がんは遺伝子の異常が蓄積して、細胞が勝手に増殖する病気のため、年を取るほど発症の危険性が高まります。がんで死亡する人は人口の高齢化と共に増え、2015年には30年前の2倍に当たる約37万人になりました。うち65歳以上が85%、75歳以上に限っても59%を占めています。
進行がんをわずらう75歳以上の高齢者の中で、治療を受けない患者が年々増加しています。膵臓がんの場合40代の人は11%にとどまるが、85歳を超えると60%が治療を受けないことを選択しています。2012年から2015年にかけても胃がんや大腸がんの患者は治療を受けない人が増えています。抗がん剤治療の副作用が治療を選択しない要因の一つです。糖尿病や、心臓や腎臓が悪い患者では、抗がん剤の副作用が強く出やすくなります。また増え続ける認知症患者のがん治療も困難になってきています。そして年金生活者では、治療費が払えないことも大きいと考えられます。1ヶ月で50万円以上の治療費は、10年前の30倍以上の金額です。高齢になると、「医療を行わず自然に任せてほしい」と考えている人が増えています。治療しないと決めた場合、自宅療養へシフトし、家族と過ごす時間が多く、ストレスなくゆっくりと過ごせるのが利点です。しかし痛みを緩和する薬の投与や栄養剤の点滴は続けます。
乳がんや前立腺がんでは、高齢でも薬物治療をすると治癒率が高まります。いま高齢の患者に合ったがんの治療指針の確立が急務となっています。