ある日、わたしに1通のメールが届いたので開けてみると
わたしが加入しているぐるっぽからであり週末開催される
オフカイの案内であった。
ぐるっぽとは同じ趣味、嗜好、考え方が同じもの同士集う
ネット上のサークルみたいなものである。
わたしは小説作家の集う会に所属していた。
そもそも私自身オフカイに参加したことがなく以前から
一度は参加してみたいと考えていたし作家たちと談話も
してみたかったので出席とし返信。
ただネット上のサークルであるから作家でもないのに偽って
作家の振りをしている輩が来るのではとの不安もあった。
当日になりわたしは指定されたビルの2階フロアに入ってみる
と小学生くらいの子供から70歳の老人まであらゆる人間
が集まっていた。グループで談笑する人達、二人で熱く
語り合う人々一人で静かにコーヒーを飲む人など。
わたしは受付を済ませ隅っこに陣取ると人間観察をしてみる
服装もさまざまでスーツ姿の男性、いまどきのファッションに
身を包む女性や和服姿の年配男性、何を考えてるのか
コスプレしてきた若い女性。
このぐるっぽは素人作家のみというわけではなくプロも参加
しているので人の山ができているところも見受けられた。
見回すとテレビで見たことあるような顔が確認できたが
わたしは試写会にきたわけではないので有名人がいよう
と特別関心はなかった。
「あのSさんですよね。」と
若い女性から声かけられ内心わたしは飛びたいような嬉しさ
で返事をした声もハイテンションになり甲高い声で返答。
しかし、その女性が次に出した言葉は
「ゆみこ先生どちらにいるかご存知でしょうか」
その言葉にわたしは落胆した。方向を指した指にも生気は消え
今にも折れそうな心と指。
そんな落ち込んでいたわたしになぜか人が集まりだした。
これは夢か・・・・・
「S先生の書く小説素敵ですわ。わたし好きになってしまいまし
た。ぜひおつきあいを」
清楚な顔立ちに明るい色のワンピースを着た髪の長い女性
はそういってくれた。
さらに業界関係者のような方々も集まりだし
「△■出版ですがぜひ先生の小説をうちで出版させて頂け
ないでしょうか?シリーズもので」
ここへ来てこんなに喜ばしいことになるとは思ってなかった
のでまさに気分は有頂天でピンクの花びらがわたしのまわり
を舞い踊る。
「Sさん、Sさん起きてる?来てたんだ」
声をかけてきたのはブログ友であり作家仲間のT氏だった。
あたりを見回すと私たち以外誰もそばにはおらず空間というか
異次元が存在していた。異次元の先には人が集まっている
場所がある。
そう、人に囲まれたわたしの妄想であった。わたしはやっぱり
昼間だというのに夢を見ていたらしい。
「やっぱり夢か・・・うますぎる話だからもしやとは思ったが」
わたしとT氏は年齢が近く考え方も似ていたので気が合う。
若い人たちは気軽に出会い友達を作っているようだが
私たちくらいの年齢では気安く声をかけるなどということは
出来はしない。
「T氏、なにかいい出会いはありましたか?」
「別に。出会いなんかいらないからまぁいいけどね、嫁もいるし」
「あっそ。」
特に女性との出会いを求めてここにきたわけではなかったが
若くてきれいな女性が多くいると”友達になりたい”と
思ってしまうものである。T氏と違いわたしは独身であるから
私たち以外は実に華やかな雰囲気をかもし出す会場。
パーティーと呼ぶにふさわしくテーブルには高そうな料理
そしてグラスには黄金色した泡立つシャンパン。
タキシードを着た男性やドレス姿の女性も少なからずいる
それに引き換え私たち二人の服はといえばごく普通どこにでも
いるようなカジュアルルックのおっさん達であった。
わたしとT氏が影のようにグラスを傾け飲んでいるとそこに
一人の男が歩み寄ってきた。
なんだろうと思っていたら、男は口を開き
「申し訳ありませんがお二人ともこの場に雰囲気を壊している
ので退場してもらえないでしょうか?」
こうして二人のおっさんは会場を追い出されてしまいましたとさ
この物語はフィクションであり実在する事実とは一切関係ありません。