「あのコはだぁれ?」(2024/松竹)
監督:清水崇
原案:角田ルミ 清水崇
脚本:角田ルミ 清水崇
渋谷凪咲 早瀬憩 山時聡真 今森茉那 青井旬 穂紫朋子
松尾諭 マキタスポーツ 染谷祥太 堀桃子 松本大輔
おすすめ度…★★★☆☆ 満足度…★★★☆☆
清水崇監督が「呪怨」のヒットで一躍ジャパニーズホラーの旗手として脚光を浴びたのが2003年、もう20年以上前のことなんだ。
ここのところ因習をベースにした「村」シリーズ三部作で気を吐いていた彼が本来のホームに戻ってきたということで気になっていた作品。
しかし上映前に昨年公開の「ミンナのウタ」の続編と知るももはや手遅れ。
直前までざっくりレビュー等をチェックすると前作を観ていなくても問題なさそうだし、ヒロインを演じる元NMB48の渋谷凪咲も注目していたので割り切ってスクリーンへ。
でも、やっぱり少しだけ影響はあったかな。
前作で恐怖の元凶となったのが女子高生高谷さなとその一家について知っているかどうかで、中盤以降の展開の見方も変わったのかもしれない。
導入部で高谷さなをめぐる過去の事件が描かれる。
さらに今回のヒロインである渋谷凪咲演じるほのかの目の前で、恋人の悠馬が車に跳ね飛ばされる事故に遭遇するというなかなかインパクトもある出だしも悪くない。
産休の教師の代わりに中学の夏期補習の臨時教員に採用されたほのか。
その最初の補修の日に事件が起こる。
補習クラスには男女5人の生徒が参加してるが、その中の一人が悠馬の事故の時に偶然立ち会ってしまった瞳だったが、さらにそこには見えるはずのないもう一人の女生徒がいた。
そんな時、補習を受けていた女生徒の一人まりが校舎の屋上から転落死する。
事故の直前に屋上の人影に気づいたほのかと駆けつけた瞳はまたしてもその瞬間に立ち会うことになった。
当然ながら補習は中止となり、生徒たちの親が学校にやってくる。
そこで語られる30年前に起こった同様の転落事故。
補習に参加していた男子生徒タケルと瞳の母親はその当事者として屋上にいたことが発覚する。
そして当時の担任が現在の校長である良江だった。
その夜、関係者が迎えに来なかったもう一人の女生徒さなを自宅へ送るほのかだが、そこでおぞましい出来事を経験することになる。
ここで登場する高谷家の秘密がこの恐怖の元凶わけだが、前作を観ている人と観ていない人とでは、この後のストーリーの受け止め方も変わるのだろうと思う。
「ミンナのウタ」は主演というか出演者がGENERATIONS from EXILE TRIBEのメンバーだったので二の足を踏む映画ファンが多かったと思う。
自分も清水崇監督ということで気になっていながら、結局は未見のまま上映が終了してしまった。
もったいなかったな。
ヒロインを演じた渋谷凪咲はまだ演じるという部分では新人同様なので、セリフのトーンを抑えめにしたり、普段のバラエティキャラを出さないようにしていたように思う。
ラストで明らかになる彼女の運命はありきたりではあるものの、逆にそこまでの伏線を予想していなかったのでちょっと驚いた。
夏のホラー=怖がらせるというイメージを持っている世代には、今のジャパニーズホラーのテイストはなかなか理解できないのかもしれない。
この映画もけして怖くはないけれど、その背景にあるものが少しずつ見えてくる演出そのものを楽しむ作品であって、いわゆる絶叫系ホラーとはまた違う。
清水崇監督はこの先も「村」シリーズや「島」シリーズなども考えているのだろうが、「呪怨」から続く恐怖の連鎖はこの高谷さなの物語として継続して欲しい。
ほのかと行動を共にする瞳を演じた早瀬憩は現在17歳。
前作の「違国日記」が未見なのは失敗したな。
さなを演じた穂紫朋子もこれからの人だと思うので、今後も注目していきたい。
ユナイテッド・シネマ前橋スクリーン8