薄々気づいてた
でも、目を背けていた
甘えてた
どこにも行かないと思ってたから
卒業…
脱退…
一気にその場の空気が重くなる
こんな時第一声を放つのはキャプテンで
友香は凄いなと思ったけど
話している内容は全く頭に入ってこなかった
2期生の方に目を向けると皆涙していた
そうだよね。まだ、不安の方が大きいのに
ある程度の話し合いが終わったあと
美愉、オダナナ
そして平手
みんなに囲まれ"おつかれ"と"ありがとう"が
飛び交っていた
「理佐?」
ぼーっとしていた私に声がかけられる
「友香」
「いいの?行かなくて」
「もう、行ったよ?」
「行ってないでしょ、てちのとこだけ」
ほんとにこの人には敵わない
「いいんだよ、今は保乃の傍にいてあげて
欲しいし」
「いつもそうやって自分の事後回しにして」
なんて、友香に小言を呟かれたので
はいはいと軽くあしらってその場を離れた
逃げた先でまた話しかけられる
「皆、泣いてるね」
「あなた達のせいでしょ、美愉」
「えへへ」
「さっき伝えたからもういいかな」
「なにが?」
「感謝と労いの言葉」
「なんか、その言い方だと仕方なく言った
みたいじゃんかー!」
「いやいや、本気で思ってますよ?」
「ふーん」
「あ、信じてないなー。まぁでも」
「でも?」
「私が君達に1番伝えたいのは、今までも
これからも大好きだよってことかな」
「…っ…理佐のばかぁ」
「えっ?なんで?」
「折角涙、収まってたのにー」
「あらー、いいよー今日はいっぱい泣きな」
私が美愉の頭を優しく撫でると美愉の涙は
止まるどころか溢れ出てきて
あまりにも泣くから皆集まってきちゃって
「理佐のイケメン発言のせいー」
とか美愉が言うから
理佐が泣かしたーとからかわれて
いつの間にかその場は笑いに溢れていた
私も皆につられて笑っていると後ろから
「理佐…」
と服を掴まれた
振り返らなくても誰だかわかる
私はそっと声をかけた
「君は、頑張り屋さんで溜め込み屋さんで
ずっと背負ってくれてましたね」
「……」
「でも、甘えたさんで構ってさんで
可愛らしい一面もあって」
「欅のこと大好きな君が私も大好きだよ」
「強がらなくていい我慢しなくていいよ」
「今日は、、、ね?平手」
「…っ…り、さ…っ」
「理佐っ…ありが、とっ…」
私の背中で泣いてる平手の姿を
私は見ないようにした
でも、他のメンバーは彼女の姿を見てさっきまでの笑顔ではなく
涙を溢れさせていた
あれからどれくらい経ったかな
まだ皆話し込んでいで終わりそうにない
私はそぉーと楽屋を抜け出した
「てち」
「なに?ゆっかー」
「気づいてた?」
「あー、うん」
「泣かないね理佐」
「人に散々涙流させたくせにね」
「今、1人になって泣いてるかな」
「んー、多分。泣いてないよ」
そんなゆっかーと私の会話を聞いていたのか
本人はこっそり出たから気づいていない
だろうと思っている楽屋の扉を
メンバー皆が見つめていた
「はぁ」
空に向かって息を吐く
何故出たかと問われたら特に意味は無い
なんとなく、ただなんとなく
抜け出してしまった
涙…出なかったな
いや、正確には我慢できた。かな
このまま帰ろうかな
さすがにダメか
こんな事考えるのが嫌で静かに目を閉じる
どれくらい経ったか分からない
ため息交じりの息を吐き
「そろそろ戻らないと」
と独り言を呟いて足を楽屋の方向に向けた
楽屋に戻るとまだ皆、話し込んでいて
もう少し外にいれたなと思った
隅っこにあるイスに腰かけると
「理佐」
と呼ばれ
「どうしたんだい、平手」
と答えると
平手は私の隣のイスに腰かけた
「ありがとう。理佐」
「ん?私こそありがとう」
「違うよ」
「え?何が?」
「いつも損な役回りして皆が傷つかないよう
にして自分のことは後回し」
「理佐自身が傷ついて辛い時だって
あるはずなのに全然弱さ見せなくて」
「でも、結局自分を犠牲にまでする理佐の
優しさに助けられて」
「だから、ありがとうなの!」
「だけど、これからはダメだよ」
「ちゃんと皆を頼らないとダメだからね!」
驚いた。
平手がこんなまっすぐ想いを伝えて
くれるなんて
あぁ違う。
全く
嵌められた。
「…ばかっ…」
これが目的か
見てたんだね
私が泣いてないの
気づいてたんだ
我慢してたの
「あーもう、っ…嫌なんだ」
「平手達が私らの涙を見てどう思うかなんて
目に見えてるから」
「最後くらいは何も気負わずいて欲し
かったから」
「だから…っ…なのに。平手のバカ…」
「バカは理佐の方だ…っ」
「最後くらい素直になりなさい理佐め…っ」
私たちのやり取りを見て
みーんなまた泣いていた
さっきまで泣いてたじゃん枯れないの?
とか思ったけど
枯れないよね。
メンバー想いの皆の涙はきっとこれからも
寂しい時も
嬉しい時も
辛い時も
枯れることなく流れる
そして最後は
「泣きすぎだよねー」
「あー、もうしんみりタイム終了」
「皆でご飯いこー、ごはん!」
って笑顔になる
仕方ない
これからは素直に流してやるか
生意気なバブの最後のお願いだからね
でもさ平手
きっと私の根本は変わらないよ
だってここが好きだし笑顔でいて欲しい
だから守るよ
これからは皆で
輝き続けていくから
だから、もう
行っておいで
自分が進むと決めた方へ。
おわり。