(2013/東風)
監督:森崎東
原作:岡野雄一
脚本:阿久根知昭
岩松了 赤木春恵 原田貴和子 加瀬亮 竹中直人
大和田健介 松本若菜 原田知世 宇崎竜童 温水洋一

当初この作品の情報が出たとき、どこか海外の国の映画かと思っていた…つまり「ペコロス」ってなんだ?
人情喜劇の巨匠森崎東監督がまだ映画を撮っていることは知らなかった。
しかも主演がバイプレイヤーとして活躍している岩松了だということも不安要素だった。
ところが予告編等を観る機会があって注視したところ、なんと原田貴和子・原田知世の姉妹が共演しているらしい。
こりゃ、見逃せない!まずはその一心だったのは事実。
特に原田貴和子はかねてより寡作で知られる女優で、1986年の角川映画「彼のオートバイ、彼女の島」以降何本かメジャー作品に出演後、一時期結婚・出産でスクリーンを離れていたようで、今回の映画出演が約5年振りということになるようだ。
一方、妹の原田知世は角川三人娘と称され薬師丸ひろ子と渡辺典子と多くの作品に出演後、ずっとマイペースで続けてきた音楽活動へと一気に舵を切って、ここ数年は地味ながらコンスタントな映画出演も再開している。
昨年公開された「しあわせのパン」や「東京オアシス」などでは独特のピュアな存在感も健在だけれど、今回はあくまでもゲスト出演扱いでヒロインを演じる姉の原田貴和子と絡むのは1シーンのみ。
さて、作品は漫画家・岡野雄一が実際に体験した認知症の母親との日々を淡々と描いていく。
けして大袈裟に涙を誘おうとしているわけではなく、認知症の母親を演じる赤木春恵と息子役の岩松了との絶妙な間合いも相まって、時々声を出して笑わせてもらった。
自分が高齢の父親と暮していることもあるので、自分自身と親とのかかわりを振り返ったり、これから先のことに思いを馳せたり、笑いの中にもいろいろ考えさせられる。
派手な演出があるわけでもなくオーソドックスな映像が一見退屈そうにも思えるけれど、そこは森崎東監督のベテランならではの手腕が活きてくる。
ラストシーンをファンタジーにしたのもよかったのではないか。
エンドロールではメイキング映像に続いて実際の岡野親子も登場する。
…ボケるとも悪かことばかりじゃなかかもな…
原爆投下を経験した長崎だからこそ「それでも生きていく」という前向きな姿勢が胸にしみる。
バイプレイヤーとして出演する竹中直人がいつも通りの怪演ながら珍しくいい味を添えていた。
ちなみにエンドクレジットで原田知世に添えられたのは「愛情出演」の文字。
観てよかった。
2013.11.27 ユナイテッドシネマ前橋 スクリーン9
※観客10名位
おすすめ度…★★★★☆ 満足度…★★★★☆