「ソーネチカ」
 by リュドミラ・ウリツカヤ



この前同じウリツカヤの

「緑の天幕」→こちら

を読んだばかりだが

又ウリツカヤの作品


この作品は短くて

133ページ

中編というより短編と言っても

いいくらい


裏に

「神の恩寵に包まれた女性の、

静謐な一生の物語」

とある


既にこの物語の中に

入っているような

静けさが漂う


ソーネチカは赤ちゃんか子供か

そのくらいの頃から

本の虫だった


ロベルト・ヴィクトロヴィチに

見初められて結婚

ロベルトは反体制的な

芸術家で

二人は結婚しても

貧しく慎ましやかに暮らしている


赤ちゃんにも恵まれる

その時の様子で

印象に残った場面、


明け方、娘がお腹が空いたのか

ゴソゴソする

ソーネチカは自分の乳首を

つまみ、娘に含ませる

背中越しに夫も

ソーネチカを抱き寄せる


「こうして、

朝の光がさしこむころには

ソーネチカがほほえみ、

みずからの肉体で、

自分とは切り離せない

大切なふたりの飢えを、

黙々と、喜んで、

癒やしてやっているのだった」


神の祝福を受けて

3人が幸せに暮らしているのが

実感できるシーンだ


そんな幸せな3人にも

変化が訪れ


後半

あら?あららららら

ららららららららら、無気力

という展開になる


ここからが

ウリツカヤの腕の見せ所!

え?なんで?

ダメやん、それはダメやん


と私は心の中で焦りながら

どんどん読んでいく

ウリツカヤ、そこ怒るところだよ

なまっちろいこと

許しちゃダメでしょ


と半分怒りながら読む


ところが

ウリツカヤは

私の怒りなどどこ吹く風で

淡々と物語を

進めていくのだ


そして

私に見せてくれた世界とは


最初に戻ろう

「神の恩寵に包まれた女性の

静謐な一生の物語」


見事な作品だった


それは

ウリツカヤの奏でる静かな

愛の物語だった




おススメです!

一気読みです

1〜2日で読めます

是非!! 飛び出すハート


2002. 12月初版発行

メディシス賞

ジュゼッペ・アツェルビ賞

受賞


ソーネチカという名前は

「神の叡智」をあらわす

「ソフィア」の愛称とある