追加購入のレギュレーションが変わってしまって

来年も同じ席に座れるかどうかわからないから

今年は最後のつもりで聴こう と決めていたのに

 

のんびりおにぎり食べてから中に入ったら

調布のチケットが売られててビックリ

とはいえ選択肢は残っておらず

今買うしかない! 現金のみ? 足りる? 等々

あれこれやらかした後 やっと自分の席に座って

対岸のマダムに向かって手など振ったりしてたら

3行目に書いたことなど 完全に忘れてしまった

 


これでだいたい10回くらい聴いたはずなので

Y子さんじゃないけど 私も

自分のマタイ人生を振り返ってみようと思う

Y子さんて少なくとも3人はいらっしゃって

皆さん今のところ音信不通状態なんだけど

元気にしてるかな~ と思ったことで

元気にしてることは決定しているので 心配しない

 

記憶違いもあるかもしれないけど

敢えて確認しないで書く

 

理不尽な延期が解けたトップバッターが

マタイだったはずで

この時はいつもの席に座っていて

最初の音が聴こえて来た瞬間

私にしては珍しく泣いてしまった

正対しているソプラノの方々に

見られてしまった気がして恥ずかしかった

 

半分は

やっと生の音を聴けることへの感極まり

半分は

音は聴こえるのに姿が見えないことへの悲しみ

 

翌年のサントリーホールで

初めて逆側に座るチャンスをもらって

その時の感動をうまく思い出せないんだけど

それまでの視界と全てが違ってて なんというか

すごくショッキングだった気がする(笑)

 

その後からの3回は

「いつもの席」に座り 対岸から手を振って

今に至る わけだけど

 

サントリーホール以降の私は

それまでの それを知らなかった自分を

かわいそうだった は筋違いかもだが

よく耐えたね よく頑張ったね と

今でも思う(笑)

 

 

マタイは長いので 自宅で聴くことは滅多にないんだけど

席に座っているつもり で聴くことを覚えたので

今回は何回も聴いて行った

騒動が起きる前年の 超~豪華だったマタイの音を

久しぶりに聴いた時

懐かしい と思った

 

きっと皆さん この音を聴きたくて

毎年欠かさず 足を運ぶんだと思う

 

だけど 今年のマタイが始まった時

全然違う と思った

全然違うマタイが始まった と思った

 

今年わかったことは

すごく難しいことをしているんだ ということ

 

上手な人は 難しいことを簡単にこなすので

ちっとも難しそうに見えない

とはよく言われることだし私もわかってるけど

さすがに年を取ったので 今は

簡単そうに見えることこそ 本当はすごく難しい

とも思うようになった

 

見ないで聴いていた時は CDを聴いているように

ただ音を追っているだけだったけど

見ながら聴くと どの曲についても

難しい っていうのとは違うのかもだけど

重圧や緊張や責任みたいなものを背負って

演奏しているんだろうな と感じる

ご本人はそんなこと全く感じてないかもしれないし

いつかの「プレッシャーがかかる」という言葉は

多分にリップサービスが含まれていると解釈してた

 

もしかしたら今書いてることって

プロの音楽家に対して失礼なことかもしれないな

すべてのことを いとも簡単にこなしているのが

プロフェッショナルかもしれないのに

私はそういう風に 何かを極めるという経験が

出来なかったし そこまで努力もしなかったし

こういうのを おこがましい って言うんだな

 

 

皆さん絶対に楽しみにして来ている

美しいアリア達は 今回も本当に美しくて

今 この場で 聴ける幸せを

しっかりと味わいながら聴くべきだったが

そんなことを冷静に考える余裕が無いほど

本当に美しくて とても素敵な時間だった

 

これも皆さん同じだと思う

最後の曲が始まった瞬間

あぁぁ 終わってしまうぅぅ と

寂しくなるよね

あぁぁ やっと終わるゼ! って人も

何人か いるかもしれないけど(笑)

 

今年は特に早かった 早かったというか

時間の感覚が失われて

肉体的には しっかり3時間強分だけくたびれてるんだけど

意識的には あっというまに終わってしまった


最初と最後の曲は 私にとって

すごく不思議な調というか

とても独特で特別な マタイにしかない調に感じる

んなわけないんだけど

 

でも この音楽の世界の

始まりと終わり 入口と出口 と考えれば

特別で不思議なのも うなずけるかもしれない

 

 

去年のマタイの後

来年のマタイを 今年と同じ心持ちで聴く人はいない

といったことを書いた記憶があるけど

結局のところ そんなことはなかった

表面上そう見える(見えない)だけで

内実はかなり違って来ているのかもしれないけど

見えないものは見えないし

たぶん 気付けた人なんて そんなに増えてない

 

でもこれって 私がとやかく言うことではなくて

私は 私の問題にだけ集中していればよくて

 

人は手に入らない ということを

私は知っている

お金も 物も 結局は同じことだけど それを知る前に

人は手に入らない ということを

理解していた

経験していた と書くべきかもしれない

 

人が手に入れられるもの

所有できるもの という表現がいいかはわからないが

それは 経験と 記憶 しかなくて

それが 一時的で すぐに消えたり

いつか忘れてしまうようなものであっても

それしか 人は手に入れられないし

それしか 手に入れる価値はない

 

 

本意ではなかったけど ちょっと早く席を立って

トイレで鏡見てビックリ

マジで10歳は老けてた

ハーフタイムの時はまだマシだったのに

後半戦にいったい何があったのか

それだけ真剣に聴いていたということで

勘弁してやろう いや 勘弁して欲しい

あぁもう 早く出て良かった ひどいよもう

 

なぜ舞台上の方々は年を取らないのか

公演中 真面目に考えてたんだよね

毎日良い音波に浸ってるからかな

君様に至っては確実に若返ってるし

あれ気のせいじゃなかったよ

なんで私だけ こんな順調に老けていくのか

 

ほんでもさ 逆よりいいじゃん

私が若返ったって しょうがなくはないけど

だから これでいいんだってば 悲しいけど(笑)

 

 

調布は遠いので ずっと考えて来なかったのだが

曲目を見た瞬間 これはもう連れて行くしかない

今回聴かせないと もう二度とないかもしれない

と腹を括っていたので

福島並の砂被りだけど 即決即金 現金のみ

プレオーダーだの 会員限定だの これこそ

レギュレーションの難しい公演だったので

とにかく取れて良かった

 

ほぼぴったり 10年ぶりになることに

チケット買ってから気付いた

 

三行目に書いたことを完全に忘れてしまったのは

そんなことにはならないから心配無用

って意味だと解釈して 心配しない ことにする

 

咲き始めってのも とっても綺麗なんだなって

今日初めて知った