私が今でも忘れることの出来ない、友人の言葉がある。
私の友人である真美さんの息子A君は、うちの息子よりも年上で、同じ中学の卒業生だ。とても勉強のできる子だったがヤンチャだった。時には授業にならず、教師からは、
「学校に来ないでくれ」
と言われたこともあったらしく、しばらく停学させられた。(もう一度言いますが、中学生です)
中学生で停学なんて聞いたことがない。それ以外にも数えきれない程の武勇伝を聞いた。社会的地位のある立派なご両親の元で育っても、子供が問題なく育つとは限らないんだな…、大変なのは私だけじゃないんだな…、真美さんの子育て経験談は私を安心させた。
A君が3年生になると、
「内申書は書けないから、筆記だけで受験できる学校を受けるように」
と、言われたそうだ。それくらい色々な問題を起こしていたらしい。
修学旅行の前には、
「旅行に行きたいなら、問題を起こさないという誓約書を書くように」
と教師から言われたらしく、A君はそれを書いて参加したが、帰りにまた問題行動をした。
「旅行先から途中下車させるので、Y駅まで迎えに来て下さい」
と、A君の両親に連絡があったそうだ。Y駅というのは近所の駅ではなく、自宅から100キロ程の距離にある駅だった。
Y駅から中学校のある県まで、新幹線で1時間も掛からずに帰ってこられる。両親の迎えを待つよりも、途中下車せずに帰ったほうが早いのに、敢えて両親を呼ぶような学校だった。しかし、私が一番びっくりしたのは、A君のご両親の対応だ。Y駅でA君を引き渡されたあと、A君にこう言ったそうだ。
「 Y駅じゃなくて、修学旅行先まで迎えにきて欲しいって言われたほうが良かったね。だって、A君とパパとママの3人で観光できるじゃない?」
と。
「そのあとはY駅を出て、A君・パパ・私の3人で修学旅行の続きをしてきたの」
友人真美さんは楽しそうに話してくれた。
真美さんが息子さんに言った「3人で修学旅行の続きをしよう!」の提案について、数年後に息子A君はこう言ったそうだ。
「あの時、あの言葉がなかったら、俺は今ごろ道をそれていたかもしれない。あの言葉に救われたんだ」
と。
私も、いつどんな時も真美さんのように息子を全力で信じ、愛情一杯に育ててあげていれば、こんな状況にはならなかったかもしれないな…。
🌺 おまけ 🌺
先日10年ぶりくらいに、ヤンチャだったA君を電車内で見かけた。仕事帰りのようで、きちんとした身なり。とても立派な大人になっていた。うちの息子もそうだが、ずっとトンネルが続くわけではない。あの当時の自分に、「大丈夫だよ!」と言える日が来ることを、今の私は知っている。しかし、そう思えるまで まだ暫くブログは続きます。よかったら引き続きお付き合い下さい。