本日のイタリアからのメルマガ到着していました。

 

髪の毛もそうですよね〜〜〜。

コロナ、で皆さんどうされてらっしゃいましたか???

私は、すみません....

通常通りです。

 

 

さて、ミラノではどうだったのでしょうか?

の、そんなイタリアからのメルマガです。

 

 

 

 

★★ 髪のカット!  ★★


7月初めのことです。
とうとう、美容院にカットに行って来ました。4ケ月半ぶりのことです。

3月10日に始まった「ロックダウン」で美容院・理髪店もクローズとなりました。
「フェーズ2」が始まって、5月18日からは美容院・理髪店の開業も可能となりました。
といっても利用は事前の電話予約のみ、利用者は万一を備えて、名前や連絡先の記帳が
義務化され、感染予防の非常に厳しい諸規定の下での再開でした。

感染予防という意味では万全のようでしたが、私は当時は、同時期に再開した商店舗でも、
びくびくしながら入るという段階でしたので、美容院は心理的にまだハードルの高い場所
でした。

それからしばらくすると、友人の中でも「美容院に行ってきた」という体験を
まるで「冒険話」のように話してくれる人がでてきました。

私も、髪がのびて、困ったものだと思うようになりました。
特に、ミラノはこの6月はえらく暑い日が多くて、のびた髪が不快になってきました。
もう『限度』なので、そろそろカットしてもらわなければという気持ちになりました。

ところが、一つ問題がありました。
私は、2年ほど前にミラノ市内で引っ越しをしたのですが、その後も、それまでの長年の
お店に引き続き通っていたのです。メトロで30分程度の距離で、せいぜい2ケ月に一回程度
なので、他の用もあるので、通っていたのでした。
ただ、そろそろ、今の家に近いところで新しい店を探そうかなどと思ったりもして
いました。

そんな事情もあり、今回どこに行こうかと少し迷いました。
特に、これまでの美容院に行くためには「メトロ」に乗れば簡単ですが、トラムを
乗り継いでいくとちょっと面倒です。
ミラノ市内の移動はできるだけ徒歩、必要な際はせいぜいトラムを利用という程度にしている
のでメトロに乗るにはかなりの決断が必要でした。

それで、この際、近場でどこか適当なところを探そうかとも思いました。
ただ、厳しい感染予防措置下の美容院、しかも、鏡の前でもずっとマスク着用となると、
まったく知らない店を「実験」するのも、少し不安でした。

髪カット一つでなんとも「往生際が悪い」のですが、いろいろ迷ったあげく、
結局以前からの店に行きました。

店内に入る際は体温チェック。美容院側も、私もマスク着用です。
美容師のアントニオをはじめ、顔なじみの女性スタッフ3-4人の姿があって一安心
しました。

習慣で、衣服の上に羽織る「白衣」の置いてある棚に向かおうとすると「使い捨て」の
白衣をくれました。私のハンドバックは大きな袋にいれられてしまいました。
感染を防ぐため雑誌類も何も置いてありません。厳密な予約制なので、順番を待つ人も
いませんが。
カットの際は、「IO RESTO QUI(私の席はここ)」と大きく表示された台に座らされ
ました。私も黙って、指示される通りにしました。

美容師のアントニオは寡黙な人で自分からしゃべるタイプではありません。
元々、この店は二人の共同経営者の店、私は長年、年配のセルジョの客でした。
セルジョがリタイヤーした後、もう一人のアントニオに引き継がれた形なので、
アントニオとの関係はそれほど長くありません。

そのため、これまでお店にきてカットをしてもらっても、ほとんど会話らしい会話を
しない場合もある位でした。

今回、アントニオが私の髪をカットしはじめた時、
「どうだったの? いつ再開したの?」と聞きました。
「3月10日にロックダウンする3日くらい前に、自発的に店は閉めたんだ。閉めている間は、
まったく先が見えなかった。そして解禁になったので、2日間かけて準備をして、5月20日から
再開した」。

「そう、大変だったのね。でも、この店とても広いから、ソーシャルディスタンスを
十分にとれて幸いだったわね」というと
「そうなんだ。3台使えるから。でなかったらとてもやってゆけない。構造的に十分な
スペースがとれなくて再開できない店も結構あるから」と。

そして、アントニオに聞きました。
「覚えている? 私が最期にここに来た日のこと。2月21日、コドーニョでコロナ感染1号が
発見された日の午後だったのよ」というと
「覚えている、覚えている、あの日だったね」とアントニオ。
「あの日のお昼のニュースでコロナ感染1号のことは知ったけれど、まだその意味も
その影響も何もわかってなかった頃よ」
「そうだね。あれからすべてが変わってしまったんだ」

そうなのです。あの後、正直「美容院どころではない」そんな時期が続いたのです。
あの日のこと、そしてその後のロックダウン中の難しい日々を思い出してなんだか胸が
あつくなってきました。アントニオやスタッフの人々のその間の不安を思うと
何ともいえない気持ちになりました。

「夏はいつから閉めるの?」と聞くと
「この夏は8月中旬に1週間閉めるだけ。少しでもお客さんにきてもらわないと」と
アントニオ。
例年8月は3週間は閉めていますが、今はともかくロックダウン中の挽回をするのが
急務なのでしょう。

「また来るわね」といってお店を出ました。
アントニオのお店も、楽ではないようですが、ともかく再開できてよかったと
思いました。ちょっと遠いけれど、これからもこの店に通うことに決めました。


                          (編集部)