「「ただいまー」」


年末年始の忙しさを終え、彼女である理佐と家に
帰宅した


洗面所で手洗いうがいをしてリビングに向かう


「ねぇ、こば」


「ん?」


「やり直さない?」


「はい?なにを?」


「12月を」


「待って。なんで?」


「12月ってさイベント事いっぱいあるじゃん」


「そうだね」


「しかも、恋人と過ごすようなイベントでさ」


「うん」


「でも、私たち過ごしてなくない?」


「いや、クリスマスもお正月も一緒だったよ?」


「それは、メンバーとしてでしょ?恋人としては
一緒に過ごしてない」


「だからやり直したいの?」


「そう!」


最近は音楽番組に出させて頂くことも多く紅白もあってレッスンなどで殆ど一緒にいた


しかし、彼女の言う通り恋人らしいことは何もしてなくて


私も寂しさはあったがこの仕事をしているのだから恋人のイベント事をまともに過ごすのは諦めていた


きっと彼女も同じ考えだと思っていたけれど


彼女からこんな提案が出て来て驚いた


「だめ…かな?」


何も言わない私に不安になったのか困った顔して聞いてくる


こんな可愛らしい提案を誰が断るというのだ


「いいよ、やり直そっか12月」


「やった!そうこなくっちゃ」


「でも何するの?」


私が何をやるか聞くと彼女はニコニコしながら
キッチンに向かい冷蔵庫から小さな箱を持ってきた


「じゃん!1個をはんぶんこなら大丈夫でしょ?」


「ケーキだ、いつの間に用意してたの」


「内緒!食べるでしょ?」


「食べる」


2人でひとつのケーキを食べ終え次は何するのかと思っていると寝室に向かい


「やっぱクリスマスだからね」


と言って戻ってきた彼女の頭にはサンタさんの帽子が見えた


「私が断ってもやる気満々だったんじゃん」


「絶対賛成してくれると思ったから」


拒否しないという自信があったのなら困った顔で聞いて来ないで欲しい


いや、あれも計算のうちだったのか


「はい!これ」


「手紙?何書くの?」


「クリスマスプレゼント」


「プレゼントくれるの?いいよ、気持ちだけで」


「いいの!サンタさんに従いなさい」


「サンタさんが強引。でも書く必要ある?」


「ある!やっぱ手紙じゃなきゃ!ほれほれ渡邉サンタに向けてお手紙書きましょうね」


「分かりました笑」


「さて、私も書こ。」


「渡邉サンタなら理佐は自分に向けて書くの?」


「そんな訳ないでしょ!ほれ」


目の前にやってきた彼女は私の頭に何かつけて満足そうに微笑んだ


「私は小林トナカイに向けてお手紙書くの」


サンタがトナカイにクリスマスプレゼントのお手紙を書くのはどうなんだと思ったが


彼女が嬉しそうに笑うから私もつられて笑顔になる


お互い手紙を書き交換する


後で見てと彼女が言うから手紙を開かず自分の
ポケットにしまった


サンタさんとトナカイさんの格好で写真を撮る


「クリスマス終わり!次、お正月〜」


どこに隠していたんだか、みかんを持ってきた彼女


「みかん食べるの?」


「さっきケーキ食べちゃったからこれは飾り。大事でしょ?雰囲気作り」


「そうだね、お正月と言ったらみかんだもんね」


「そうそう!じゃあ紅白見るよ」


「録画してたの?」


「当たり前じゃん!」


「何から何まで用意周到だね」


「無計画でこんな提案しないよ」


「そっか笑」


「いいから、早く見るよ」


「はーい」


紅白を見ながらこの歌いいよねとか話していると


「日向ちゃんかわいい」


「わかる!衣装もかわいいよね」


「あ、来た」


私たちの出番が来た


「衣装、素敵だったな」


「あーここ揃ってる」


「全員集まった」


パフォーマンスを見終わったあともあそこあーすれば良かったかなとかあの部分良かったよねとか


話し込んでいると先に進んだしまった録画に気づいて慌ててまき戻した


なんだかんだ2人で話しながら見ていたらすぐに
終わってしまった


「新年明けましておめでとうございます」


「そこもやり直すの?」


「紅白見たら年明けないと」


「ふふ、明けましておめでとう!今年もよろしく」


「こちらこそ、よろしくね」


「なんか変な感じ」


「どうだった?12月のやり直し」


「楽しかったよ、ありがと」


「よろこんでもらえてよかったです」


12月を過ごした私たちは現実に戻り寝る準備を進めようと動き出す


ポケットに手を入れるとクリスマスプレゼントの
手紙に触れた


「あ、ねぇ理佐」


「ん?」


「さっきのプレゼントの手紙さ」


「うん」


「私が書いたやつ今開けて」


「え?後日改めてプレゼントするんじゃだめ?」


「今、貰えるプレゼント書いたの。だから開けて」


頭にはてなマークを浮かべながら渋々、手紙を手に取り開ける彼女


「えーっと、『名前、呼んで欲しい』」


「うん。それが私が欲しいプレゼント」


「待って待って、そんなのでいいの?」


「私にとってはそんなのじゃないの」


「え?」


「最近レッスンもあって一緒にいること多かったけど皆がいる時は私のこと名前じゃなくてこばってよぶから最近呼んでもらってないなって」


「そう…だったかな?」


「気づいてないでしょ?今日もまだ名前呼んでもらってない…」


「…ごめん」


「今呼んでくれたらそれでいい。」


「由衣」


「ん」


「由衣、好きだよ」


「…そういうのずるい」


「由衣ちゃん、大好きだよ?」


「私も…理佐のこと好きだよ」


恥ずかしくなりながらも顔を見て伝えると優しく
微笑む彼女が可愛くて自分の顔が赤くなったのが
分かった


「由衣」


「うん?」


「私の手紙も開けて」


「え?でも…」


「いいから」


「わかった」


彼女が欲しい物はなんだろうと思い手紙を開けるとそこには『由衣』の2文字が書かれていた


「バカなの?」


「至って真面目です」


「真顔でいわないで」


「由衣以外に欲しいものなんてない」


「人をもの扱いするな」


「ごめん。でも、由衣が欲しい」


「バカ…」


「ちょーだい、由衣」


ギュッと彼女の腕に包まれる


「待って今?」


「今。由衣も今日プレゼント受け取ったんだから私も今日貰う」


12月をやり直すと言っていた時の無邪気な彼女
とは違い熱を持つ目に見つめられドキドキが
止まらない


あーもしかしてこの手紙を書くために今日の計画を練ったのかと頭をよぎったが


「考え事してるでしょ?私に集中して」


と言う彼女に意識が持っていかれる


あなたの事を考えていたんだと言える余裕はなく


聖なる夜でも、新年早々でもない日に


理佐から沢山の愛を注がれた
















































終わり。