朝の産直市はごった返している
レジに並ぶ列も
長ーく伸びて
一列に10〜20人くらい並んでいる

私の斜め前の人が
大きな箱入りの苺をカートに
積んでいた
私の前の人がそれを見て
話しかけている

(それは私も知ってる
1.5キロ入りで1000円のジャム用苺だ)

奥さん、それはジャム用?
ええ、そうですよ
1.5キロも入ってて1000円だから
安いですよね

私の前の奥さんは
カートを夫さんに任せて
同じものを買いに走る
が、
待てど暮らせど帰ってこない
付近のみんながやや心配顔
私も後ろを見て
あの奥さん、どこに行ったんだろう?
とヤキモキしていた

すると
私の後ろに並んでた奥さんが
やおら後ろに向かって走りだし
先ほどの奥さんを探すべく
店内を駆け回っている

そして目的の大箱入りの苺を手に
2人で戻ってきた

「良かったですね」と私
後ろの奥さんも
「あの方、全然違うところで
探してたわ」

2人でホッとしたのも束の間
今度は
私の横の奥さんが
「私も!」と言って店の奥に
走り出す

今度もまた帰ってこない
まるで樹海かハーメルンの笛吹きである

またもや
私の後ろの奥さん、
出動!である
その間私は後ろの奥さんのカートを
持って
列が進むと一緒に動かす
という栄誉にあずかっている

いちご大箱抱えて
また1人救出!
そしてみんなは
何事もなかったかのように
粛々とレジにて支払いを済ました
のであった

結構笑っちゃった 爆笑
後ろの奥さんとは
また出口付近で会って
先ほどはどうも、どうも、
みたいな挨拶を交わし
笑顔で帰っていった


ランタナ、紫陽花、ルリマツリ