「カラダ探し THE LAST NIGHT」 | MCNP-media cross network premium/RENSA

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「カラダ探し THE LAST NIGHT」(2025/)ワーナー・ブラザース)

 

 監督:羽住英一郎

 原作:ウェルザード

 脚本:土城渥美 原祐樹

 

 橋本環奈 眞栄田郷敦 櫻井海音 安斉星来

 鈴木福 本田真凛 吉田剛明 那須ほほみ 木村佳乃

 

 おすすめ度…★★☆☆☆ 満足度…★★☆☆☆

 

 

 

 
別に早く観たいとかこだわっていたものがあるわけでもなく、前作を観ているのとちょうど舞台挨拶ライブビューイングの回があったので公開二日目の鑑賞。
 
難しいですよね、昨今のジャパニーズホラーって。
 
そもそもホラー映画の系譜ってかなり多岐にわたっているわけで、呪いとかオカルトとかサイコパスとか、いろんなアプローチの作品があっても、日本の場合全部一緒くたにされて論じられてるのが現状。
 
しかもそこにアイドル映画という要素もかかわってきて、いわゆるB級ホラーほどキャスティングにアイドル系が名前を連ねることも多い。
 
ぶっちゃけ低予算&演技力とか関係なく、雰囲気だけでホラー映画になっちゃうのは今に始まったことじゃない。
 
とはいえ、それを否定するものではなくて、昔からアイドル好きとしてはそれはそれとして楽しめちゃうわけです。
 
この「カラダ探し」に関しては前作も楽しませていただきましたが、相変わらずホラー映画ファンからは辛辣な評価が多いようで、一部は最初からこのシリーズのテイストは分かっているうえで観ていると思うので、そこであーだこーだ言っちゃうのは違うかなと。
 
多くの声として「怖くない」って声が聞こえてくるわけですが、これって多分監督の羽住英一郎も「怖がらせよう」と思って撮っていないと思うわけです。
 
前作もそうですが、まあホラーテイストをベースにした青春エンターテインメントというか、毎晩恐怖の中に放り込まれて殺されるという無限ループの中で、その限られた時間で精一杯青春しようって感じかな。
 
例えば前作で唐突に海水浴のシーンがあって、ホラーと関係ないじゃん?ってことになるわけです。
本作でもカラダ探しに巻き込まれた学生たちが、思い思いの夢というかなりたい自分を実現するシーンがいくつか挿入されますが、そこの描き方がちょっとチープ過ぎたのは残念でした。
 
そういった映画ファンとしての考察もありながら、でもやっぱり本作は失敗したかなと思います。
 
前作のカラダ探しを回顧する導入部からスタート。
生き残った5人はみんなカラダ探しの記憶がなくなっている。
互いに思いを寄せる幼なじみの明日香と高広だが、ある日突然高広の目の前で明日香が消えてしまう。
 
カラダ探しを終わらせたとき、必ず誰か一人がいなくなるというルールの通り消えた明日香を呼び戻すため、再びカラダ探しのループの中に舞い戻る高広。
 
一方で新たな標的となったのはクラスメイトの陸人・大和・岬・有紗・航。
5人は学校の行事で訪れた遊園地でカラダ探しの世界に放り込まれる。
そこはかつて明日香と高広が子供の時代に訪れた遊園地だった。
 
前作の学校でのカラダ探しから、遊園地でのカラダ探しへという舞台設定が逆にリアリティの欠如に繋がった気もする。
 
そもそも高校生の校外学習か遠足で一日遊園地でフリーというのも設定に無理がある。
 
そしてそんな彼らのカラダ探しになぜか高広も参加していくことの矛盾。
彼はどうやってこの無限ループに入ってこられたのか。
 
明日香を救うために秘密のアジトで資料を集めていた高広。
そんな資料の中からある島の存在を知った彼らは、ボンボンの大和が用意した船で島を目指す。
 
「集合時間までに戻ればいい」…いや、まて、遊園地から島へ向かう港までそんなに都合よく移動できるのか?しかもしっかり普段着に着替えて…というわけで、島に遺された謎の儀式の遺構にたどり着く。
 
そこは明日香が囚われている場所と通じていて、謎の石柱を通じて明日香の声を聴いた高広は彼女を救うため、再び赤い人との戦いに身を投じていく。
 
一方で明日香はカラダ探しに身を投じて壁に封じ込められて囚われの身となった謎の女との会話で、死んだ者たちの血を吸い続ける赤い石柱を壊せば呪いを止められると知るが…。
 
遊園地で5人とともにカラダ探しを完了させようとする高広は明日香を救い出せるのか?
 
無限ループで最後まで赤い人と戦った前作と違って、本作ではその無限ループがあまり効果的に使われていないんですね。
最終的に明日香と高広の話がメインになっちゃって、巻き込まれた5人はやられ損じゃないけど、最後はおざなりにされちゃったかな。
 
何となく既視感あるなーと思って観ていたわけですが「イット THE END “それ”が見えたら、終わり。」ですね、これ。
しかもあちらと同じ2部作でひとまず完結…ですよね?
 
最後のシーン、えっと高広は3年の月日が経っていて、明日香はあの時の制服のままなんですね?なんでだろ?
 
他にもいろんなアレレなシーンが多いわけですが、遊園地の柱にあんなはっきりと刻んじゃだめですし、とっくに問題になったりあるいは修復されちゃうはずです。
 
まあそんなツッコミどころ満載の作品なので、あんまり目くじら立てても仕方ないかなと思いますが、羽住英一郎監督ってもう少し映画らしい映画を撮る人だと思うので、ここまでざっくりな作風になったのは、朝ドラ終わりで撮影に入ったらしい橋本環奈のスケジュールの問題とかもあったのでしょうか。
 
最後に今回のカラダ探しをする5人のキャスト。
桜井海音の陸人と鈴木福の大和は仲良しコンビですが、どっちも高校生に見えないのがなんとも…鈴木福君なんてまだ子役のイメージでしたが、改めて制服を着せちゃうとすでに違和感。
 
有紗役のプロフィギュアスケーターに転身した本田真凛はこの映画が女優デビュー作で、ビジュアルの安定感はさすがというか、同じく都会的なビジュアルが際立つ安斉星来もモデル出身ということで二人とも女優としてもこれからというところ。
航を演じた吉田剛明はこれが役者としての初仕事らしい。
 
そして謎の女を演じた木村佳乃の怪演ぶりが面白かった。
 
前作は生徒役で橋本環奈と眞栄田郷敦の他に、山本舞香・神尾楓珠・醍醐虎太郎・横田真悠とそれなりにキャリアのある若手が出演。
本作のラストでも神尾楓珠と醍醐虎太郎が登場するシーンがある。
 
まあ考えようだけれど、設定はそのまま使っていくらでも続編は作れちゃう怖さはあるな。
 

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