうのか、それは個人の自由

なのではあるが時として趣味が人生の障害となり足を引張る場合

もあるのだ。世間一般の常識では就職し社会の一員となる、結婚

して責任ある立場となるのが人生を歩む定石である。と多くの人が

思っている事、それ故趣味は2の次でなければならない。

 

「真心ちゃん、実に言いづらいんだけどうちの田舎でね困ってのよ

 母親ももう年なんだから農作業なんかやめてと言ってるんだけど

 ね、先日田んぼの草刈りに来てと言われてね」

「ほらあたしら農作業なんかしたことないから、無理って断ったんだ

 けどそしたら母が逆切れしちゃってさぁ」

 

「フリーターだから暇はあるんですけどどちらで?」

 

「長野なんだよね、八ヶ岳が割と近い」

 

「長野県ですか・・・う~ん」

 

「真心ちゃんって確か野沢菜が大好きだったよね、いっぱいあるよ」

真心は野沢菜に目がなかった。さらにその家では蕎麦を育てて

自家製の信州そばを打ってるらしい、人に聞いた話では店で食べる

蕎麦よりも多々ある農家、一つとして同じ味がしない蕎麦それが

とてもおいしいらしい。真心(まごころ)は心を大きく揺さぶられた。

 

「ところでおばさん、農作業と言われましたが一体何をすれば」

 

「田んぼの農道周辺で草刈り、草刈り機を使うんだって」

 

「え!」

真心(まごころ)の指は震えていた、瞳を爛々と輝せて

 

彼女の名前は齢(よわい)25歳になる草刈真心(くさかまごころ)

定職に就かないフリーター、好きなことは工具、機械を扱うこと

ボール盤、エアインパクト、ルーター、トリマー、丸鋸、サンダー

電動とエンジンにえり好みはないがどちらかというと原動機付

エンジンチェーンソーやエンジンポンプが好きで一番好きな物

は草刈り機であった。彼女曰く「甲高い音を奏でて一気に切る

時はたまらなく興奮する」という、俗にいう変態である。

真心はそんな趣味を持つから友人には”マシン”と呼ばれる。

名前を音読みすると「ましん」となるからか。

彼女は草刈り機だけで5台持っている、リョービとマキタそれに

共立などである。排気量もそれぞれ違い30ccが最大。

草の種類、土地の形状などで使い分ける

 

「おばさんやる」

 

「良かったぁ、ありがとう。交通費のほかに作業費もだすわね」

 

「いやいや、作業費はいいですよ。だって野沢菜を頂くし」

 

近所の人、親類、知人友人から仕事を頼まれ月20日は稼働する

本職に頼んだ場合の半分の作業時間、格安の作業費により

彼女を頼ってくる人が後を絶えない。

収入はあり家にも金を入れている税金、国保もきちんとしている

それでも両親は適齢期となった娘が心配でならない。見合いは

両手でも足りない数をこなしてきた、きたがすべて先方から断れ

続けてきた。容姿は人並み以上清潔好きでセンスもいい。

では一体何が原因だというのか?

 

見合いの席で好きな事はと聞かれ正直に草刈りだと言ってしまう

言ってしまうともう停めることは出来ない真心(まごころ)。

呼吸は荒くなり脈拍数も上がる、瞳は輝くだけでおさまらずに目は

血走り頬は紅潮する。間近でその顔を見たものは恐れおののくのだ

そして後日仲人を通じ断りの電話が鳴る、それがいつもの流れ。

当人はまったく気にしていない、彼女は草を刈れれば幸せなのだ。

 

おわり

 

この物語はフィクションであり実在の人物、団体には

一切関係ありません