ガソリンスタンドには、いろんな客が来ます。

スタンドマンは、お客様とのコミュニケーションで人間関係を築いてオイルやタイヤを販売して、その数字で昇格していきます。

当時エリアマネージャーの私は、個人より担当エリアの数字を見ていました。

毎日同じガソリンスタンドにいる訳では無いから目が届かない事も有りました。


小山は、持ち前の話術で地元の有力者の娘と仲良くなりました。

その人が応援している政治家は、金丸信でしたから、山梨県で逆らう人間はいないと言われていました。

坂井さんは、私の韮崎の親戚などを共通の知り合いがいたから、結構金を落としてくれました。

娘の幸恵は、箱入り娘でしたから、小山のトークとエッチの旨さに惚れ込みました。

付き合い始めてから、寮に泊まりに来ていました。

しかし、喘ぎ声のうるささには他の人から苦情が来て、私が小山に注意するくらいでした。

結納の話が出始めた頃、小山には別の女性が現れました。

幸恵の友達で、精神科の女医瑞江でした。

綺麗過ぎる女医として有名でした。

たまたま飲み屋で一緒になり、幸恵が彼氏として紹介しました。

それから、ガソリンスタンドに客として、瑞江は来ました。

かねてから、瑞江は幸恵には恨みが有りました。

高校時代に同じ人を好きになり、男を幸恵に取られた事が有りました。

プレゼント攻勢で、落としました。

瑞江は、いつかは報復しようと思っていました。

瑞江は、小山と男女の関係になりました。

小山も、幸恵の世間知らずには困り始めていました。

掃除、洗濯、料理も出来ない、ただエッチだけは熱心な女に辟易していました。

瑞江は、悪魔の計画を建てました。

情緒不安定になる薬を小山に渡して、少しづつ毎日飲ませました。

幸恵は、躁鬱を繰り返すようになりました。

そんな時、小山は東京本社に1ヶ月の研修に行きました。

小山は、幸恵に妊娠した事を告げられました。

中絶なんて言えば、坂井さんは、小山を殺すでしょう。

娘の妊娠を喜んでいました。

しかし、小山の祖母が亡くなり、服喪で1年祝い事は出来なくなりました。

情緒不安定のまま妊娠9ヶ月の時、些細な口喧嘩から幸恵は小山の家から居なくなりました。

身重だけど、幸恵は動きは良かったです。

青木ヶ原の駐車場に幸恵の車が発見されました。

数日前にも、自殺があったから嫌な予感がしました。

地元の警察だけではなく、県警からも応援が来ました。

消防団も消防署も出来る限りの人数を投入しました。

青木ヶ原は、似たような風景が幾つも有ります。

5人一組で捜索しました。

私は、小山とは別のグループでしたけど、小山の背後に幸恵の霊が見えたから、違うグループで良かったと思っていました。

その予感は的中しました。

小山達は、国道から500メートルくらい入った場所に到達した時、樹の上から幸恵の身体が落ちて来ました。

小山の首筋に幸恵と、お腹の子が直撃しました。

高さ3メートルまで上がって首を吊った幸恵の神経は理解出来ない。

幸恵と、子供の遺体は坂井さんの家に届けられました。

小山は、精神が異常をきたし、さらに首より下が動かなくなりました。

瑞江は、その晩に急性心筋梗塞で死亡しました。

悶絶死でした。

最後に、幸恵、許してと叫んで絶命したそうです。

小山は、特殊な施設に送られました。

首から下が動かないから、リハビリが必要です。

公務に準じた行動のケガだから治療費は出るらしい。

その小山の所には、毎晩幸恵が子供を抱いて現れた。

パパ、この子を抱っこして

パパ、私をまた抱いて

そんな生活が半年続いたある日、小山は死にました。

不思議な事に起たないはずの局部が立ち、そこには幸恵の体液が付着していました。

小山の腎臓には、たんぱく質が無かったそうです。

今でも、幸恵の怨霊は青木ヶ原にいます。

たまに、夜中にヒッチハイクを真似をしています。

幸恵を載せた人は、事故を起こしています。

後部座席が濡れた事故車は、幸恵を乗せた証明です。