「レストラン「ドイツ亭」」
"DEUTSCHES HAUS"
 by アネッテ・ヘス


ドイツ亭…
なんとなく予感はする
新聞の書評にも出ていた

何ヶ月も前から
借りようと思いつつ
なかなか借りれなかったが
カレンダーも後わずか
今年の宿題は今年のうちに

というわけで
読み始めたが
拍子抜けするほど
読みやすい

あらら
いいのかしら

ドイツ娘の主人公エーファは
24歳のお年頃で
お金持ちのボンボンに
そろそろ結婚を申し込まれる
はずだけど、
などと思いながら付き合っている

このボンボン、ユルゲンが
なんか訳ありで
読んでてもエーファ、ユルゲンと
ほんとに結婚するの?
と私も乗り気でない

ひょんなことから
裁判の原告側証人の
通訳をすることになるエーファ

その裁判とは
アウシュヴィッツでの
ユダヤ人虐殺に関与した
親衛隊達を裁く裁判

ひえ〜〜〜〜 ゲッソリ

これは重いテーマではないか!
こちらが身構えるものの
当時エーファ達も
アウシュヴィッツで何があったか
知らないのだ

いわゆる寝た子を起こすな
的な国民感情
これ以上辛い事、嫌な事
悲惨な事をほじくり返して
なんの得がある?
みたいな

おやおや
どこかで同じような事
言ってるよね

過去を振り返るより
未来を、みたいな

でもドイツは
これをやった
どうしても有耶無耶にはできない
白日の元に晒さなければ
次に進めない

どこかの国とえらい違いですな

そうして
何も知らなかったエーファは
アウシュヴィッツで
何が行われていたか
そして
自分の家族の過去も
浮き上がってくる

ちょっとミステリーっぽい仕掛けに
なっている

エーファが関わる裁判で
一緒に働くダーヴィトが
最初エーファを毛嫌いして
馬鹿にしてたけど

私はこのダーヴィトを
ほっとけなくて
ユルゲンよりダーヴィトの方が
いいんでない?
と密かに応援してた

みんながそれぞれ
訳ありで
他人に言えない秘密を抱え
日々暮らしている

姉のアネグレットも
かなりヤバい

重いテーマながら
読者にどんどん読ませる
作者はこれが初めての
長編とのことだが
すごい力量!

裁判のシーンは
臨場感があってこっちも
白熱してくる
被告人は
平然と「私は無実だ」
「それには関わってない」
「記憶はない」などと言う

これらも
どこかで見たなあと
深く息をする

どうかアウシュヴィッツだからと
引かないで
トライしてみて下さい
きっと新たな何かが見つかります
それに
とても読みやすいのです

2021. 1 初版発行


ちなみに朝日新聞読書欄より

今から私も読みます