TBSラジオ、話題のアンテナ「日本全国8時です」で聞いた話です。毎週木曜日は、東京大学名誉教授、月尾嘉男氏の「雑学コラム」です。

今週は研究不正 がテーマでした。「石川や/浜の真砂は尽きるとも/世に盗人の種は尽きまじ」石川五右衛門の辞世の歌とされていますが、最近は研究分野で「世に捏造の種は尽きまじ」という状態が発生しています。
アメリカの科学雑誌『サイエンス』8月号の「嘘の大波」という題名の記事の紹介が中心でした。日本の科学論文の捏造の実態を暴露した評論です。弘前大学に勤務していた日本の医師が、骨折とビタミンDやビタミンKの関係の臨床試験の結果を発表した33本の論文のうち21本を投稿した後で撤回しました。

*論文の撤回

1位は東邦大学の麻酔医師で183本の論文を撤回、さらに9位には3人の日本の医学関係の研究者が39本で並んで登場しており、上位10位までの半分が日本の研究者です。14位は撤回した論文が32本の琉球大学の医学部教授、17本の鹿児島大学の医師、13本の大分大学の医師が登場します。日本の研究不正は医学関係ばかりです。
*世界三大研究不正
・2014年に発表された「STAP細胞論文」
・ドイツのヤン・ヘンドリック・シェーンの高温超伝導についての論文
・韓国の生物学者ファン・ウソクの事件です。ヒトのES細胞を世界最初に作ったとされ、韓国で自然科学分野の最初のノーベル賞を受賞すると大騒ぎになりました。
*なぜ不正は起こるのか
第一は国家の栄誉に押しつぶされることです。
第二は個人の栄誉です。
藤村新一というアマチュアの考古学者が1970年代から各地で旧石器時代の石器を次々と発掘し「神の手」と言われていました。自身が発掘した縄文時代の石器をあらかじめ埋めておいたことが明瞭になり、考古学界を大混乱させました。
第三は研究者として就職し、出世するためには業績が必要であり、とりわけ最近は毎年のように成果が要求されるので、ついつい捏造してしまうということです。