塩野義製薬が2月に承認申請した新型コロナウイルス感染症の飲み薬の審査を巡り、厚生労働省が頭を悩ませています。初の国産の飲み薬として注目が集まる一方で、治験では、さまざまな症状を総合的に改善する効果が明確に示されていないためです。同社は、迅速な審査が可能な「条件付き早期承認制度」の適用を求めているが、制度の趣旨に沿わないのではないかと疑問視する意見もあり、先行きは見えません。
塩野義が承認申請した症状改善効果を見極めるために設定した主要評価項目を治験で達成できていません。治験は軽症から中等症の新型コロナ患者約400人を対象に実施。主要評価項目のうち、薬を5日間投与したグループではウイルス量は減ったが、最も重要な発熱や吐き気など12の症状を総合的に改善する効果ははっきりと確認できませんでした。
塩野義は早期実用化を目指し、通常なら必要な最終段階の治験結果がなくても審査を受けられる条件付き早期承認制度の適用を厚労省に求めています。ただ、この制度はもともと、患者数が少ない病気を念頭に、有望な薬をいち早く使えるようにするための仕組みです。制度を適用するには「治験が難しいか、実施できたとしても患者数が少ないため相当な時間がかかる」「治療法がないか、既存のものより優れている」など四つの条件を満たす必要があります。新型コロナの場合、患者数は多いほか「モルヌピラビル」や「パキロビッド」といった海外製の飲み薬が既に承認されています。入院や死亡を減らす効果が示されている、この2種類より、塩野義の薬が優れているとは言えないそうです。