最近老人の下血を3例続けて経験しました。左下腹部の激しい腹痛、下血、下痢が典型的な症状です。虚血性大腸炎です。大腸への血液の循環が悪くなり、必要な酸素や栄養分が供給されなくなるために、大腸粘膜が虚血となり炎症や潰瘍を生じる疾患です。大腸に栄養を送る血管の血流が不足すると、腸管が虚血となり、粘膜の浮腫、出血、潰瘍などが出現します。老化による血管の動脈硬化性変化に、便秘による腸管内圧の上昇などが加わるためと考えられています。
 大腸は主に上腸間膜動脈と下腸間膜動脈から血液を受けています。大腸脾弯曲部から下行結腸は、上腸間膜動脈と下腸間膜動脈の支配領域の境界部分であるため虚血が生じやすくなっています。薬剤性腸炎、感染性腸炎、クローン病などが鑑別診断にあげられます。
 治療は安静にし、絶食、輸液、二次感染防止のための抗生剤投与などを行います。約半数は一過性型で、短期間のうちに軽快し後遺症も残りません。