ハードカバー上下巻2冊の大作を映画化するには諸々の制約があることは承知の上で


書かれていることが描かれていなくて

書かれていないことが描かれているのが

相当きもちわるかった。


小説を読んで監督が抱いた世界観を映像化するのが映画化という作業なら

映画として完結していなければならないと思うし

そうなっていれば諸々省かれていても文句言わないけど


突撃隊が突撃隊たる所以を全く描かずに

原作には無い(はずの)書き置きなぞ捻り出した上に

エンドロールにはシッカリ「突撃隊」って

それルール違反じゃないの。


「スエズ運河」もそう。


すべての観客が原作を読んでることを前提にして作ってるんだろうか。

にしては

最後のレイコさんのくだりなんて捻じ曲げ過ぎじゃないの、

あんなことひとつも書いてないはずだけど。

行きも帰りも舞台を「駅」ではなくしたのは

ロケにカネがかかり過ぎるからかしらん?(笑)


緑も緑らしくないし。肝心の料理は映らんし。



女優陣に厳しく

男優陣に甘いのは

私が女だからか それとも

女性の登場人物への思い入れが強いのか


玉山鉄二さんの姿を借りて台詞が吐かれると

永沢さんの人生哲学は至極まっとうなものだったんだって

初めてわかったし


それと映像になったからこそ立ち上がってくるものもあるみたいで


なぜキズキは死んだのか

なぜ直子は死んだのか

なぜハツミさんは死んだのか


初めて理解できたような気がした


3人とも

想いを遂げられない

想う人に添い遂げられない

から

これ以上生きて行くことが出来なかったんじゃないか


甘ったれたこと言うな

ひとり失ったくらいでなんだ

それでも人は生きて行くんだよ


と大抵の人は叱り飛ばすだろうけど

皆がそんな風に前だけ向いて生きて行けてたら

文学なんて必要ない


それでも私については


先生に出会った教室で

「必ず文学の世界から現実の世界に戻って来なさい」

と言ってもらっているので


これ以上生きて行くことが出来ないかもしれない と思いながらも

のうのうと生きて行くのだけど


本当は

時空の感覚というようなものが

なくなってしまっているのだけど


それについてはワタナベくんが

「ぼくはどこにいるのだろう」と代弁してくれているので

よしとする(笑)



そういえば「穴」の話、影も形も無かったよね。

「おっ、ここで来るか!?」と唯一期待した最後の方の場面にも確か無かった

…ばっかみたい(笑)