幕no内弁当! -5ページ目

幕no内弁当!

秋葉原で「なんでも屋」を営む桐嶋快斗の日常を、台本形式でお届け!
 
この物語はフィクションです。登場する人物/団体/名称等は全て架空であり、実在するものとは一切関係ありません。
※許可のない転載は厳禁です

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【07:10】アスカ  「ふぁ~、今日もムダにいい天気だぁ~」    ステバのPhantomサイズ (500ml)片手に、マンションに向かって歩いているアスカアスカ  「ん?」マンション前で掃き掃除をしている管理人が、出勤途中の紗那弥となにやら話している管理人  「はい、10日くらい前から」紗那弥  「そう、わかったわ。とりあえず署に着いたらナンバーを確認してみますね」管理人  「申し訳ない、お願いします」管理人、マンションに戻っていくアスカ  「なーにやってんだサナミ?」    車を挟んで話しかける紗那弥  「あんたには関係ないわよ」アスカ  「この車がどーかしたのか?」ボンッと屋根を叩く紗那弥  「やめなさいよ、持ち主が誰かわかんないんだから」アスカ  「そんなのナンバー調べりゃすぐわかんじゃんか」紗那弥  「だから今からそうしようとしてるのよ」アスカ  「そーいやこの車しばらく前からあるよなぁ。こんなところに放置しやがって。ジャマだっつんだよ」    ベコッ紗那弥  「ちょっと、なに蹴ってんのよ!」アスカ  「蹴ってねーよ、そっちに行こうとしてんのにこの車がここにあるからぶつかっただけだよ」    ベコッアスカ  「ホラ」紗那弥  「やめなさい! って言ってるの・・・」アスカ  「シッ!」紗那弥  「な、なによ急に」アスカ  「今、音がしなかったか?」紗那弥  「それはあんたが蹴って凹ました音でしょ」アスカ  「違うって」アスカ、また蹴ろうとする紗那弥  「ちょっと、やめなさ…」    ベコッ   カチッ……アスカ  「な?」紗那弥  「本当だわ、何の音かしら」    窓からのぞき込むアスカと紗那弥アスカ  「んん?」    鈍く光る物を発見アスカ  「サナミ、シートの後ろ」紗那弥  「後ろ?」    場所を移り、のぞき込む紗那弥紗那弥  「あれは、拳銃?」アスカ  「だけじゃねぇみてえだな」    よく見ると、車内にはいたるところに武器が隠され、ピアノ線などのトラップが張り巡らされている紗那弥  「なんなのよこの車……」アスカ  「事件のニオイがプンプンするなぁ」紗那弥  「あんたもいろんな人に狙われてるわねぇ」    トランクを叩きつけながら文句を言うアスカアスカ  「勝手にターゲットに決めつけんな!」バンッアスカ  「アタシャ人様のことを傷つけるようなマネはたくさんしてきたが、」バンッアスカ  「それは必要にかられて仕方なくだ!」    バンッアスカ  「命を狙われるようなことは、」    バンッアスカ  「オマエと違ってそんなにしたことない!」    バンッ紗那弥  「私だってないわよ!」バンッ紗那弥  「全くね!」    バンッアスカ  「ウソばっかついてんじゃねー、この悪徳刑事!」紗那弥  「誰が悪党よ、この不法入国者!」アスカ  「密入国されるオマエらが悪いんだろうが、この柔軟と    いう名の軟弱国家の犬!」紗那弥  「世界のルールを無視するあんたに言われたくはないわ、この全身胃袋女!」アスカ  「黙れ万年汗っかき!」紗那弥  「常に防弾ジャケット着てるんだからしかたないでしょ、この脳みそ三角筋女!」アスカ  「だからって防弾ジャケットをメッシュにしてどーすんだ、この地図の読めない女!」紗那弥  「ナビしてくれる人間がいるんだから私は読めなくてもいいのよ!」アスカ  「あ、認めたな?」紗那弥  「・・・くッ・・・くぅぅぅぅッ・・・」アスカ  「勝った♪ 勝った♪ ザマー見ろ、顔面歯垢女!」紗那弥  「意味わかんないわよ!」アスカ  「顔面にいろんなモン塗りたくってるだろうが、そんな顔でよく街中を歩けたもんだな!」紗那弥  「あんただってこないだ歯に青海苔つけたままだったじゃない!」アスカ  「仕方ねーだろ、オマエ冷やし中華に青のり入れるかフツー!」紗那弥  「あれは快斗くんに作ったのよ、勝手に食べるからでしょ!」アスカ  「目の前にあったんだから仕方ねえだろう!」紗那弥  「出されてもいないのになんで食べるのよ!」アスカ  「腹が減ってたからだよ、どーせスーパーで買ってきただけだろうが!」紗那弥  「『レンジで温めて冷蔵庫で冷やすだけ』のどこがいけないのよ!」アスカ  「あ、思い出した。オマエさ、ビニール袋開けるときに指なめるのやめろよな」紗那弥  「開かないんだからしょうがないでしょ!」アスカ  「オマエには指紋がないのか!」紗那弥  「あんたみたいに脂手じゃないのよ!」アスカ  「だいたい何かする度にイチイチ指舐めて鑑識結果に支障が出たらどーすんだ、この単細胞婆ァ!」紗那弥  「ババア!?」    バンッ紗那弥  「今ババアって言ったわね??」    バンッ紗那弥  「私のことを……ババアですってぇ!? あんたも似たようなもんじゃないのよ!」アスカ  「あいにくアタシは年齢を証明するモノが一切無いんでねぇ~、外見は26歳、ハートは16才のカワユイ乙女なんだよ!」    バンッ    Pi!紗那弥  「!?」アスカ  「んん?」    シートの影の小さな液晶にタイマーが現れる紗那弥  「なんか作動したじゃないのよ!」アスカ  「爆弾だな」紗那弥  「あんたがバンバン叩くからでしょ!?」アスカ  「オマエの方が2回多く叩いてたじゃねーかよ!」紗那弥  「とにかく! 爆弾処理班を呼ばなくちゃ!」アスカ  「間に合うわけねーだろバカ」紗那弥  「じゃあどうしろってのよ!?」アスカ  「爆発する前に吹っ飛ばす」紗那弥  「はぁ!?」    アスカ、手榴弾を取り出すアスカ  「名付けて、『先手必勝! クサいニオイは元から絶つ作戦!』」紗那弥  「どっちにしろ爆発はするじゃないのよ!」アスカ  「するんじゃない、させるんだ!」カチンッ!    ピンを抜くアスカアスカ  「隠れろー!」手榴弾を車の下に投げ込むアスカ    そしてマンションのエントランスに走る2人紗那弥  「あんたイキナリ何すんのよぉー!」    エントランス入り口の大きな柱に身を隠す2人紗那弥  「危ないじゃないのよ!」アスカ  「うるせー、少し黙ってらんねーのかよ!」エレベーターから降りてくる快斗快斗   「あれ、紗那弥さん、」アスカ  「隠れろカイトー!」快斗   「え?」    BoooooooooooMb!快斗   「あ! あの車…」    アスカと紗那弥、柱の影から出てくるアスカ  「危ないところだったぜ」紗那弥  「放置されてたから調べたんだけど、そしたらトラップが作動したのよ」快斗   「ト、トラップ…ですか…」アスカ  「危うく吹っ飛ぶとこだったぜ、サナミ、感謝しろよな」紗那弥  「あんたが吹っ飛ばしたんでしょ!」アスカ  「ちゃんと犯人見つけろよー」エレベーターへと向かうアスカ快斗   「アスカ、」アスカ  「ん?」快斗   「こないださ、C1流したいってレンタカー借りてなかった・・・?」ぴたっアスカ立ち止まる    ポケットから鍵を出し、リモコンを押すと、爆破された残骸から音がするプイッ♪   プイッ♪   ガチャ。     ハザードが点滅し、ドアのロックが解除されるガタン。開くのではなく、落ちるドア(らしき物)アスカ  「借りた♪ 凹……」【12:41】◆ 秋葉原署 第2取調室バンッ    と、机を叩く音がする紗那弥  「で、他には!!」アスカ  「んーーーー」腕を組み、眉間にシワを寄せて考えているアスカ紗那弥  「ピアノ線、地雷式シート、GPS感知、他にはどんなトラップ仕掛けてたのよ!」アスカ  「んーーーー」紗那弥  「アスカ!」アスカ  「ぁ、『コジヲエズ』か」机の上の雑誌(クロスワード誌)に書き込むアスカ  「あれ、2文字足りねぇな」紗那弥  「これは私のクロスワードよ!」アスカから取り上げる紗那弥紗那弥  「勝手にやらないで!」アスカ  「そーゆー問題?」紗那弥  「あんたに言われたくないわよ」アスカ  「覚えてねーんだよなぁ」紗那弥  「真面目に考えなさいよ」アスカ  「んーーーー」紗那弥  「・・・。」アスカ  「ぁ、『フデノアヤマリ』だ」紗那弥  「・・・。」雑誌を見つめる紗那弥アスカ  「思い出したよ」紗那弥の肩がわなわなと震え出すアスカ  「運転席のシートにスプリング仕込んであって、」紗那弥、握っている両手に力が入り、徐々にクシャクシャになっていく雑誌アスカ  「エンジン直結するとナイトライダーみたいに、座ってるヤツを外に放り出すようにしたなぁ」紗那弥  「意味が分からないわ……」アスカ  「いや、アタシだってよくわかんなかったけどさぁ、」紗那弥  「汚すぎる……」アスカ  「コミネが作ったんだよ、」紗那弥  「私がここまで頑張ったのに……」アスカ  「へ 」紗那弥  「なんでこんなにグチャグチャに書き込みするのよぉー!!」ドアに投げつけると、その衝撃で取調室のドアが外側に外れる田中   「ブギャッ!」ただ廊下を歩いていただけなのに、突然ドアに押し倒された、かわいそうな署員の田中くん。紗那弥  「田中くん! その本、焼却処分して!」アスカ  「いいのか? せっかくあそこまでやったのに」紗那弥  「田中ぁー! 今すぐ新しいの買ってきて!!」【12:41】    ◆ 秋葉原署 第2取調室うな玉丼をカッ込んでいるアスカ    新しいクロスワード雑誌に夢中になっている紗那弥アスカ  「オマエさ、なんでそんなに時間かかるんだよ。同じ雑誌だぞ。しかも同じページだろ」紗那弥  「1から考え直すのが私のやり方なのよ」アスカ  「同じ問題を同じ時間かけなきゃ解けないって、ある意味才能だよな」うな玉丼を食べ続けているアスカ紗那弥  「てゆーかさ、なんでまた出前頼んでるわけ? 自腹だって言ってるでしょ」アスカ  「ん? ぁぁコレか。こないだ食い逃げ犯捕まえたから、、そのお礼っつってオヤジがずっとタダでいいって」紗那弥  「ふーん。そうやってタダ飯食べとかないとやってらんないもんね。、車の修理費あなた持ちだから」アスカ  「ザーンネーンでーしたぁ~! レンタカーってのは借りるときに保険に入らなきゃいけないんですぅ~。だからアタシはNO出費♪」紗那弥  「ざーんねーんでーしたー。あなたが入ったのは事故の保険」調書をペラペラめくりながら紗那弥  「あらあら、自分で壊しちゃったのね~。だったらその保険の効力はないわねぇ~」調書を閉じるアスカ  「・・・。」クロスワードに向かう紗那弥固まるアスカアスカ  「ジョ、ジョーダンだよな…」紗那弥  「さっき連絡したら、自分で修理に出してちゃんと治してから返してくれって。返すまでは延滞金が発生し続けるらしいから、早めに修理に出した方がいいんじゃないかしら」アスカ  「・・・」紗那弥  「『ジトク』っと」雑誌に書き込む紗那弥紗那弥  「よかったらいいとこ紹介するわよ。腕は確かで私もよくお願いするとこ。この近くだし」アスカ  「・・・それって、マジ?」紗那弥  「ええ。もう新車同様で返ってくるわよ」アスカ  「そうじゃなくて保険の話だよ」紗那弥  「快斗くんに聞いてみたら?」アスカ  「電柱に突っ込んだら事故ってコトになるか?」紗那弥  「電柱に突っ込んだコトにはならないわね。もう警察絡んでるし」アスカ  「そこをなんとか……」紗那弥  「それに、」紗那弥、アスカに目を移し紗那弥  「目撃者、私だし」またクロスワードに向き直る紗那弥アスカ  「ホンット、ケーサツってのは肝心なときに役に立たねーな」内線が鳴る紗那弥  「はい、第2取調室。ありがと、いま行くわ」受話器を置く紗那弥紗那弥  「車、調べ終わったらしいわ」アスカ  「ぁ、あの……さぁ」紗那弥  「心配しないで。ガレージの駐車代はタダよ。管理人さんのお情けだけど」アスカ  「……少し援助を、」紗那弥  「もちろんしてあげるわ!」スマホ端末を操作し、メモする紗那弥紗那弥  「はい、これがそのお店」アスカ  「『モーターショップ輪(りん)童(どう)』……」紗那弥  「私ができるのはここまでね」アスカ  「アタシが言ってる援助ってのはだなぁ!」紗那弥  「大丈夫、わかってるわ。私とあなたの仲じゃない。ちゃーんともう呼んでありまーす」アスカ  「そぉーじゃナックッテ……」紗那弥  「Haaaaaa! 人助けって気持ちいいわね~! さ、帰ってちょうだい」アスカ  「ォ、オマエ……」紗那弥  「ほら見てー、」天井を指す紗那弥  「私たちを照らしてくれてるこの蛍光灯」アスカ  「ん?」紗那弥  「眩しいわよねぇ」アスカ  「そ、そーですねぇ。で、サナミさんさぁ……」紗那弥  「知ってる? 電気代ってね、タダじゃないのよ」アスカ  「・・・。」◆    メイドカフェ「めいどりあん」快斗、てん子、マロンてん子  「そーですか。あの音はアスカさんが……」快斗   「そ」マロン  「残念だったわねー、UFOが墜落した音じゃなくて」てん子  「うん……」快斗   「UFO?」マロン  「この子ったら『ついに来たぁ!』ってカメラ持って出てこうとしてたの。もぅ大変だったんだから」快斗   「それがアスカのせいだったなんてね。ごめんね、勘違いさせちゃって」てん子  「いえ、私も早とちりしちゃって……。もし落ちてきたならヒュ  ンって音しますもんね。爆発音の前にはなんにも聞こえなかったし」快斗   「……確かにね」マロン  「もしそんな音がしてもあたしは気づかないけどね」てん子  「それは聴こうとしないからですよ」マロン  「はぇ」てん子  「いいですかマロンちゃん! 私たちの周りには、気づかないだけで本当は宇宙から来た人たちがたっくさんいるんですよ!」マロン  「なんでわかるのよ」    てん子、周りの様子をうかがい、急に小声になるてん子  「ある人が、特別に教えてくれたんです」マロン  「ある人って?」てん子  「NASAの人」マロン  「どこで」てん子  「TVで」マロン  「あんたさ、ナショジオ……」てん子  「大好きです!」マロン  「信じる信じないは勝手だけど、一応言っとくとね、あれは全部……」てん子  「こんなことしてられないわ」てん子、学校のカバンから一眼レフを取り出してん子  「やっぱり私、現場に行かなくちゃ」マロン  「なんでよ」てん子  「NASAやナショジオの人たちが来る前に何か撮れるかも!」快斗   「墜落じゃないってば」てん子  「わかってます」マロン  「じゃぁ何撮りに行くのよ」てん子、カバンを肩に掛け、右手に一眼レフを持ち、左手は胸の前で拳を握り、目は遠くを見ててん子  「アスカさんが宇宙に帰ろうとした証拠です」快斗   「・・・」マロン  「・・・」てん子、快斗とマロンを見てからしっかりと頷き、出て行く快斗   「・・・」    引き続きソフトクリームを食べているマロン快斗   「マロンちゃん。てん子ちゃんて……」てん子  「あたしは知ってましたよ」困惑しているのは自分だけだとわかり、納得するしかない快斗【14:25】◆    モーターショップ 輪童(りんどう)上野駅近くの昭和通り沿い。アスカの声が響くアスカ  「ぃ、1千万!?」ツナギ姿の稀崎楼桜沙(キザキ ロオザ)が、例の車をチェックしている。    身長はアスカと同じくらいだろうか。髪は黒く、アップにまとめてあるが、地はサラッとしたストレートであることは、パッと見ても分かる楼桜沙  「ざっと見積もってそのくらいかしらね」アスカ  「マジでか……」楼桜沙  「細かく言うとそれ以上かかるけど、いいわ、わかりやすく1千万ポッキリにしてあげる」アスカ  「そんなかかんのか!? 新車勝った方が安いじゃねーか!」楼桜沙  「そうよ。でも登録の問題があるからこの車を返さないとダメなんでしょ?」アスカ  「そ、そーだけど・・・」楼桜沙  「払えないの? 払いたくないの?」アスカ  「両方だ」楼桜沙  「いい答えね。あたし、そーゆーの大好き。ご褒美に、タダにしてあげてもいいわよ」アスカ  「ホ、ホントか!?」楼桜沙  「条件は1つだけ」アスカ  「何でも言ってくれ、アタシに出来ることなら今は殺し以外何でもする」楼桜沙  「交渉成立ね」アスカ  「助かるぜ、これで一安心だ。で、アタシは何をどーしたらいい。犬探しか? 猫探しか? ぁわかった! 新しい男探しだな! どんなヤツがいいんだ? ピッタリのオトコ見つけてきてやるぞ!」浮かれているアスカを冷めた目で見ている楼桜沙アスカ  「ん? なんか悪いこと言ったか?」楼桜沙  「あなた、ばっちりストライクだわ」【14:42】    ◆ 秋葉原署署内では収まらず、署外にも響きわたる声警察署が揺れているアスカ  「サ-ナ-ミぃ-----!!」第2取調室に乗り込むアスカ紗那弥  「何よいきなり」アスカ  「サナミィ! おおおおおおおいサナミよぉ! アタシはオンナだよな!?」紗那弥、クロスワード雑誌を片手に紗那弥  「戸籍がないから何とも言えないわねぇ」アスカ  「オンナのはハズだよな!!」紗那弥  「試してみればいいでしょ。ただし! 快斗くん以外でよ!」アスカ  「・・・」両手を机につき、肘を突っ張り支えにしてガックリとうなだれるアスカ紗那弥  「いったいどうしたっていうのよ」アスカ  「悪夢だ。人生で最低最悪の、悪夢だ……」    顔は蒼白冷や汗が尋常ではないアスカ  「ん?」ふと、紗那弥の向かいのイスが視界に入り、アスカ  「どけ」ゲシッ!容疑者  「うわぁ!!」紗那弥と机を挟んで座っていた容疑者を蹴り飛ばし、そのイスにドカッと座るアスカアスカ  「ハァァァァァァァァァァァァァァァァァァ・・・」頭を抱えている紗那弥  「悩むのは勝手だけどねアスカ、ここはあなたのお悩み相談所じゃないの。取調室なの。見てわかる通り私は今仕事中で、昔ながらの取調室名物の暴力を振るわれないのをいいことに口を割らない、警察を舐め腐ってるこの容疑者の尋問にとっても苦労しているの」アスカ  「・・・」紗那弥  「あなたの話は、今あなたが蹴飛ばしたその人が自分の犯した罪を全て白状したあと、聞ける時間があったら聞いてあげてもいいわ」アスカ  「・・・」紗那弥  「よぉく聞いてアスカ。あのね、残念だけど、私にも生活ってものがあってね、その生活水準を落とさないようお給料を貰うためには、そこにいる小汚くてパッとしなくて人間的になんんんんんんの魅力もない人に正直になってもらうことが、今の私には最優先なの」アスカ  「・・・」紗那弥  「わかった?」アスカ  「おい」床に転がったままの容疑者に対し、座ったまま大股を広げ、左のヒジをヒザに乗せ、右手で胸ぐらを掴み挙げアスカ  「どれか選べ。東京湾、富士の樹海、マグロ漁船」容疑者  「ぇ、ぇえ!?」アスカ  「なんかよくわかんねぇけど、コイツがアタシに口答えしてんのは、どうやらオマエが原因らしい」紗那弥  「・・・。」アスカ  「こんな屈辱アタシに味わわせといてタダで済むと思ってるわきゃねぇよな。オマエが消えりゃ丸く収まるらしいことはわかった。さ、早く選べ」容疑者  「ふん、警察がそんなこと言っていいのかな。問題になりますよ」紗那弥  「その人警察じゃないのよ。本物なの。ホ・ン・モ・ノ。おまけに戸籍もないから逮捕しても数字にならないのよねぇ」アスカ  「早く決めろ、アタシャ今時間がないんだ。東京湾でいいか」紗那弥  「ちなみに私も、表向きは警察に所属してないことになってるんだけどねぇ」容疑者  「そんなおかしな話があるかー!?」紗那弥  「ホント、不況のうえに人手不足。おかしな話よねー。(ケータイで)あ、快斗くん、どうしてもわからない問題があるんだけどさぁ」いつの間にかクロスワード雑誌を取り出している紗那弥アスカ  「どれがいーんだよ、パトカーで送ってってやるからよ」紗那弥  「ああ! 『ヘビとカエル』か!」アスカ  「言えよ」紗那弥  「次は『コイ』ね!」アスカ  「言えって」紗那弥  「で、『ガマの油』かぁ!」容疑者  「万引きです!」アスカ  「そんな場所はない」容疑者  「万引きしました!」紗那弥  「ちょっと、気が散るから大きな声出さないでくれる??」容疑者  「mp3プレーヤー万引きしたんですよ!」紗那弥  「ぁ、『モーセ』のぉ……」容疑者  「認めますから!」アスカ  「そんなことのために……」容疑者  「へ… 」アスカ  「そんなことのためにアタシはコイツに口答えされたワケか……」容疑者  「ェ、mp3プレーヤーって言ってもピンからキリまであるんですよ、僕が盗んだのはかなりイイやつで」アスカ  「たかだかmp3プレーヤーの万引きでアタシにこんな屈辱を味あわせるとはいい度胸だ」容疑者  「1個じゃないぞ! 僕、常習犯ですからね! この1ヶ月で10個は盗んでるんだぞ!」アスカ  「東京湾じゃ甘すぎるな」紗那弥、またケータイを耳に当てている紗那弥  「そろそろスタンバイ」容疑者  「駐車違反なんて日常茶飯事だ!」アスカ  「樹海で引きずり回してから、」容疑者  「痴漢もしたんだ!」アスカ  「富士山の火口からゴム無しバンジー」容疑者  「便器を隅田川に不法投棄したこともある!」アスカ  「これがその練習だぁー!」    容疑者を担ぎ上げ、一気に放り投げる。格子ごと窓を突き破る容疑者の体紗那弥  「GO」地上ではSATがネットを張り、落下した容疑者を受け止めるアスカ  「そしてコレがぁ!」紗那弥  「あらぁ、こんなところにこんなものが。アクセルかしら??」窓から飛び降りようとしていたアスカ、紗那弥の声に止まる。バッグからアクセルを取り出している紗那弥紗那弥  「あ、先月の事故車のだわ。もう必要ないから捨てようと思ってたのよねぇ」飛び降りようとする体勢のまま固まっているアスカピクッとする紗那弥  「こんなもの誰も欲しがらないわよね」アスカ  「・・・。」紗那弥  「ね? アスカ。」【15:19】    ◆ モーターショップ輪童楼桜沙  「あら、いいアクセルじゃない。998万円にしてあげるわ」アスカ  「なにぃ!? たった2万かよ!」楼桜沙  「これでも大サービスしてるんだけど。嫌ならいいわよ、細かい見積もり出し直すから」アスカ  「人の足下見やがって~」楼桜沙  「だから言ってるでしょ、タダにしてあげるって。そのかわり……」アスカ  「それだけは絶対にイヤだ!」【15:56】    ◆ どんぶり屋アスカ  「オヤジ! カツ丼!」    アスカ、入って来るなり注文してテーブルに着く小峯   「あら、アスカじゃない。」カウンターに座っていた小峯が、振り向いて声をかけるアスカ  「コミネ、金貸せ!」小峯   「貸すわけないでしょ。」アスカ  「じゃ、金を作る機械を発明しろ」小峯   「公の犯罪者にはなりたくない。」アスカ  「じゃオマエ何やってんだこんなトコで」小峯   「世界の貧しい子供達に使い古しの衣類を寄付してるように見える? ご飯食べに来たに決まってるでしょ。」アスカ  「使えねえなぁ」小峯   「どこの世界に飲食店にご飯食べに来てお金を作る機械を作る人間がいるっていうのよ。」アスカ  「金作る機械を発明しなくてなんのための発明家だ!」小峯   「世界平和のためよ。」アスカ  「だったらなおさら金が湧いてくる発明して貧しい国にバラ撒くくらいしろっつーんだよ」小峯   「経済が破綻したらお金の意味もなくなるでしょ。」アスカ  「どっかの原住民の言葉を使って誤魔化すな!」小峯   「・・・。」アスカ  「だいたいオマエがだな、車にあんな細工しなきゃアタシはこんなコトにはならなかったんだ!」小峯   「爆発物を積んだのはアンタでしょうが。」アスカ  「だからどっかの原住民の言語を使うな!」小峯   「・・・。」アスカ  「オヤジ! カツ丼まだか!」小峯   「じゃ、私は帰るから。」Punch を持って席を立つ小峯アスカ  「飯食うときまでPunch飲んでんのか」小峯   「口の中でどんな味にしようが私の勝手でしょ。オヤジさん、ごちそうさま。」オヤジ  「ありがと、650円ね」小峯   「ここ置いときまーす。」    出て行く小峯アスカ  「ったく、どいつもこいつも」オヤジ  「あれ、忘れ物だよ」アスカ  「ん?」小峯の席にバッグが起きっぱなしになっているアスカ  「貸せ!」バッグを漁ると電球が出てくるアスカ  「・・・無いよりマシか」小峯の置いてったお金を掴み、出口に向かうアスカ  「オヤジ、コミネの海鮮丼はアタシにツケとけ!」【16:17】◆ モーターショップ輪童電球を渡すアスカアスカ  「あとこれもだ!」と、650円を差し出す楼桜沙  「オーケー、650円は引いとくワ。電球は持って帰ってちょうだい」アスカ  「なんでだよ!」楼桜沙  「そんな電球どこにも使えないでしょ」アスカ  「そんなぁー!!」(第6話『代償の行方』 つづく。)【次回予告!!】レンタカーの修理代を少しでも浮かせようと必死なアスカ!遂には駅前に止まっているパトカーごと盗もうと画策するが、あえなく失敗……そこにパトカーが止まっていた理由は、ビルの屋上から飛び降りようとしている中年がいたからであって……次回! 『代償の行方』Part 02  お楽しみに!!