膀胱がんは人口10万人あたり毎年6~8人発生します。50歳以上に好発し、男性が女性の2~3倍の頻度で発生します。尿路上皮の遺伝子の変化によりがん化すると考えられています。また喫煙者は非喫煙者に比べて4倍程度発生率が高いことが知られています。特殊な例として、ある種の染料や化学薬品、寄生虫により誘発されることも報告されています。
膀胱内にできる腫瘍の9割以上はがん(悪性腫瘍)です。膀胱内に腫瘍がみられる場合には入院の上、経尿道的膀胱腫瘍切除術(TUR-BT)という手術を行います。麻酔下に膀胱鏡を尿道から膀胱内に挿入し、先端に小さな輪のついた器具で腫瘍を切除します。この手術は治療手段であると同時に、確定診断・腫瘍の根の深さを確認する意味でも重要です。切除した腫瘍を顕微鏡で調べ、組織構築、異型度、深達度が判明します。組織構築から尿路上皮がん、扁平上皮がん、腺がんなどに分類されます。異型度(grading)はlow gradeとhighgradeの2段階もしくは、G1からG3までの3段階で評価され、highgradeないしG3が最も細胞異型が強く、いわゆる悪性度が高い所見です。深達度はTa(腫瘍が粘膜にとどまっているもの)、T1(粘膜の下の層、粘膜固有層に達しているもの)、T2(筋層に及んでいるもの)、T3(膀胱の周囲の脂肪にまで及んでいるもの)、T4(隣の臓器に腫瘍が及んでいるもの)に分けられます。Ta、T1を筋層非浸潤性膀胱がん、T2以上を浸潤性膀胱がんと二つに分けることができます。筋層非浸潤性膀胱がん(Ta又はT1)の場合はTUR-BTでがんを完全に取り除くことができます。
しかし、術後新たにがんが発生することが比較的よくあります。TUR-BTでがんを完全に取り除いた後で、化学療法薬またはBCGを繰り返し膀胱に注入することにより、再発率を減少させることができます。膀胱内注入療法は週1回6~8週続けて行われます。