まだ、日本がバブル景気で浮かれていた頃の話です。
主任研修で本社に行きました。
社長はまだ部長でした。
当時、総務部長でしたから、研修スケジュールは、松田さんが組んでいました。
石油販売の課長が講師で、いろいろな事を教えてくれました。
渡辺課長は、面白い話で、分かりやすく講義をしてくれました。
研修に来ていたメンバーは、ほとんど同期でした。
仲の良いメンバーと飲み会をする話をしていたのが、渡辺課長が面白いエリアに連れて行ってくれると言い出しました。
課長の誘いは断れません。
青山で飲んだ後、外国人のコールガールがいるエリアに行きました。
課長は、英会話のレッスンだ。
自分で口説いてホテルに連れ込んでみろ。
渡辺課長は、私と同期二人に3万づつ与えました。
俺は、ロシア人のハーフを狙うかな。
課長は、さっさと口説きに行きました。
同期二人も、金髪の美人を口説きに行きました。
真田、イギリスとのハーフ、口説けたぞ。
同期の岡村が私に自慢してから嬉しそうにホテル街に行きました。
もう一人の同期、東は、ドイツ人とのハーフを口説きました。
トラウデン直美に似た美人でした。
私は迷っていました。
婚約者である恵利華に、浮気しないでと釘を刺されていました。
そんな時に、松田部長から電話が来て、銀座の九兵衛に来いと言われたからタクシーで行きました。
そこには、伊達さん、鶴田さんもいました。
真田、渡辺さんは女を買っただろ?
伊達さんが笑いながら言いました。
部長も、渡辺のハーフ好きは有名だからな。
あいつの奥さんは、フランス人とのハーフなんだけどね。
そんな話をしてくれました。
鶴田さんが、真田は恵利華ちゃんが心配性だから女は買わないだろうと部長は言ってたから呼んだけど正解だったろ?
私は、迷ったけど買わなくて良かったと思っていました。
今は、松田さんが社長、鶴田さん、伊達さん、私が専務です。
四人の絆は、この頃からです。
その晩、東だけ帰って来ませんでした。
岡村は、追加料金払って一晩中ヤりまくりだったと自慢話をする始末でした。
渡辺課長は、楽しんだと翌朝言ってました。
しかし、異変は午後に起きました。
講義していた渡辺課長が吐血して倒れました。
岡村も、嘔吐して意識不明になりました。
二人は、救急車で搬送されました。
二人からは、存在しないウィルスが発見されました。
私達は、研修に入る前に健康診断を受けているから、コールガールから感染したとしか思えない。
会社で部長達と事後処理の対応を考えていました。
そんな時に、警視庁の警官が会社に来ました。
東が遺体で発見されました。
有名な寺の墓地で発見されました。
私は、アリバイが有ります。
しかし、東の遺体は、腐乱していました。
24時間で腐乱するか?
私が警官に聞きました。
私は、コールガールの話をしました。
貴方は、何故買わなかったのですか?
私は聞かれました。
叔父の名刺を見せました。
この人が叔父ですからね。
警視庁外事二課 警視 真田信隆
これで態度が一気に変わるのが警官です。
叔父がキャリア警察官ですから、悪い事は出来ません。
あのエリアには、もうコールガールはいませんよ。
仲間割れして殺されたコールガールが3人いました。
私は、写真を見せて欲しいと頼みました。
後で持参すると言って警官は帰りました。
3時間後に先ほどの警官が来て、写真を見せてくれました。
岡村と東と渡辺課長が買った女達でした。
殺された時の写真も特別に見せてくれました。
惨殺でした。
麻薬絡みで殺されたらしい。
マフィアの殺し方だと言ってました。
たまに、化けて出るから、最近はあのエリアには誰も行ってませんよ。
異様な雰囲気と美しさに納得しました。
渡辺課長と岡村も、数日後に死亡しました。
何かに怯えて、断末魔の悲鳴を上げて亡くなったそうです。