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「小さな恋のメロディ」 ※第三回 新・午前十時の映画祭
 “MELODY”(1971/イギリス)

 監督:ワリス・フセイン
 脚本:アラン・パーカー
 音楽:ザ・ビー・ジーズ

 マーク・レスター ジャック・ワイルド トレイシー・ハイド
 シェイラ・スティーフェル ケイト・ウィリアムス ジェームズ・カズンス

 

 

邦題がうまいなと思った。

原題“MERODY”はヒロインの女の子の名前なのだけれど、それを「小さな恋のメロディ」と題したあたり、当時の配給サイドのネーミングのうまさを改めて実感する。

自分が外国映画を見始めた頃には何度もテレビで放映され、定期的にリバイバルや名画座での上映がされていた作品。

でも結局テレビでもちゃんと最後まで観た記憶はなかったし、トレイシー・ハイドの人気だけが強烈に印象に残っている。

映画の冒頭少年軍の行進シーンで主人公ダニエルを演じるマーク・レスターが映った時、思わず内心「子供じゃん!」と発していた。

おそらく作品のイメージとして中学か高校を舞台にしたミドルティーンものと思い込んでいたためで、ヒロインのトレイシー・ハイドの雰囲気もそんな風に感じていた。

実際には公開当時のマーク・レスターが13歳、トレイシー・ハイドは12歳、ダニエルの親友トムを演じたジャック・ワイルドが19歳、あれ?でも学校で煙草スパスパ吸っていた子もいたな?

調べてみたらイギリスの教育システムは日本の6・3・3制とは大きく異なり、年齢ごとに1~4のステージに分けたカリキュラムがとられていて、作品の舞台となる学校は8~11歳が通うステージになるようだ(あるいはその上の12~14歳?)。

なるほど…ダニエルが妙に子供っぽくて、トムが妙に大人びていてるのもそんな背景があるのかもしれないし、この世代はどうしても女子の方が身体的成長が速いのは世の東西を問わずということか。

階級社会が残る当時のイギリス社会で中流階級に属するダニエルと労働者階級に属するトムやメロディとの対比がいきなり出てくる。

ダニエルを迎えに来るのはオープンカーを運転する母親、その車に同乗するトムは貧しい家を見られるのを嫌って手前の豪邸の庭先で車を降りる。
一方、メロディは物々交換に母親の衣服を持ち出して一匹の金魚が入った小瓶と交換し、その小瓶を手にしてアイスを買う小遣いをもらうために父親が飲んだくれている酒場へと向かう。
このときバックに流れるのが有名な“Melody Fair”だった。

そんなメロディがバレエを踊る姿を目にしたダニエルは一発で恋に落ちる。
ちょっと大人びて見えるメロディとのバランスがどうかなと思ったけれど、後のデートシーンなどでは二人の身長差がほとんどないこともあって、単に演じるマーク・レスターが童顔のせいか。

音楽の楽器テストの控室で二人きりになるシーン、ダニエルを意識しつつもリコーダーの練習で気を紛らそうとするメロディに対して、ダニエルがチェロを弾いて音を合わせるなど意外と積極的に振る舞うのが頼もしい。

先生の所用で先にダニエルが退出したあと、それまで股を広げてリコーダーを吹いていたメロディがそっと膝を組むシーンがいい。

やがて二人はデートを重ねるようになり、ついに学校をさぼって遊園地と海水浴に出かける。
ワンピースの水着姿のメロディがまだ女の体になっていないことになぜか安堵してしまう。

このあたりの若さゆえの積極性がうらやましく思えたりする。

そして二人は感情の赴くままに結婚を約束し、最初は冷かしていたクラスメートたちも教室を抜け出して密かに結婚式を計画する。

この事態を知った教師たちは授業を放り出して生徒たちの行動を止めようと車を飛ばす。
そこには駆けつけたダニエルの母親の姿もあったが…。

ラストシーンは若い二人の未来を象徴するようにどこまでも続く長いレールをトロッコを漕いで去っていく引きの映像。

考えたらキスシーンも男女の関係を想像させるシーンも皆無で…初デートのときに互いの手を振れ合うのみ…まさに青春映画らしい清々しさで満ちた秀作だと思う。

トレイシー・ハイドも、マーク・レスターも、この作品のヒットのあとは俳優としては大成せず、ともに現在は引退してそれぞれの家庭を築いているとのこと。

ジャック・ワイルドは口腔癌を患い手術で声を失い9年前に53歳の若さで没している。

青春時代の残像とか大袈裟な表現も必要ないほど、あの時代のあの世代だけが醸し出せる若さを映像に刻印した青春映画としてこれからも語り継がれていい。

余談ながら、ダニエルの母親役がどうしても今でいうオネエに見えて仕方なかった。
家庭の台詞の中にも「ホモ」とか出てくるから余計にそうに思えたのかもしれないけれど。

こういう構図の映画って日本にもあったっけ?

そうか「ぼくらの七日間戦争」がそんな感じだったかな。
他しかCSで放送されたのを録画してあると思うので探してみようか。

全編に流れるザ・ビー・ジーズのサウンドの心地よさも忘れないように。


 2015.4.12 MOVIX伊勢崎 シアター10

 おすすめ度…★★★★☆ 満足度…★★★★★