TBS話題のアンテナで医学ジャーナリストから、高齢者に多い大動脈弁疾患に対し「自己心膜を使用した大動脈弁形成術」の話を聞きました。2007年4月より開始された新しい手術方法です。これまで大動脈弁狭窄症に対する唯一の手術方法は「人工弁による大動脈弁置換術」でした。機械弁はパイロライトカーボンという材質で出来ています。生体弁はブタの大動脈弁やウシの心膜をグルタールアルデハイド(強度を上げる溶液)で固定したもので出来ています。これらの材質はヒトにとっては異物であり、異物であるが故に血栓による脳梗塞を起こしやすく、脳梗塞予防のためにワーファリンを飲む必要があります。ワーファリンが効き過ぎると脳出血や消化管出血などの出血性疾患にかかってしまうこともあります。
自己心膜切除後、心膜をグルタールアルデハイドにて10分間処理します。石灰化弁尖切除後、弁輪の石灰化部分を超音波吸引器(CUSA)にて除去します。次に自己開発した弁尖サイザーにて各交連部間の距離を計測します。その計測値に対応した大きさの弁尖を自己開発したテンプレートを使用して、グルタールアルデハイド処理した自己心膜にて作製します。作製した弁尖を使用して石灰化を除去した弁輪に直接縫いつけていきます。最大のメリットは「生体との適合性」です。『異物』である人工弁を移植しないので、拒絶反応がなく、脳梗塞などを起こすリスクが低いと考えられています。ワーファリン(血液の塊が出来るのを防ぐ薬)などの抗凝固療法を必要としません。この手術では自己組織を使用しているので、一個約100万円する人工弁を使わない経済的メリットもあります。この手術は、体に優しいだけではなく医療経済にも優しい手術であり、近年保険適応になったとのことです。
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