企業に対する貴重な「情報」であるクレームだが、内容が漠然としているものも多いです。
そこで、入ってきた情報を明確にし、的確な回答をするためには論点整理をする必要があります。
中小企業の場合、高いコンサルタント料を支払って、商品開発部門などに大きな投資をすることは難しいです。この会社では、クレームを製品改良に結びつけるために、月に二回生産・技術・営業・総務のリーダーと社長が集まる「クレーム情報活用会議」を開いています。
クレーム対応が完了した時点で、営業が自社作成の「お客様ご要望リスト」の評価基準にのっとりチェックします。規定の数値以下になった項目は、自動的に技術部門に送られ改良のための分析をします。
このような作業を月に二度行い、改善に結びつけています。
クレームを言ってくるお客様にも二種類のタイプがあります。
一つは、もう同じ企業や店舗を二度と使わないことを前提に理不尽な言い分を一方的に言ってくる人。もうひとつは、その企業の大ファンであるが故に、リクエストやメッセージとして伝えてくる人です。どちらのタイプなのか、見極めが重要です。
人の価値観や期待は千差万別です。そのため、「思っていた商品と違う」「思っていたほど効果が出ない」などといった問題がどうしても発生します。だからといって開き直るわけにはいきません。
クレームから商品開発のヒントが得られます。販促活動、配送システム、適正在庫、広告や情報の提供の仕方といった色々なことが判明するきっかけとります。
例えば、「折り畳み傘をかばんにしまったら資料が濡れてしまった」というクレームがあったが故に、超撥水(はっすい)傘が開発されました。この傘は一振りしただけで水がはじけ、水滴が残りません。
また、「窓に合うサイズのカーテンがない」というクレームから、フリーカットカーテンが開発されました。自分で好みのデザインにカットでき、どこを切っても糸がほつれない生地を使ったものです。
シャンプーやリンスなど、同型のボトルにギサギザを付けることで、目をつぶっていても判別できるように工夫した商品もあります。ある飲料メーカーでは、粒々が自慢のコーンスープを発売したが、「粒々がなかなか出てこなくて飲みにくい」というクレームを受けて、飲み口を大きくしてスムーズに粒が出るよう改善しました。
このようにクレームは大きなビジネスチャンスをつかむことができる貴重な情報源なのです。
