(1)弱さや怠けではなく病気である
うつ病を「人間的な弱さ」、「気の持ちよう」、「性格的なもの」
として捉えるのではなく、病気として捉えることがまず基本で
す。うつ病は病気であり、有効な治療法があり、治療すれば
回復するということを伝えること になります。弱さや怠けと考
えている限り、受診にはなかなかつながらないことになります。


(2)脳の神経系の病気で、ストレスなどが関係している
精神疾患というと、遺伝病、治らないというイメージが今なお
根強くあります。脳の神経系の病気で、発症には心理社会的
なストレスが関係し、薬物療法と精神療法によって神経の調
節を図ることで回復するということを理解してもらうことが大切
です。精神科の薬というと、特別な薬で、自分の精神を変えら
れてしまうのではないかという漠然とした不安を持っている方
があります。病気のメカニズムと薬の効果を説明することで、
病気への正しい理解につながります。

たとえば、人間の感情や思考は脳のなかの神経の働きで起
こっていて、うつ病のときにはその神経と神経を結ぶ神経伝
達物質と呼ばれる化学物質のバランスが崩れているといっ
た説明をしてもいいでしょう。こうした説明は、「精神的に弱い
人間がかかるものだ」といううつ病に対する偏見を和らげるこ
とにもなります。また、抗うつ薬などの精神機能に作用する
薬剤に対する心配を軽くすることにもなります。さらに、この
ような脳内物質の変化がおこるときには、「ストレス因子とな
るようなきっかけがある場合が多い」という話をします。こうし
たストレス因子を理解しておくことは、環境調整などの社会
的治療や、気持ちの整理など心理的な治療を行う上で重要
です。


もちろん、ストレス因子がある場合でも薬物療法は効果的で
すから、治療はバランスよく総合的に行う必要があります。
また、ときには、こうしたきっかけがない場合もあり、ストレス
がないからといってうつ病を否定することはできないことも説
明します。