「抱きしめたい-真実の物語-」
監督:塩田明彦
脚本:斉藤ひろし 塩田明彦
北川景子 錦戸亮 上地雄輔 斎藤工 平山あや
佐藤江梨子 佐藤めぐみ 角替和江 國村隼 風吹ジュン
TBSが絡んだ感動の実話で泣いてください系の作品はあまり観るつもりはないのだけれど、今回はなんとなく予告編の出来もよかったし、ちょっと観に行ってみようかなと思っていた。
タイムテーブルがちょうどよかったので「ラッシュ」かどちらか迷って、F1にはまったく興味がないのでこちらを選択。
結論を言ってしまえばまたしても予告編がすべてという作品。
その意味では予告編としては正しいのだろうけれど。
これは評価の分かれるところだと思うけれど、途中で役者の演技ではなくテロップを入れたり、セミドキュメント風の映像をかなりの尺で挿入した時点で、この作品は映画としては未完成と言わざるを得ない。
すでに映画の公開前に実際のご夫婦のドキュメンタリー番組が放送されていて、自分はまだ録画したまま未見なのだけれど、だったら映画で公開するまでもなくスペシャルドラマでいいのではないか。
やっぱり映画作家が映画的手法を放棄したらダメでしょ?
映画としてどうやってそこを描くかが大事なんじゃないでしょうか。
一方でその演出が功を奏しているという現実もあるのがこの映画の不思議なところ。
それは主演の北川景子と錦戸亮という二人の役者に依るところが大きい。
過去の出演作品を思い出せばわかるけれど、二人とも表情だけで演技をしてしまうようなところがある。
言い方を変えれば表情の変化だけで演じてしまって、台詞を通しての感情の出し入れが不得手のようにも思う。
ストーリー的にはかなり駆け足で5年間を描いてしまったので、深く感情を掘り下げる必要もなかったかもしれない。
逆にそのことで観る側に過度な感情移入をさせずに客観的に二人を見つめる効果にもなったのか。
実話ありきの物語をフィクションとしていかに描き切るか、監督の力量が問われるタイプの作品だと思う。
とりあえずドキュメンタリーを改めて見てみよう。
2014.2.7 MOVIX伊勢崎 シアター5
おすすめ度…★★★☆☆ 満足度…★★☆☆☆