「ある一生」
   "EIN GANZES LEBEN"
    by ローベルト・ゼーターラー


「アルプスの山とともに生きた
名もなき男の生涯が、
なぜこんなにも
胸に迫るのだろう」

恩寵に満ちた作品
とある

まさにその通りで
私がぐちゃぐちゃ言う事はない

タイトルは少しベタな感じがして
選ばなかったかもしれない
表紙が良かった
表紙に飛びついた
これは借りる!

この前読んだ
「わたしのいるところ」→こちら
と同じように
淡々と書かれてある
違いは
主人公エッガーが遭遇する
悲惨な子供時代や
戦争や
柔らかな結婚。

そして晩年

ラヒリに比べて
劇的である
劇的ではあるものの
エッガーはそれに抗うこともなく
受け止め
こなしていく

着実に生きていくのだ
私たちみんな
こうやってえっちらおっちら
生きているんだよなー

山がもう一人の主人公で
今までにも
山が出てくる本は
何冊か読んだ
どれも珠玉の作品だったと思う

ローベルト・ゼーターラーは
なんと「キオスク」の作者だった
びっくり びっくり
嬉しい再会

それからそれから
訳者の浅井晶子氏は
この前読んだばかりの
「トリック」→こちら
の訳者だった

こういう意外な出会いが
本を読む醍醐味
思わず顔がほころぶ


エッガーを応援しながら
どんどん読んだ
しみじみとした良い作品だった

おすすめです

2019. 6 初版発行
2015年グリンメルズハウゼン賞受賞
2016年ヴィーナー・ヴィルトシャフト書籍賞受賞
2016年ブッカー国際賞、
2017年国際ダブリン文学賞の
ショートリスト入り