厚生労働省は抗菌薬の「適正使用の手引き」に、かぜの治療に抗菌薬(抗生物質)は必要ない と 明記する方針です。
 発熱や鼻水、せき、のどの痛みを伴うかぜのほとんどは、ウイルスが原因で起きます。抗菌薬は細菌には効きますが、ウイルスには効きません。にもかかわらず、外来診療の現場で抗菌薬は広く使われているのが現実です。処方する医師の責任が大きいのは言うまでもありませんが、『かぜは基本的に自然に治る。だから家で寝ていなさい。』と返すわけにも行きません。患者は市販薬で治らないから、抗菌薬を処方してほしいのです。医者も患者の希望を無視できません。ウイルスに効かないことは、医師であれば誰でも知っていますが、抗菌薬を処方した方が、のどの痛みや咳が早く治ります。細菌感染を合併していることが多いからです。
 確かに、むだな抗菌薬の投与がなくなれば医療費の抑制になります。抗菌薬の効かない耐性菌の広がりが問題になっています。世界保健機関(WHO)によると日本は耐性菌が検出される割合が高く、中耳炎や膀胱炎といった身近な病気でも見つかっています。耐性菌への対応は、いまや世界的な課題です。厚労省は、2020年に抗菌薬の使用量を「13年比で3分の2」にまで減らす計画を掲げています。