コロナワクチン開発を実用にこぎ着けた欧米の製薬大手に対し、日本の周回遅れは歴然としています。司令塔機能を欠く日本政府と、リスクのある巨額投資に二の足を踏む国内製薬会社が原因です。日本では、大阪大発の製薬ベンチャー「アンジェス」が唯一治験に着手したものの、塩野義製薬や第一三共は、まだ治験すら開始していません。実際に希望者が接種を受けられる実用化は、さらにその先の話です。
コロナに限らず日本はかねてから、ワクチン分野で後塵を拝してきました。世界市場を見据えて欧米勢は、革新的な医薬品発見のため多額の研究開発費を投じてきました。海外勢が合併・買収(M&A)を繰り返し、2019年12月期の売上高がファイザーは517億5千万ドル(約5兆4千億円)、アストラゼネカも243億8400万ドルに達するのに対し、国内大手の一角を占める第一三共の20年3月期売上高は9817億円にすぎません。その格差は競争力を左右する研究開発費の違いとなって表れ、第一三共はファイザーの5分の1程度にとどまっています。 日本では近年、ワクチンの副作用に対する国民の警戒心がもともと根強くあります。コロナワクチンは感染が収束すれば需要がなくなるわけではありません。2年後からは、日本製のワクチンが使われます。研究開発から人材育成、安定的な供給体制の構築まで、一貫したワクチン戦略を練る司令塔の不在も課題に挙がっています。日本では一民間企業の取り組みには限界があります。
ワクチン政策は国の安全保障上も重要であり、産学官連携を進めるべきです。