監督:成島出
原作:宮部みゆき
脚本:真辺克彦
藤野涼子 板垣瑞生 清水尋也 富田望生 前田航基
佐々木蔵之介 夏川結衣 永作博美 黒木華 田端智子
余貴美子 松重豊 小日向文世 尾野真千子 津川雅彦

前作「ソロモンの偽証 前篇 事件」を鑑賞したのが2週間前。
ほどよくインターバルをおいて観たのが正解だったのかな。
事前のレビュー等を見ていると「裁判ごっこ」的な感想も多かったし、前作で裁判へ向けての準備を始めるあたりが学園祭のノリだったのが気になってはいた。
後篇はその校内裁判に向けて生徒たちが証人探しに奔走する中で次第に事件の謎が見えてくる過程を前半に、実際に5日間にわたる校内裁判の模様を後半に配するという比較的シンプルな構成だったのはよかった。
前半では事故で亡くなった松子ちゃんを忍んで吹奏楽部が追悼演奏をするシーンはジーンときましたね。
メインの校内裁判も含めて生徒たちの自主的な行動に大人が動かされていくというのは悪くないと思います。
結果的にその流れが裁判において、必死に生徒を守ろうとした校長に対する感謝の念と何もしようとしなかった他の教師たちへの糾弾という構図に反映されていきます。
裁判の過程は想像していた以上に真剣かつ本格的な論戦が展開され、逆に観終わった時に中学生たちだけであそこまで出来るだろうかと思ってしまうほどでした。
それにしても裁判で真実が明らかになった時、どうしても拭えないのが事件の当事者の生徒たちに対する嫌悪感。
最初に死体となって発見された少年にしても、犯人に仕立て上げられた不良生徒にしても、彼らのいじめにあっていた女生徒にしても、そして事件の真実を知る旧友にしても、誰一人としてその心情を理解できないというか、やっぱりどこかで彼らがモンスターに思えて仕方なかった。
時代背景としては80年代になるから、ケータイやパソコンなど今どきのアイテムが出てくるわけでもないけれど、逆にあの世代の子供たちが持っている本質的な恐さのようなものが浮き彫りになってきて、それが社会派ミステリとしてのおもしろさに繋がっている。
そのあたりは原作を読むことで見えてくるのかもしれないけれど、宮部みゆきの作品はずっと興味があるものの、いまだに一冊も読んでいなかったりする。
長澤まさみで映画化された「クロスファイア」など少年少女を登場させる作品が多いイメージがあるので改めてチャレンジしてみたい。
映画としては前作でも感じたことながら、登場人物たちの台詞が立つというか、しっかり言葉として耳に届くのが素晴らしい。
逆に会話劇を楽しめない人には退屈な映画ということにもなりかねないけれど、昨今どちらかといえばニュアンス優先で何を言っているのか聴き取れないような作品も多いだけに、じっくりスクリーンと対峙できるこうした作品は貴重。
唯一不満なところは本編ではなく「前篇」のダイジェストを本編前に上映したこと。
確かに「前篇」を観ていない人には優しい配慮なのかもしれないけれど、きちんと「後篇」として独立した作品に仕上がっている以上、あのダイジェストは必要ないと考える。
本編の中でも事件の概要は読み取れると思うし、あえて「後篇」だけ観ようとする人にはそれなりの覚悟があるはず。
しかも映画本編に連続するダイジェストではなく、ダイジェストの上映後に例の盗撮カメラ男のスポットが入っての本編というのはいただけない。
ここ最近、前・後編を分けて上映する姑息な興行スタイルが横行しているのは嘆かわしいものの、本作においてはそれぞれの独立性…原作は3部構成…が感じられるのでよしとしようか。
2015.4.27 ユナイテッドシネマ前橋 スクリーン9
おすすめ度…★★★★☆ 満足度…★★★★☆