壊血病という病気は、現代ではほとんど耳にしなくなりました。しかし歴史を振り返ると、これは人類の旅路を大きく左右した病です。
15〜18世紀、ヨーロッパの船乗りたちは何ヶ月も海の上で暮らしました。保存食は塩漬け肉や乾パンばかり。野菜や果物はすぐに腐ってしまうため、船にはほとんど積めません。そんな食生活の中で、乗組員たちを襲ったのが壊血病でした。
- 歯ぐきが腫れ、出血する
- 傷が治らず、古い傷が再び開く
- 体がだるく、歩くことも難しくなる
1747年、イギリス海軍の軍医ジェームズ・リンドが、壊血病患者に対してある“実験”を行います。
- あるグループにはリンゴ酒
- 別のグループには海水
- そして別のグループにはレモンとオレンジ
結果は明らかでした。柑橘類を食べた患者だけが劇的に回復したのです。
今でこそ「ビタミンC欠乏」と分かっていますが、当時はまだ栄養素という概念すらありませんでした。
18世紀末、イギリス海軍はついにレモンやライムを船に積むことを義務化します。その結果、壊血病は劇的に減少しました。この対策が功を奏し、イギリス海軍は世界最強の艦隊へと成長していきます。
現代の日本では壊血病は珍しい病気になりました。しかし、極端な偏食や孤食が続くと、今でも発症することがあります。