君が僕という生き物をどれだけ愛しているか、正直わからない。
それでも、君が今のままの関係を望み続けるなら、それでいいと思っている。
なぜなら、僕は君の犬で、君は僕のご主人様だから。

君と僕の絶対的な関係。

でも、いつだって僕がその一線を越えたいって願っていること、忘れないでいて。
君が僕の事をそれ以上に思えなくても、僕がそう思っていることだけは知っていて欲しい。
まあ、それも叶わない願いだということも、十分にわかっているけどね。

なにせ、僕は君の犬だから。

さあ、朝が明ける。
君と僕の新しい一日がまた始まる。

今日も君に一番に挨拶をしよう。
大好きな君に、一番の笑顔で、最高の声で。


「ワン!」
「ん、あ、おはよ、ジョン」


「ワン、ワン!」
「わかった、わかったって。ちょっと待ってて、着替えるから」


「ワ、ワン」
「いっつも着替えようとすると、そうやってグルグルするよね。よしよし」


「クゥーン」
「今日はどこ行く?」


「ワン!」
「ワンじゃ、わかんないよ。くすくす」


「クゥーン、ゥーン」
「くすくす。ごめんごめん。意地悪だったね、よし、おすわり!」


「ワン!」
「よし! お手!」


「ワン!」
「イイコイイコ。ご褒美にワシャワシャの刑だぁ!」


「ワン! ワン! ワン!」
「あはは! ジョンは朝から元気いっぱいだね! うん、よしよし、イイコイイコ」


「ワンワン!」
「じゃ、行こうか」


「ワン!」


今日もまた朝が来る。
君と二人で新鮮な朝の空気を吸いながら、見慣れた街の見慣れた景色を君と歩く。
変わらない毎日、過ぎていく日々。
そんな平凡で平和な毎日を、僕は愛している。
どんな世界でも、君がいてくれるそれだけで、僕はこんなにも幸せだから。
朝日を浴びて、大好きな君と行く。

そう、君の大好きな人の元へ。

僕は君の犬。
それ以上でも、それ以下でもない。

君が笑っていてくれるなら、それ以上のことは何も望まない。
神様に願っていたとしても、君には望まないよ。

君は僕のご主人様。
君は僕の大好きな人。

それ以上も、それ以下もない。



僕のたった一人の大切な人。

「たったそれだけのことが
すごく嬉しくて

死にそうなくらい
嬉しくて

また生きていこうって
思えた

苦しくったって
ちゃんと前見て歩こう

無理やりでもいい

前を見てれば
必ず光がさしているから

君に会えて良かった

君にずっと会いたかった

ありがとう

こんなちっぽけな僕を
愛してくれて

ありがとう

えへ、涙止まんないや
ぽたぽた落ちてくる

笑っていいよ
笑っていい

君が笑ってくれるなら

…………

もう行くね

いっぱい泣いたしね

それにほら


虹が呼んでる

うん
ありがとう

君に会えて本当に良かった」
「ぽつり、ぽつり」
「……雨?」


「ぽつり、ぽつり」
「……雨」


「……アメ」
「……雨」


「……冬に降る雨は少しだけ、あたたかい」
「……ほかほか?」


「ううん……ほっこり」
「……ほっこり」


「……うん」
「うん」


「……ぽつり、ぽつり」
「ぽつり、ぽつり」


「優しい雨の音」
「乾いた心に響く雨の音」


「ぽつり」
「ぽつり」