第6波で主流になったオミクロン株は、デルタ株に比べ重症化のリスクが低いとされ、感染症法上の位置付けを季節性インフルエンザと同じ「5類」に引き下げるよう求める声も高まっています。だが一方で感染防止に向けた行政の関与は大幅に弱まり「自己責任」が求められることになります。医療費の全額公費負担がなくなる恐れもあり、「受診控えが起きかねない」「公的支援は続けるべきだ」と指摘されています。
感染症法は、病原体の危険度が高い順に感染症を1~5類に分類します。新型コロナウイルス感染症は、これとは別の枠組みの「新型インフルエンザ等感染症」に指定されており、入院勧告や就業制限など「1~2類」に相当する強い措置を取ることができます。1類でも認められていない「外出自粛の要請」も可能です。
しかし感染力が強いオミクロン株によって感染者や濃厚接触者は急増し、保健所や自治体の業務は逼迫。社会や経済活動にも支障が出ています。一方で公的支援の必要性は高く、慎重な意見もあります。5類に引き下げれば、まん延防止に向けた行政の役割は後退します。高齢者施設などで集団感染が起きても施設側の責任となり、県が医療関係者を派遣したり濃厚接触者を検査したりする予算は根拠を失うことになります。
さらに懸念されるのは医療費の負担増です。現在のように全額公費で賄うのは難しくなります。現在、入院や積極的疫学調査の対象者を絞るなど、すでに一部の措置は「5類相当」になっています。感染症法上の位置付けは当面維持した上で、柔軟な運用で対応する方が現実的です。5類へ見直しされたにしても、医療費の公費負担や自宅療養者への配食などは継続すべきです。毒性や感染力の強い新たな変異株が出てくる可能性があるので、まだ警戒を解いていい段階ではありません。