短編小説 サモアでラーメン屋を開いた日本人 | 妄想小説日記 わしの作文

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わたしの妄想日記内にある”カゲロウの恋”の紹介するために作った
ブログです

夢を抱き海外に渡航していく人々がいる。
日本人ギタと嫁のカナもそのなかの一組であった。
成功を収める日本人、だがすべてが成功を収めるわけではない
中には挫折感を味わいなくなく日本へ帰国する人々もいた。

「あ~あ、ダイビング経営も楽じゃねぇ。最初はものめずらしさで
来ていた地元の住民も日本人観光客も最近じゃまったくこない
暇だなぁ~~」
そう言いながら桟橋で釣り糸をたらす男。

妻はといえば夫が始めたラーメン屋をひとりで切り盛りし一時期は閑古鳥が鳴いていたほど客足は遠のいていたが
妻カナの人柄と料理のアイデア&センスでオリジナルラーメンを開発し地元の住民を捕まえたのである。

暇だといっては魚釣り、釣れないときはダイビング。それが飽きると犬を連れてのトレッキング。
多趣味な夫は毎日だらけていた。妻が毎日大変な仕事をこなしているというのに夫のほうは今の生活を諦めかけていた。
「毎日、客がこないのにこんな仕事したって仕方ねぇよな!
日本に帰ろうかな・・・・・・・」と

日々大変な筈の妻だったが夫が帰宅すると店は閉め明るい笑顔で夕食をせっせと作る働き者の妻カナ。

「今日店はどんな具合だった?」
とギタが訪ねると妻は
「まぁまぁかな。暇なときが多いわね」
「だろう?やっぱりそうか」

本当は繁盛していてとても一人じゃ切り盛りできない程だったが夫に店が忙しいと言えば夫はやる気をなくすのが目に見えていたから妻は嘘をついたのである。

「こんなんじゃ生活できないから日本に帰ろうかカナ。」
「・・・・・・・・・あ、あなたがそういうなら。後悔しないのね」
本当は店がやっと軌道に乗って来て今やりがいが見えてきたところだったので本当はこのままここにいたかった嫁カナ
しかし、愛する夫がいなければなんにもならないと知っていたのでカナは夫を選ぶことにした。夫と共にと

多趣味な夫ではあるが商売経験がなかった為、商売の鉄則を
知らなかった。
どんなに忙しくても客を拒否してはならない。
客はすべて平等であり差別をしてはならない。
忙しくなっても手抜きをしてはならない。

店を開けた数ヶ月間はものめずらしさと興味本位で客はごったがえしていた。だが忙しさで客の入店を拒み手抜きもした
減っていく客の数に最初は減ってくれて嬉しいと思った夫
だがそこが大きな誤りだったのだ。
減っていくのに歯止めはきかない。そして閑古鳥となった

妻と夫でどこが違っていたのだろうか?
夫には商売や会社というものをまったく知らないで商売をはじめたのに対し妻は会社勤め20年だったので人とのコミュニケーションの大切さどうすれば商品を顧客が買ってくれるのかというマーケティング理論を知り尽くしていた。
夫がラーメン店を運営していたらきっと今は閑古鳥が泣いていただろう。

翌日夫のギタは桟橋で本気で日本に帰ろうかと考えていた。
片手に釣り竿で片手にビール缶を持ち。
突然、竿が絞り込まれていった!「でかいぞ、これは」
魚を必死のやりとりの最中携帯電話が鳴り響いた。
竿をあげてはリールを思いっきり巻くと一気に魚は走り糸はあっというまに引き出されていくその繰り返しであった。
携帯はなり続ける。

いつまでも出ない訳にはいかないので竿を持ちながらもなんとか携帯を持つと
「奥さん、倒れたよ!早く帰ってきてよ」
聞いたことのある地元の住民の声だった。魚どころではない
竿を放りなげると海へ引っ張られていく竿。
だが愛する妻が心配だった夫は血相を変え自宅への道をひたすら走る。
メロスが乗り移ったように必死に走る夫。

家に着くと店には多くの人で賑わっていた。その中心には妻の横たわる姿が。
「どうしたんだよ一体?なんで・・・・・」
妻は悲しそうな目で夫を見ると微笑んでいた。
うまく話をすることが出来ない嫁カナの代わりに住民が
「過労だよ!働きすぎね。たった一人で働いてるから無理ない」
とギタを責める人々。
「知らなかった!そんなに忙しかったら俺に手伝ってと言ってくれよ。」
「だって・・・・・・・あなたのほうは。。だから、、、言えなかった」
妻の瞳からは涙が頬を流れた。

「お客さんを待たせたままだから、起きなくちゃ。」
「カナ、君は寝ていなさい。あとは俺がやるから安心しなさい」
「俺のラーメン屋だもんな。俺がやらなくちゃ」
「う、うん。うん。」笑いながら頷く嫁は嬉しかった。

「じゃちょっとがんばってくるわ」
そういうと頭にタオルを巻いて前掛けをつけて厨房へ

嫁は身を起こして尋ねた。
「日本に帰るの?やっぱり」

「そんな訳ないだろ!こんなにも俺達のラーメンを待ってる人がいるんだし。俺達じゃなくてカナのラーメンだったか」と笑う。
「俺は多くを望みすぎたよ。カナとラーメン屋があればいい」
「これからも俺にいろいろと教えてくれよな奥さん」

「嬉しい~~~」それだけいうとカナは涙が止まらない
泣いて泣いて、手で顔を覆った。

ここでまわにいた人々は一斉に拍手
”パチパチパチパチパチパチパチ”
老人や子供、近所の夫婦に親しい地元の友人知人。猟師
一同声を揃え
「これからも~~よろしくぅーー」