今にして思えば、あの時は既に死んでいたんだ。

私の仲良くしていた警察官が転勤で静岡県警本部に行きました。

そろそろ警部補になりたいと言ってましたから、栄転だと思っていました。

次は刑事課かな?

そんなことを言ってました。

奥さんも一緒になって送別会を我が家でやって猪鍋料理と鹿の刺身と越乃寒梅と言う豪華な料理をふるまいました。

転勤したら携帯電話の番号などを変えるから暫くは連絡できないと言ってました。

私もヨーロッパやアラブ諸国に行くようになったころだからすっかり忘れていました。

ある時、本社にいたら来客が来たと言うから会いに行ったら松山さんがいました。

昌昭君、悪いけどこの手紙を女房に届けてくれないか?

俺は今から遠いところに行かなきゃならないんだよ。

家は君が来たことがある小田原城の近くの家だよ。

私は会議が始まるから細かい事は聞かないで受け取りました。

その晩は東京に泊まって、翌日に小田原に行きました。

その近くに、我が社のガソリンスタンドがあったからそこに車を置いていきました。

箱根で取引先の人が亡くなって、香典を届けるから喪服を着ていました。

松山さんの自宅に行ったら線香の匂いが立ち込めていました。

奥さんは私の姿を見て驚いていました。

どうやって夫の不幸をしったのですか?

今日は49日で、さっき法要が終わりました。

私は驚きました。

昨日、松山さんが来てこの手紙を渡してくれと言われたから来たんですよ。

奥さんに封筒を渡しました。

そこには遺書が書いてありました。

それと、銀行口座のパスワードなどが書いてあったそうです。

夫は突然死だと言われましたけど、身体には凄い傷痕がありました。

きっと殺されたのでしょう。

30分くらいいて帰ろうとしたら、警察官に呼び止められました。

すいませんが、あちらの方とはどういう関係ですか?

答える前に、貴方の警察手帳見せてよ。

私の叔父は警察庁のキャリアだよ。

この県警の本部長は同期だよ。

そういいながら、叔父に電話しました。

今、神奈川県警の人に職務質問受けているけど、制服警官なのに警察手帳を出さないよ。

お前の位置を確認したから、直ぐにパトカーを出させるよ。

そう言った会話を聞いていたから、警察官は逃げました。

2分でパトカーが来ました。

隠し撮りした警察官の写真を見せたら知らないと言われました。

叔父に写真を送ったら、明日会おうと言われました。

翌日、叔父が沼津に来ました。

偉そうな人を連れていました。

その人がここに書けない真実を話してくれました。

私が見た松山さんが幽霊だと断言しました。

何故なら、50日前に、松山さんの死に水をとったのはこの人ですから。