私の「食」の原点となった居酒屋について書きました。
今回は、その店で出会った方々、いわば “食と酒の先達” について、それぞれのエピソードを含めて記しておきましょう。
まずは最初の出会い。
多分、3回目の訪問だったと思います。
就業時間終了早々に会社を出て店(今後、便宜上店名は「S」としておきましょう)に向かい入店すると、一番奥のカウンター席に初老の男性が座って一杯やっていました。
この店、カウンターだけの造りなので、客同士が会話するのに不自然さがありません。
その日も店主(以降「H」さんとします)を間にして先客とのやり取りが始まりました。
。。というか、ほとんどは先客が一方的に喋っていた感じだったかなw。
その話からするとこの先客様、相当な食通で、あちこちの店で飲み食いしているよう。
こちらが何か食べもの、料理の話題を出すと、間髪入れずに「それならあそこがウマいよ」とか「どこどこの〇〇がいいよ」等々。
で、その日その方が薦めてくれたのが、同じ銀座にある「はち巻岡田」。
その筋?では有名な店なので、当方も店名は存じ上げてはいましたが「敷居が高い。。」旨言うと、その方「いや、あそこは『えびしんじょ』(今はあげしんじょ?)を頼んで菊正で一杯。あとは『岡田茶わん』(鶏+白ねぎの吸物)を舐めながら玉子焼きをつまむくらいなら、今日のこの店より安いよ」と店主Hさんに笑いかけながら教えてくれました。
先客さんが店を出た後、店主Hさんに聞くと「あの方、文芸評論家で食に関する随筆家としても有名だよ。ウチには歌舞伎座の帰りに寄ってくれる。この時期の少し前から『牡蠣入った?』って覗いて行くんだよね」ということで、文芸評論家の「Y」さん(失礼ながら私は知りませんでした)ということが判明。
なるほど。。私がはち巻岡田の名前を聞いたことがあるのは確か山口瞳さんをはじめ多くの作家さんが通っているということ(↑の“その筋”)からだったので、合点がいきました。
そして数日後、Yさんのおすすめに従って「はち巻岡田」に訪問。おすすめ通りの注文で、その料理を楽しみました。(今はコースがメインなのかな?)
印象的だったのが、「菊正宗の樽酒」と「えびしんじょ」は “黄金の組合わせ” だったこと。
それはその後、神田にあった酒亭「鶴八」で同様の楽しみを享受できることを知り、私の居酒屋巡りの定番コース&酒肴になりました。
なお、その神田にあった酒亭「鶴八」(現在は閉店)こそ、実は先日来書いている神保町の寿司店「鶴八」の由来となった店なのです。
。。その話はまたの機会に。
以降、Yさんとは何度か「S」でご一緒し、その度ごとにいろいろなお店を紹介してもらいました。
さらに本屋を探せば、確かにYさんが書いた本が何冊もあり、それらを購入してその後の飲食店巡りの参考書として活用したことは言うまでもありません。
私にとってありがたい “食の先達” になってくれたのです。
何しろネットも食べログも、もちろんミシュランなんて無い時代でしたからねw。
(つづく)















