母はずっと
伝えていたのかもしれません
幼い日に
近所の年上の女の子と遊んでは
いじめられて帰ってくる私が
相手の子に注意して欲しいと
望んだとき
母は言いました
『遊ばなきゃいい』
私は納得できなくて
叱って欲しいと何度 訴えても
母は一貫して
その言葉を言うのです
大きくなって
職場での理不尽に悩んでいたとき
には
『辞めたら?』
と母は静かに言うのです
今朝 早朝の場所に向かうとき
すごい勢いで
街ネコちゃんが飛び出してきました
元いた場所を覗いてみると
別の街ネコちゃんが
木の隙間に立って
飛びかかろうとしていたのです
飛び出してきた街ネコちゃんは
気づいて
逃げたのでした
その光景にハッとして
思い出したんです
母は
逃げちゃダメだと
私に一度も言わなかった…