あの名波が90分ずっとベンチに座っている。
その姿を想像するだけで、とてもつらい。


それでも名波は、ベンチに座っている。
いったい、何を考えながら、ベンチに座っているのだろう。
そのことを想像するのも、なんだかひどくつらい。


私は、そのつらさから逃げていました。


サッカー選手は、必ず引退の日を迎えなければならない。
そのことから私は無意識に逃げていたのだ。
もちろん、長谷部選手に逃げていたつもりはなかったけど。


でも、名波選手がベンチに座っているという事実は、
ここ数年、なんとなく気付きながら気付かない振りをしてきた

私自身の抱える問題を突きつけてきたような気がしました。

そして、それを解決するのは今しかない、ということも。


そうか、名波は、逃げないんだ…


そんなことを考えた翌朝、目が覚めたら、
あの「長谷部熱」が下がってしまっていたのです。
いやぁ…あれは不思議な体験でした。
「すっかり治っちゃった!」って感じだったのです。


そうだよね。

10年間も楽しませてくれたサッカー選手だもの、
ちゃんと最後まで応援しなくっちゃ、罰が当たるよね。


サッカー仲間から、「そうだよ!」と言われてしまいましたよ。


そうだよね。

よく「スポーツ選手の仕事は夢を与えること」って言うけど、
確かに私も、いろんなものをもらってきたもんなぁ。
何をもらってきたのかはよくわからんのだけど、

試合を観るたびにワクワクしたし、今もワクワクするもんなぁ。


ビデオテープの山ひっくり返して、名波の試合、観なくっちゃ。
今の私なら、もっとちゃんと、観られるはずだもんね。



しかし…それから数日後、

再び「発熱」したのは言うまでもありません…べーっだ!