幕no内弁当! -4ページ目

幕no内弁当!

秋葉原で「なんでも屋」を営む桐嶋快斗の日常を、台本形式でお届け!
 
この物語はフィクションです。登場する人物/団体/名称等は全て架空であり、実在するものとは一切関係ありません。
※許可のない転載は厳禁です

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【前回までのあらすじ】数日前に借りたレンタカーを爆破させてしまったアスカ。「モーターショップ輪童」に提示された1千万円の修理代金を少しでも浮かせようと、必死にパーツ集めをしていたのだった。が、しかし……【16:39】◆ デイジー・スポーツクラブステバのPhantomサイズのカップをテーブルに叩きつけるアスカ。ビクッとする他の常連客達アスカ  「クッソー」    ドドドドドとラウンジを出て行く他の客憂希   「やっぱりあなただったのね」ラウンジに入ってくる憂希アスカは振り向きもせず、プールを見下ろしているアスカ  「悪いか、アタシは今悩み事を抱えてんだよ」憂希   「あなたと共通点を持つことになるとは思わなかったわ。私も今、他のお客さんから苦情を受けて悩んでるのよ。ラウンジにいる女はなんなんだって」アスカ  「リラクゼーションラウンジに癒しを求めて何が悪ぃんだよ」憂希   「求めるのは結構。何も問題ないわ」アスカ  「だろ」憂希   「ちゃんと会費を払ってくれるお客さんならね」アスカ  「またソレかよ」憂希   「当たり前でしょ、あんたさ、いったいどうやって忍び込んでるわけ?」アスカ  「企業秘密だ」憂希   「どんな企業よ」アスカ  「オマエらが想像もつかないくらいデッカイ企業だ」憂希   「なんの?」アスカ  「それも企業秘密だ」憂希   「まったく」TVから音声が聞こえてくるTV   「番組の途中ですが、ここで緊急ニュースです。本日未明、男性が秋葉原の電気街で、飛び降り自殺をすると大声を出し、屋上に立てこもる事件が発生しました」憂希   「あら、また事件?」TV   「先ほど警察が出動し、現場を包囲しました。SATの姿も見得ています」アスカ  「なんで飛び降りくらいでSATが出動すんだよ。相当ヒマなんだな、アイツ」憂希   「あ。あれ紗那弥さんかしら」アスカ  「ん?」TVには現場で対策を練る警察関係者が大勢映っている。険しい顔でケータイを2つ、左右の耳に当てて話をしているSAT隊員。    ジャケットを着た紗那弥であるアスカ  「んん?」しかし、アスカの目は別のモノに奪われているアスカ  「おい、あれって・・・」憂希   「え?  ああ、倉庫片づけてたら出てきたのよ」    ラウンジの入り口に、台車に乗った荷物が置いてある憂希   「昔、ストレッチのクラスで使ってたヤツ。ボールが流行る前は、こうしてタイヤの上に横になって・・・」アスカ  「捨てるのか!?」憂希   「そうよ、だってもう時代遅れだもの」アスカ  「もったいない!!」憂希   「え??」アスカ  「オマエはそーゆーところがダメだ! 憂希   「なによそれ」アスカ  「古い古くないじゃない。使えるか使えないかだ! よし、わかった! ここはひとつ、そのかわいそぉーなタイヤさんをアタシが再利用してやろーーーーじゃないか! さ、そのいたいけなタイヤさんをこっちに渡せ!」と、勝手にタイヤを取り上げ、出て行くアスカ.さっきから鳴っていたケータイを取り出し、通話ボタンを押す憂希憂希   「はいはーい、水野でーす」【17:00】◆  モーターショップ輪童アスカ  「これでどうだぁ!」腕を通して担いできたタイヤを作業場に放り投げるアスカ楼桜沙  「いいタイヤね」アスカ  「そうだろ? 手に入れるのに苦労したんだぜ。で、これでいくらになる?」楼桜沙  「997万9350円」アスカ  「なんでだよぉー!? さっきと変わってねーじゃねーかー!!」楼桜沙  「車種が違うのよ。それはオフロード用でしょ。そんなタイヤこの車につけたら乗ってるのが苦痛よ」アスカ  「タイヤはタイヤだろー、とにかくつけてマケてくれよぉー」パシャッとフラッシュがたかれるアスカ  「ん? なんだ?」カメラを持ったてん子、電柱の陰から姿を現すアスカ  「てん子、オメーなにやってんだカメラなんか持って」てん子  「ここで造ってたんですね、アスカさん」アスカ  「ああ、そーだけど、なにコソコソしてんだよ。サナミになんか頼まれたのか」てん子  「いえ、むしろ紗那弥さんには内緒にしておいた方がいいと思います」アスカ  「いや、でもこの店はサナミが……」てん子  「大丈夫です! このことは、絶対誰にも言いませんから!」アスカ  「ご、誤解だてん子! これは違うんだ! アタシはフツーーーの人間なんだ!」てん子  「そういうことにしておいた方がいいですよね、世間体も気になりますしね。TV局が来たら大変ですもん」アスカ  「そんなことをわざわざ撮りには来ねーだろ」てん子  「特に12chあたりはこういうことにしつこそうですね」手帳に書き込むてん子てん子  「勉強になります」アスカ  「メモを取るな!」てん子  「最初からそうじゃないかとは思ってたんですよ」アスカ  「アタシのドコがナンなんだ!」てん子  「やっぱりそっちだったんですね」アスカ  「だから違うって!」てん子  「大丈夫デス!  NASAの人には内緒にしておきますから!」アスカ  「・・・・・・・・・・はぁ!?」てん子  「あの爆発は、その車型宇宙船の発射テストだったんですよね」アスカ  「宇宙船?」てん子  「ずいぶん小型ですよね。最近の宇宙技術はやっぱり進んでるんですね。地球のクローンや立体映像の技術についてはどうお考えですか?」アスカ  「てん子よ。アタシが宇宙人に見えるか?」てん子  「いえ、見えません」アスカ  「そうだろ? オマエに1つ言っておく。アタシはレッキとした…」てん子  「人間にしか見えません。やっぱり姿形は自由自在に変えられるもんなんですね! 感動です!」アスカ  「その感動を踏みつぶしてスマンがてん子、アタシは宇宙人じゃない。姿形は変えられない。オマエと同じ、完全にノーマルな人間だ」楼桜沙  「言っとくけど、あなたがノーマルだろうとノーマルじゃなかろうと、私には関係ないわよ」鳥肌が立つアスカ【17:25】◆ 秋葉原電気街第二仁誠ビル前ケータイ2つを左右の耳に当て、話をしている紗那弥紗那弥  「ありがとう、よくやってくれたわ。このお礼は必ずするから、次はウインカーレバーを用意して待機してて」憂希の声 「はーい」紗那弥  「小峯ちゃんはハンドルをペンダントにカモフラージュして待ってて」小峯の声 「首がコリそうだけど頑張ってみるわ。」紗那弥  「2人とも、ヨロシクね」ケータイを切る紗那弥紗那弥  「これで、良しと。」両手のケータイを握りしめる紗那弥紗那弥  「……楽しいわ」空を見上げる紗那弥紗那弥  「アスカを困らせる。これが私の、快感……」快斗   「紗那弥さん!」快斗とマロンが来る紗那弥  「快斗くん」快斗   「大変なことになってますね、状況は?」紗那弥  「変わらずよ。ニュースの通り」マロン  「うわぁー、すごーい。秋葉原って、警察こんなにいたんだぁ」快斗   「紗那弥さん。何かオレ達に出来ることがあったら……」紗那弥  「あるわ。これを持ってて」それぞれにパーツを渡す紗那弥快斗   「ベルト?」マロン  「手鏡?」快斗   「……にしては薄いし太いし長いよなぁ」紗那弥  「魔法のベルトよ」マロン  「……こっちも変なカタチ。T字の手鏡って」紗那弥  「奇跡の手鏡なの」隊員   「全班、配置に着きました」紗那弥  「始めるわよ」紗那弥、ビルの屋上に拡声器を向ける紗那弥  「屋上から飛び降り自殺しようとしてるそこのあなた。早く下りてきなさい。何があったか知らないけど、バカなことはやめた方が身のためよ。下りてくるのが嫌ならそれでもいいわ。これだけ警察を出動させといてただで済むとは思ってないわよね。やるなら早く飛び降りなさい。私たちも暇じゃないのよ。そんなに人目を引きたいなら、どっかの遊園地でアトラクションのお兄さん……ぃぇ、オジサンにでもなったら……って、ちょっと! あんたなにやってんのよ!?」快斗   「え?」快斗が振り向くと、待機していたパトカーに乗り込もうとしているアスカアスカ  「1台貰ってくぞ」紗那弥  「はいどうぞってあげるとでも思ってるの!?」    拡声器のまま話してしまった紗那弥アスカ  「こんだけあるんだ。1台くらい無くなってもわかんねーだろ」紗那弥  「わかるわよ! これだけ目の前で持ってかれたらね!アスカ  「だからこっそり近づいたじゃねーか! それをこんな大勢の注目の的にしたのはオマエだからな! だからオマエが悪い」紗那弥  「わけのわからないこと言ってないで早く降りなさい!」アスカ  「わーったよ、このドケチ」紗那弥  「だいたいあんたそのパトカーどうする気なのよ!アスカ  「持っていくんだよ輪童に。値切ろうとしてもアイツ全然きかねえんだ! それでもアタシがごねてたら、しまいにゃ、タダにするからデートしろって言いやがったんだ!」紗那弥  「あ~らよかったじゃない人並みにデートする相手ができて。いっそのこと結婚でもして一刻も早く快斗くんの部屋から出て行ったらどぉお!?」アスカ  「相手は女だぞ! それも! なんか! ちょっと年上っぽいんだ!」紗那弥  「同性愛が1面を飾るなんて昔のことよ、大勢の野次馬に聞かれてるからってそんな隠すことじゃないわよ」アスカ  「隠す隠さないじゃない! アタシは違……ぁあ!! テメー! 知っててワザと紹介しやがったな!!」紗那弥  「だとしたら、何か法律にでも触れるのかしら?」アスカ  「オ・マ・エ・ど・こ・ま・でぇぇぇぇぇ…」キャーーーーーーーーー!!アスカ  「ん?」  「んん!?」周りを見ると、野次馬達が「危ない危ない!」と口々に言っている。野次馬の目線を追って空を見上げると、手すりの外を歩く自殺志願者紗那弥  「あ、忘れてたわ」アスカに向き直り紗那弥  「とにかく、私は今、あのオッサンの自殺を止めなきゃいけないの。あなたの同性愛問題に付き合ってる時間は無いのよ」  「だったらその時間、アタシが作ってきてやるよ!」ビルに走り込んでいくアスカ紗那弥  「ちょっと! なにする気よあんた!!」紗那弥、追う。取り残される快斗。マロンは『手鏡』で髪を治している快斗   「このベルト、やっぱダサイよね」マロン、鏡を快斗に向けてマロン  「ギザ」【17:27】◆    第二仁誠ビル 屋上ガンッ! とドアを開け放つアスカ  「おい! 自殺者!!」山城   「ヒャ! く、来るなぁー!! ぅ、うわぁーーー!!」驚いた拍子にバランスを崩し、落ちそうになる自殺者・山城源次郎アスカ  「来るなじゃねぇー!」走り寄り、手すり越しに胸ぐらを掴むアスカアスカ  「テメエいったいどーゆーつもりだぁ!!」山城   「へ…!?」結果的に落下を阻止しているアスカだが、アスカ本人にそんなつもりは全くないアスカ  「さんざんアタシに迷惑かけといて文句の一つも言わせないで死ぬつもりかゴルァ!!」山城   「あ、あの、どなたですか……」紗那弥、屋上に到着紗那弥  「やめなさい! そこの同性愛者!」アスカ  「ぁあ!?」仁王立ちで、右手を腰に左の手のひらをアスカに向けて、『STOP!』と言わんばかりの、というか、言いながらのポーズ紗那弥  「いくら自分が同性愛者だからって、ノーマルなオッサンをシバキ倒す権利はないはずよ!」アスカ  「誰が同性愛者だ!!」自殺者を振り払うアスカ山城   「うわ!」落ちそうになり、あわてて手すりを掴む自殺者    ひとまずオッサンを放ったらかし、紗那弥に向かっていくアスカアスカ  「だいたいあの整備工はなんなんだ!? 思いっきりボッタクリじゃねーか!!」紗那弥  「仕方がないでしょ、その店で決められてる料金なんだから」アスカ  「にしてもだな!」紗那弥  「私、安いなんて言ったかしら? 腕は確かとしか言ってないでしょ?」アスカ  「テ、テメー、やっぱ知ってやがったな……」紗那弥  「どうかしら」アスカ  「それが仮にも警察官のすることかぁ!?」紗那弥  「その警察官が今しなきゃいけないのは、あのオッサンの自殺を止めることなの。あなたの同性愛問題じゃないのよ」アスカ  「ァまたオマエ!!」紗那弥  「私だって辛いのよ。知り合いの同性愛問題より、どんな人間か知りもしない禿げたオッサンの命を優先しなければいけないなんて……。Ah、警察官の憂鬱……。わかってくれるわよね?」アスカ  「ああ。よーくわかった。」紗那弥  「ありがとう、助かるわ。ならさっさと……」アスカ  「いますぐアタシが落としてきてやる!」紗那弥  「全然わかってないじゃないのよ!」紗那弥を無視してオッサンに向かっていくアスカアスカ  「おいこら、テメー、ちんたらやってねーで早く落ちろ!」道路を指さしアスカ  「今すぐ落ちろ! アタシはコイツと話があるんだ。大事な話だ。アタシの生活とプライドと今後のキャラ設定がかかってる話だ」山城   「わ、わたしは今、命がかかっているんですが……」アスカ  「そんなことはどうだっていい」山城   「は、はぁ」アスカ  「アンタも聞いてたと思うが、」オッサンと肩を組むアスカアスカ  「アイツのせいでアタシはこの先の人生、同性愛者だと思われ続けて過ごさなきゃいけなくなりそうなんだ。アンタ、ゲイに思われたことあるか?」山城   「なんなんだ突然!」アスカ  「オマエはゲイか!」肩にかけた腕でオッサンの首をしめるアスカ山城   「じがう……わだじはじがう……」アスカ  「アタシもそうだ、女に興味はない。ノン気だ。ここまではいいな?」山城   「は、はい……」アスカ  「その、宝塚にも全く興味のないアタシがだ。1人の心ない女のせいで、近く、女とデートをしなければいけないかもしれない状況に、今立たされてるワケだ」山城   「ぐ……ぐぐ…」アスカ  「それを阻止するためにも、アタシは今、心ないアイツと話をしなければいけないんだなこれが」山城   「じ…じぬぅ……」アスカ  「そこでだ。アンタには2つの内、どちらか1つを選んで欲しいと思う」山城   「…………」アスカ  「今すぐここから飛び降りるか、」山城   「……ぐが……」アスカ  「力尽くでアタシに投げ落とされるか」山城   「……がこぉ……」アスカ  「自殺をやめるっていう道もあるが、」山城   「…………」アスカ  「それは無理だ」山城   「…………」アスカ  「世間てものはそんなに甘いモンじゃぁない。これだけ迷惑かけてんだ、アタシが許さない」山城   「……ぐぐ……」紗那弥  「なに勝手なことばっか言ってんのよ!」紗那弥、近づく。ガシッ! と、オッサンに肩を組み、結果的にダブルのヘッドロック紗那弥  「私たち警察はね、今この自殺者の救出で忙しいの。あなたみたいに自分のことしか考えないような同性愛者の些細な同性愛問題に関わってる暇はないの。ごめんなさい」アスカ  「ササイだッとぉー!」アスカ、オッサンの胸ぐらを掴む。首しめられることから解放されたオッサンは、必死で空気を吸い込んでいるアスカ  「もうアッタマキタ! おいテメエ早く落ちろ! コイツとはとことん話をつけなきゃなんなくなった! 今スグ落ちて早くコイツと話をさせろ!」紗那弥  「落ちたら落ちたでそのときは道路に散らばった肉の破片を片付けなきゃいけないから。どっちにしろ、あなたの同性愛問題について話を聞くのは、明日以降になるわね同性愛者さん」アスカ  「同性愛同性愛言うな! アタシャドノーマルだ!」山城   「いい加減にしてくれ!」アスカ  「なんだとこのハゲ!」紗那弥  「なによ脂身!」山城   「私はいま死のうとしてるんだ!」アスカ  「アタシャいま腹が立ってんだ!」紗那弥  「迷惑だって言ってんのよ!」山城   「ぇ、ええ~~~……」紗那弥  「あんたね、人が1人死ぬってことがどういうことかわかてんの? 現場のことだけじゃない。あんたの体を処理すんのだって楽じゃないのよ! 見たくもない内臓見せられて! 嗅ぎたくもないウ○コやション○ンの臭い嗅がされて! これっぽっちの縁もゆかりもない人間が火葬場に立ち会わなきゃイケないのよ! 戸籍の整理だぁ遺族への連絡だぁって、なんで私たちがやってやんなきゃいけないのわけ!? そのくらい自分でやっときなさいっつーのよ! その間にもクソみたいな書類にいくつもいくつもハンコもらうためにあっちこっち回らなきゃいけないし、しかも全員ハゲだし。面倒くさくてたまんないのよ!! どうしてああいうセクションてのは鈍臭いジイさんばっかなのかしらね! ハンコひとつ雄のにどんだけ時間かかるわけ?? 天下りにも程があるでしょ! あんた1人のせいで……あんた1人だけのせいで……なんで私が何時間もサービス残業しなきゃいけないのよ!! 私はね、ベッドでゆっくり寝たいのよ!! この私の気持ちが……切に願うこの想いがどれほどのものか、あんたわかってんの!?」山城   「仕事があるだけいいじゃないか」紗那弥  「口答えしてんじゃないわよぉー!!」ボコッ山城   「うごッ!」肩で息をする紗那弥山城   「私なんか……この先生きてたって……あるのは不毛な時間だけだ」アスカ  「安心しろ。アンタの頭に毛がないことは、子々孫々に至るまでアタシが代々語り継いでやる」山城   「仕事に追われるなんて夢のまた夢だ。その私の気持ちが、あんたらにわかってたま……」アスカ  「よぉーし! これで話がまとまったな! 満場一致だ飛び降りろ! こいつに残業させるためにも飛び降りろ!」紗那弥  「やめなさいよアスカ! 私は今から帰ってやりたいことがあるのよ!」アスカ  「やりたいことぉ!? 」紗那弥  「なによ!?」アスカ  「その年でオトコの1人もいないオマエが独りで住んでる誰も待っていない部屋に帰ってどんなやりたいことがあるんだ!?」紗那弥  「うっさいわねー!」アスカ  「何をやるんだ、ヤケ酒か、ミキシィか、あっ出会い系のチャットか、まさかオマエ……」紗那弥  「な、なによ…??」アスカ  「片っ端からお見合いサイトに登録しまくる気だな!?」紗那弥  「違うわよ!!」アスカ  「でも気をつけろ、オマエのことだ、自分のポテンシャルを棚に上げて高条件ばっか出して、結果、誰からも相手にされずに恥かくだけだぞ」紗那弥  「だから登録なんてしないってば!!」山城   「いい加減にしろ! この独り身の年増ども! 人の命をなんだと……」紗那弥  「年増…」アスカ  「独り身…」山城   「……」紗那弥  「。」アスカ  「。」山城   「……ぃゃ、……ぁの……今のは、つい勢いで…」紗那弥  「もぉ遅ぉーい!!」アスカ  「死ねコラァー!!」山城   「う゛ぁー、落ちる落ちる! 本当に落ちちゃいますよ!」アスカ  「ちんたらしやがってこのオヤジ! 誰が落ちるまで待つか!」紗那弥  「今殺す! ここで殺ぉーす!」山城   「や、やめて! ぁあー! 危な危な危なぁーい!」山城   「ちょっ、落ち着いてください2人ともぉ! 死ぬのは死にますから! ただ、わたしにも心の準備があるんですよぉ!」紗那弥  「私だって晩ご飯の準備があるのよ!」アスカ  「バンゴハン!? 」山城   「ふぅ。」アスカ  「晩ご飯の準備!?」紗那弥  「なによ!!」アスカ  「オマエが料理! ギャハハハハハ! サイコーのジョークだな!」紗那弥  「ジョークじゃないわ本当よ! 私だって半年に1回くらいは自分で料理してるのよ! そして今日がその日なの!」アスカ  「いったいどんなモン作るってんだよ。え!? レンジのタイマーをセットしたり納豆かき混ぜんのは料理とは言わんぞ」紗那弥  「納豆バカにすんじゃないわよ!」アスカ  「やっぱり納豆か!」紗那弥  「納豆は朝食よ! 今夜は得意な卵料理なの!」アスカ  「ゆで卵か?  目玉焼きか?  わかった、玉子かけご飯だな!」紗那弥  「スクランブルエッグよ!」アスカ  「フライパンでグチャグチャにするだけじゃねーか!」紗那弥  「うるさいわねほっといてよ! 人にはそれぞれ得手不得手があるのよ!」山城   「納豆より朝飯っぽいですよ」紗那弥  「……」アスカ  「……」山城   「…… 」紗那弥  「殺ぉーす!」紗那弥、オヤジを背負い投げる山城   「あひゃぁーーー!!」    ドッスゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥン!!屋上の中心近くまで転がり続けるオヤジ。2人の間にあった柵は全く問題なく投げ越えられてしまい、ちょっと寂しそうである紗那弥  「スクランブルエッグのどこがいけないっていうのよぉ!?」投げられ中にオヤジの懐から転がり落ちた物体を拾い上げるアスカアスカ  「ん? なんだこりゃ??」紗那弥  「んもぉぉぉぉアッタマきた! 思い通りの死に方なんてさせないわ! 干渉に浸る時間なんかあげないわ」銃を取り出す紗那弥紗那弥  「さぁ答えなさい。」銃口をオヤジに向ける紗那弥紗那弥  「スクランブルエッグは、納豆よりも朝食っぽい。Yes or No。」山城   「の、Noです! No!」紗那弥  「さっきと言ってることが違うんじゃなくて?」山城   「だってYesって言ったら撃つんでしょ!?」紗那弥  「あなたには信念てものがないのかしら」山城   「じゃぁYesで」紗那弥  「固定観念にとらわれた敗北者め、今この場で正義の鉄槌を下してあげるわ」手錠を取り出す紗那弥山城   「い、いや、やめて、暴れませんから、暴れませんからぁ!」紗那弥  「落とすなんてメンドクサい」ガチャリッと自分の両手に手錠をかける紗那弥山城   「へ? あのぉ、何をなさるおつもりで??」ガチャリッ!紗那弥  「今ここで私があなたを殺して、私が、その私を逮捕するわぁー!」山城   「ぅわぁー! この人壊れてるーーー!!」アスカ  「おいオヤジ、」山城   「はひぃ、」アスカ  「こりゃなんだ??」さっき拾った物体を弄んでいるアスカ山城   「あ! わたしのスパナ! 返してください! 返せ!!」アスカのもとへ這って行くオヤジ山城   「返せ! 返してくれ! ・・・返せ・・・返せ・・・」屋上のアスファルトに擦れてズボンの膝は破けている。それでも必死にアスカのもとへ近づくオヤジ。目は確かにアスカの方向に向かってはいるが、見えているのはどうやらアスカの親指と人差し指に摘まれてぶら下がったスパナだけのようである山城   「・・・返せ・・・」ひったくるような動きだが、それは決して乱暴という言葉には近くない、むしろ真逆のような動作でスパナを握り、取り戻したオヤジ。へたり込んでいる。右手で握りしめたスパナを見つめ続ける。いつしか涙をながしているオヤジ。スパナを両手で握りしめ、いや、包み込むようにして胸に抱いて目を閉じている。眉間には険しくシワが刻み込まれている山城   「・・・返せ・・・返せ・・・」アスカ  「取り込み中悪いんだがオヤジ、そりゃなんなんだ」山城   「・・・スパナだ」アスカ  「んなこたぁわってんだよ。なんでこんなもん……」山城   「これはわたしの人生だ。人生そのものなんだ」顔を見合わせるアスカと紗那弥山城   「どこの大学にも入れてもらえなかったわたしは、工業高校を出てすぐ自動車メーカーの下請け会社で部品のチェックやリコール車の修理の仕事に就いた」アスカ  「いきなりで悪いがオッサン、その話長くなるか」山城   「昔は景気がよかったなんて言うヤツがいるがそんなことはない。しがない整備士にとっちゃ、今も昔も一日一日飯が食えることが至福の喜びだ。ラジオから聞こえてくる芳館瑠実の声だけがわたしの励みだった……」おもむろにフラスクを取り出し、口に運ぶアスカ10分後山城   「そのコーナーが毎日楽しみで楽しみで。でも会社の連中ときたら、そんなわたしを……」30分後山城   「しばらくすると、あるF1チームから声がかかった。これといった趣味がなかったわたしが空いてる時間にやることといったら、自分の仕事について掘り下げることくらいでね。おかげでいろんな資格を取ったよ。たとえば……」アスカの足下には、フラスクの空容器が……紗那弥はあちこちポケットをまさぐり、自分でかけた手錠の鍵を探している紗那弥  「あれ? あれぇーーーーー!?」スマホを取り出し、電話をかけるアスカ◆    地上屋上を見上げている快斗たち山田   「いったいどうなってるんですかねぇ」マロン「あれ、山田じゃん、何やってんのよこんなところで」山田   「バイトの帰りです。ってか、呼び捨てにするのはお店だけにしてって言ったでしょ!」マロン  「あ、ごめんごめーん」快斗   「アスカがさぁ……」ケータイの着信音いずみの歌である山田   「ん? 誰からだろ」ポチッ山田   「はい山田ですが。……アスカさん!?」快斗   「なんだってぇ!?」マロン  「屋上から、今ぁ??」山田   「ぇ、そんな急にいわれても! ちょ、ちょっとまってくださいよぉ! ってか何で番号知ってんすか! あ! もしかして小峯のヤローが……あれ、もしもし? もしもしぃ!?ツーーー、ツーーー、ツーーー、ツーーー、さらに30分後◆    屋上山田   「お、お邪魔しましたぁ……」屋上出口のドアに戻っていく山田山城   「そのチームで貯まった金もよ、辞めて少しして詐欺にあっちまってよ、また振り出しだ。資格を更新する金もなくって全部失効しちまって……」手すりに背中を預け、スマホでゲームをしながら山田が持ってきたステバのコーヒーを飲むアスカ紗那弥、どうやら鍵がなかったらしく、歯で手錠を噛みちぎろうとしているさらに1時間後アスカ  「いっただっきまーす!」紗那弥  「あら、タバスコどこかしら?」    Lovely pizaのデリバリーを食べ始めるアスカと紗那弥。punchも2つ届いている。紗那弥は両手に手錠をハメたままでピザを手にしている山城   「仕事も決まらずにわたしはどうかしてたんだ。現実逃避したかったんだ。偶然入ったSMクラブで女王様にハマり、奴隷として通い詰めた。そのためにヤミ金から借金もした。こんなわたしが、いったい世の中のために何ができる。そもそもこの世にいる意味はあるのか。死んだって悲しむ家族もいない。そんなわたしに生きてる意味があるのか。わたしみたいな人間なんて、存在しない方が世の中のためなんだ!」アスカ  「・・・。」山城   「わかったらおとなしく死なせてくれ!」アスカ  「ふざけんなコラァーーーーー!!」パコン!クチに放り込もうと持っていたピザを投げ、地べたに置いてあったPunchを蹴り飛ばすアスカ宙を泳ぐピザとPunch◆ 地上山田   「だから、お店はお店、普段は普段。お店意外でマロンちゃんに呼び捨てにされると、なんか、こぉ……」快斗   「てか、マロンちゃんとこメイドでしょ? お客さんのことは基本ご主人様じゃないの? 呼び捨てって??」マロン  「かけもちで、ちょっとね」快斗   「ふ~ん」マロン  「あら、いっけな~いもうこんな時間! 帰らないとママにボコボコにされちゃうわ。 快斗さん、また今度」快斗   「うん。気をつけてね」マロン  「ハ~イ! じゃね、山田」山田   「だから呼び捨ては……」快斗   「マロンちゃん危ない!!」快斗、マロンの腕を掴み素早くその場を離れる。山田はそれを追うが、ワケがわからずマロンが立っていた位置あたりで止まってしまうと、バシャ!コンッコロコロコロ---山田   「……Punch……」ベチャ。山田   「・・・ピザ・・・・・・」炭酸飲料を被り、頭にピザを乗せた山田が完成ただ、立っている快斗   「山田」山田   「・・・・・・」快斗   「お前、すごいな」マロン  「いま宝くじ買ったら当たるんじゃない?」山田   「・・・・・・」◆    屋上仁王立ちのアスカアスカ  「テメーみてぇなヤツはな、死ぬだけ迷惑なんだよ。だいたいなんだ。『世の中のため』? タメになってるヤツがどこにいる。『悲しむ家族もいない』? だったらアタシャどーなる! アタシは物心ついたときにはとっくに1人だった! 生きてる意味? んなこと知るか! 世界がどうなろうが地球がどうなろうが知ったこっちゃねえ! アタシがどう生きるかだ! 」山城   「どう、生きるか……」アスカ  「アタシには戸籍がない」山城   「……」アスカ  「つまり、帰るところがない」紗那弥  「アスカ……」アスカ  「おそらく親はこの国の人間じゃないだろう。どこの国の人間かも全くわからない。世の中のタメになんてなろうとも思ってないし、むしろ迷惑ばっかかけてる。こんなアタシも、テメエに言わすと死んだ方がいいってことか! アアッ!?」山城   「で、でもあなたには、さっきみたいにコーヒーを買ってきてくれる友達だって」アスカ  「誰が友達だぁ!!」アスカ、紗那弥のPunchを蹴り上げる宙に浮かんだPunchが、ゼロ地点を通過し、落下を始めるひゅーーーーーー◆    地上バシャ顔中に散らばったピザの具が流される山田マロン  「あら、きれいになった」◆ 屋上アスカ  「じゃぁきくが、友達がいればオマエは死なずに済んだのか」山城   「当たり前だ! 気持ちが通じ合う相手がいれば……」アスカ  「どうしたら通じ合えるんだ」山城   「そ、それは……」アスカ  「アタシは独りだ。肉親なんかいない。いたとしても今となっちゃアカの他人だ。例え顔を合わせることがあったとしても、とてもじゃないが親子面なんかウソでもできねえ。それに、、、」紗那弥  「……。」アスカ  「アタシはな、人を殺して生きてきた」山城   「ひ、人を……」紗那弥  「アスカ……」アスカ、山城に近づき、スパナを取り上げる山城   「ひぃっ」アスカ  「自分を護るために、自分が生き残るために数え切れない程の人を殺してきた。そんなアタシが、、、いったいどうやったら人と気持ちが通じ合えるっていうんだ」   「それは……」アスカ  「教えてくれよ」山城   「……同じ釜の飯を食うとか、苦楽をともにする、とか……」アスカ  「クラク??」山城   「辛いとき、苦しいとき、悲しいときには手と手を取り合い、共に耐え、共に励まし合い、例え地べたに突っ伏してしまっても一緒に立ち上がり、明日を目指して一歩を踏み出し、例えばどちらか1人が転んだときは手を差し伸べ強く握り合う。そして喜びや幸せを分かち合い、笑顔になれる。臆面もなく自分をさらけ出せるそういう気持ちがあれば、通じ合えると……わたしは……」紗那弥  「随分饒舌ね。友だちに多くを求めすぎじゃないかしら」アスカ  「なるほどな。オマエの言い分はわかった」   「……」アスカ  「だったらコレはなんなんだ!」スパナを投げつけるアスカ山城   「!!ッ」アスカ  「きったねえそのスパナはよぉ!!」山城   「バカにするな! このスパナは、わたしの人生そのものだ! こいつはな、わたしが初めて 貰った給料で買った大切なスパナなんだ。きれいにしてやろうと思っても、もう油がこびりつ いちまってていくら拭いても取れやしない。この汚れは、それだけたくさんのネジを1つ1つ 締めてきた勲章なんだ。確かに汚く見えるかもしれん、が、あんたに言われる筋合いはない!」アスカ  「オッサン、自分の手ぇ見てみろや」紗那弥  「……」山城   「わたしの手がどうした。ただ何十年も油にまみれていた手だ。それがどうした」アスカ  「汚えな」山城   「な、なにぃ!」アスカ  「汚え。ものすごく汚え」山城   「うるさい黙れ!」アスカ  「一度手に染み込んじまった油はそう簡単には消えねえ。ましてグローブの上からだったら 尚更だ」山城   「だからなんだ!」アスカ  「その汚れはよ、」スパナをオヤジに放り投げるアスカアスカ  「アンタがそのスパナと歩んできた人生の証なんじゃねえのか」   「……証……」オヤジ、スパナと自分の手のひらを見ているアスカ  「友達、かぁ……」山城   「え」アスカ  「アタシが友達っていえるヤツはな、みんな死んだ」アスカ、自分の胸を指しアスカ  「ここにしか生きちゃいない。自分をさらけ出して話が出来るヤツなんてもうこの世のどこにもいない。オマエの言う苦楽をともにした仲間も、同じ釜の飯を食った人間も、アタシを残してみんなこの世からいなくなっちまった。死んだら夜空の星になるなんてキレイゴトを信じられるほど余裕のある人生じゃなかった。ソイツらの墓をアタシは見ることはできるが、ソイツらから見守られてるなんて思ったことは一度もない。でもそのスパナ。そいつはアンタのこと、ずっと見ててくれたんじゃねえのか。アンタのその手がきれいなときから、ずっとアンタのこと見てきたんじゃねえのか。苦しいことも、悩んでたことも、楽しいことも嬉しいことも、アンタの強いところも弱いところも全部、ソイツは見てきてくれたんじゃねえのか。友達ってのは人間だけじゃないハズだ。そのスパナ、うわべだけ取り繕ってるくだらない人間なんかよりも、立派な、……立派な友達だろうが」山城   「友……達……」山城の目が、みるみるうちに潤んでくるアスカ  「その友達捨てて、アンタ1人で消えちまうつもりかよ。アンタはそれで楽になれるかもしれねえけどな、あとに残された友達はどうなるんだ!」スパナを胸に抱きしめるオヤジ山城   「……ぅ……ぅぅ……」紗那弥  「……アスカ」山城   「……竹内くん」アスカ  「・・・・・・。」山城   「すみません。刑事さん、すみませんでした。もう二度とこんなバカなことはしません。スクランブルエッグは夜に食べてもいいと思います」紗那弥  「……そこ??」山城   「本当に……本当にすみませんでした」泣き崩れるオヤジ紗那弥、ため息を1つつくと無線を取り出し紗那弥  「待機している全班に告ぐ。自殺志願者を確保。狙撃犯、救護班共に撤収せよ」無線   「了解」紗那弥  「一件落着、ね」アスカ  「でだ」紗那弥  「??」座り込んでいる山城の顔をのぞき込むアスカアスカ  「アンタ、仕事探してるんだよなぁ?」紗那弥  「……まさか」数日後……◆    快斗の部屋チャイナのデリバリー快斗、アスカ、紗那弥快斗   「で、あの人『輪童』で働くことになったんだ??」アスカ  「ピッタリだろ? スパナと一緒にいられて、他のことも解消出来るし、一石二鳥ってな」紗那弥  「でもよかったわ」アスカ  「ん? 何が?」紗那弥  「フフ」快斗   「どうしたんです?」紗那弥  「アスカの秘密が知れて」快斗   「アスカの秘密!?」アスカ  「ん?? なんだそりゃ」紗那弥  「あなたが屋上で言ってたことよ。友達とか、そういう……」アスカ  「ああ、あの『世の中』とか『生きる意味』とかのウソ話か」紗那弥  「そう。『物心ついたときにはもう』っていう……ウ……ソ……ばなし??」アスカ  「おう、混じりっ気ナシのウソ話だ。んなモン、あのオヤジを輪童で働かせるために決まってんだろーが。ちなみに『アタシは独りだ』っていうセリフは、オマエに男がいないっていう事実を元にしたフィクションだ」紗那弥  「へ?? ……なに?? ……どーゆーこと!?」アスカ  「あのオヤジが修(なお)しゃ、少なくとも工賃は必要なくなるわけだ。おかげで半額の500万まで下がっちゃったもんねー。アスカちゅわん、アッタマ良いぃ~~~♪」紗那弥  「あ……あんたって人は……ドコマデ……」◆    モーターショップ輪童ガレージでアスカの車を修理しているオヤジ楼桜沙によるSMプレーデコつなぎの胸元のジッパーをヘソ下まで下げた楼桜沙が、オヤジの後ろから工具棚に座って山城を監視している楼桜沙  「このスパナを返して欲しいんだろう?」山城   「は、はい、女王様ぁ……」楼桜沙  「だったらさっさと仕事するんだよ!」なぜかビリヤードの球を手に取り、オヤジに投げつける楼桜沙ベコッ修理しているハズの車が凹む楼桜沙  「あ~あ、お前が言うこと聞かないからまた凹みが1つ増えたじゃないか」山城   「す、すみません」楼桜沙  「ちゃんと治すんだよ!」山城   「は、はい……・」楼桜沙  「さ、竹内君は、私とご飯食べましょうねー♪」山城   「そ、そんなぁ…」楼桜沙  「黙るんだよ!」山城   「は、はひぃ…」楼桜沙  「さ、次はエンジンを1から組み立てるんだ!」山城   「エ、エンジンを、1からですかぁ!?」楼桜沙  「……イヤなのかい?」山城   「い、いえ……」楼桜沙  「だったら感謝の言葉はどうした!!」山城   「あ、あの……こ、こんなわたしに、エンジンを、1から組み立てさせて頂いて、ありがとうございます」楼桜沙  「作業を始めて良し」山城   「はい!」オヤジは恍惚の表情山城   「嗚呼……幸せ……」(第7話『代償の行方』 完。)