短編小説 最後の別離 | 妄想小説日記 わしの作文

妄想小説日記 わしの作文

わたしの妄想日記内にある”カゲロウの恋”の紹介するために作った
ブログです

男には好きな女性がいた。
だが彼女はガンで他界してしまい彼は一人残されてしまった。

悲しみに打ちのめされ涙を流す日々を送っていた男であるが
彼女が他界して1週間が過ぎた頃、男は夢を見た。

夢の中で彼女が彼のもとを訪れたのだ。彼女いわく
「生前、もし死んだら天国への道案内してくれるって約束したじゃない!いやぁ~道がわからなくてさぁ笑」

男は一度死に掛けて幽体離脱をしたこともあるし夢で極楽浄土へ行った事もあったのでそう約束していた。

部屋で寝ていたはずの男はいきなり見たことも無い風景の所に来ていた。彼女と共に
「ここは一体どこだ・・・・・・・なぜこんなところに」
彼女に聞いてもわからないという。

岩で出来た高い崖がある。背後には海があるので河口のようだが崖と崖の間には8メートルくらいありそうな波が上流めがけて流れていくのだ。
二人がいる場所は川の高い土手の上だと理解する。

とりあえず上流目指して歩き出していく二人だった。
河口にいてもどうしようもないから帰るために歩くのであった。
そこで彼女は
「おなかすいちゃったわ。お弁当ほしい」
おとこは彼女の望むことをしてあげたかったが近くの店はシャッターが閉まっており買うことはできない。
いろいろ周囲を見渡してみたが民家が並ぶだけである。

「ここにはないなぁ~もうちょっと歩けば店があるかもしれない」

「ねぇねぇあそこにある米でいいから」と彼女が指差す
そこには4WDのピックアップに米袋が積んでありそれが欲しいと彼女はいう。
「あれはまずいだろう~泥棒になるぞ」

「平気 平気」と言いながら米を荷台から取り出す彼女

実は彼女、がん治療のため入院中だったのでほとんど何も食べる事が出来なかった。男が自宅で作った米を送ろうと言ったときも食べる事が出来ないからと断っていた彼女である。
本当は食べてみたくて仕方なかったのだが体が受け付けなかった。

彼女は米袋を軽く男に手渡すと
「おもてぇ~~」と必死の形相でなんとかかつぐ。

再び歩き出すと道が無くなっていた。上流へいくには向こう岸に渡り崖の上を歩くしか方法がない。
橋はなかったが時折小さい波になるときに石のうえを飛べばなんとか渡ることが出来るようだった。
重い米袋を彼女が持つと一気に向こう岸へ渡る。
あっという間の出来事だった!すぐに高い波がきて石を覆う。

男はタイミングを見計らっていたがなかなか渡る事ができない
彼女はじっと待っていたが背をむけて
「そろそろいくわ!ここまでくればあとはわかるから
どうもありがとう~~~さようなら!」と

背を向けた彼女の瞳からが涙が流れていた。

「おい待てよ!今渡るから。おれも連れて行けよ」

だが波は再び高さを増して進路を阻む。焦る男は無理して行こうとするがどうしても渡る事ができない。
その間に彼女は先へ歩いていき姿も見えなくなってしまった。

そして意識が遠のいた男は
再び意識が戻ると部屋のベッドにいた。
これが男と彼女との最後の別れとなってしまったのだ。