「‟それ‟がいる森」(2022/松竹)
監督:中田秀夫
脚本:ブラジリィー・アン・山田 大石哲也
相葉雅紀 松本穂香 上原剣心 江口のりこ 尾形貴弘
中村里帆 眞島秀和 宇野祥平 野間口徹 小日向文世
おすすめ度…★☆☆☆☆ 満足度…★★★☆☆
さて、問題の作品です。
予告編で明らかに大したオチではないことが予想されたこの映画。
案の定、諸々のレビューではかなり辛辣な評価が明示されています。
それはけして間違いではないし、実際この作品をスクリーンで観た後に、他の誰かに薦められるか?と尋ねられれば答えは“否”でしょう。
でもね、そもそもこの映画を観に行く人は何を期待したんでしょうか?ってことなんです。
まずは主演が嵐の相葉雅紀ということで選択するケースが多いのかもしれません。
さらには予告編で“それ”が気になってスクリーンで確かめたい。
でもいわゆるホラー映画ファンがこの作品を選択した場合、監督が中田秀夫ということを知っていれば、ある程度の予感を抱いたうえでスクリーンと対峙するわけで、結果として想定内の感想を抱くのかもしれません。
自分も後者だったでしょうか。
そもそも中田秀夫監督といえば、劇場デビュー作品「女優霊」が実は最初にして最高傑作として評価され、その後の「リング」の大ヒットでその名前がホラー映画の第一人者として上書きされ、そのまま今日まで作品が途切れることがなく続いている稀有な存在。
おそらく彼のベースにあるのはホラーではなく、スリラーもしくはサスペンスであって、最近の「スマホを落とした…」シリーズや直近の「噓食い」のような作品がその証明でもある。
しかもあくまでも演出に徹していて、脚本や原案を受けての映画化作品というパターンが多い。
実際そうした作品で「MONSTERZ モンスターズ」のように韓国映画のリメイクながらなかなかの傑作もあった。
その一方で「リング」シリーズから派生した「貞子」のような作品も並行して発表しているわけで、それは評価の基準が混とんとするわけだと思う。
今回の「“それ”がいる森」は恐怖系のホラーではなくSF系の作品であるというのがミソ。
スクリーンで“それ”を見せられた時、その造形も含めたあまりにも凡庸な設定に、思わず口をあんぐりという映画ファンも多かったのではないか。
まさかそういう見せ方をしてくるとは!?
もう驚きを通り越して、笑うしかない。
いや、怖くないし、ホラーじゃないし、でもホラーって最初から言ってないか?
それよりも前段の相葉くんと息子の交流がちょっと不自然すぎて、いや、はっきり言おう…最近にしては珍しいくらい子役が下手くそ…と思ったらジャニーズの子らしい。
正直、嵐の中でも相葉くんの演技は微妙なところがあって、今回もずっと同じ表情しかしてないし、小学校の担任教師の松本穂香との絡みもしっくりこなかったり。
そうか、これだ、この感じ、ずっと違和感の中に放り込まれる居心地の悪さ、これが中田秀夫の世界観だ。
もうそれでいいでしょ?
正直、今回は保険かけてシネコンのポイント無料鑑賞だったので、あーだこーだいうつもりもないんですけどね。
これからも中田秀夫監督には、いろんな意味でずっと裏切り続けられたい、そう思います。
入場時にもらった招待状。
まだ見ていないな。
ユナイテッド・シネマ前橋 スクリーン3