Goodbye Yellow Magic Submarine (45) | =GYMS= まっくのプレスプログ

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たまに、ニュースを題材としたプレスブログ。

 僕は、まるで、チカチカとぎこちない動きの古い記録映画でも見せられた時のように、苛立ちで目の奥がひどく痛くなり、煩わしさすら感じ始めていた。2階席からは、すべてから解放され、自由となり無防備となった少年・少女たちのダイビングが続き、苦しげに火を噴いた紙ヒコーキが次々と僕の頭上に失速しながら墜ちてくる。

 黄色い男共は歌い続ける。機械的に歪められたモノローグ風のボイス・シンセサイザー、エコーを必要以上に効かせたベースの音は響き渡り、金属を擦り合わせたようなエレクトリック・ギターの軋みが強烈に鼓膜に跳ね返る。少年たちの破壊は続き、少女たちの叫びは尾を引きながら、僕のすぐ側を駆け抜けてゆく。

 黄色い男共は演奏をやめない。暗く、重たげで、抑揚のない、機械的に歪められた黄色い男共の歌声は、確かに聞こえ続けている。そして、ふたたび僕に聞こえ始めるうなりのようなあの音。とてつもなく低いうなりのなかに、何かが混じり込んでくるような、漠然としたざわめきが始まる、その瞬間に聞こえてくるような音。あぁ、僕に聞こえ始めるあの音は、一体なになのだろうか。

 たどり着く先を知らぬ少年・少女たちの狂気。僕は、ただ眺めているだけだった。黄色い男共は、= エリア豪壱 =の至る所で繰り広げられている少年たちの騒乱を少しも気に止める様子もなく、その体をぴくりとも動かさず演奏を続けている。ステージ後方に幾重にも並び置かれた真空管のフィラメントのすべてには、いつの間にか鮮やかな灯りが点っている。まるで、美しく都市計画された街並みのように、たくさんの管球が人工的に制御された鮮やかな灯りを点らせている。

 先ほどから、ずうっと、一人の少年が巨大なマイクロフォンの真下で立ち止まり、その頂点をじっと見つめ続けている。一瞬、稲妻のような閃光が少年の横顔を照らし出すと、それが合図でもあったかのように、少年は自分が影となって消えてしまわぬうちに、巨大なマイクロフォンに飛び移り、ゆっくりと登り始めたのだった。



To be continued.



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